第5話:始祖の精霊コア
洞窟内は意外にも何も居ない、魔物も居なければ未知なる生物も、ましては人にすら遭遇しない。
俺の足元音すらならないのだから無音が響いている。
ずっと同じような景色が続く、壊れてしまいそうだ。
その瞬間妙な雰囲気を感じ取る。なんというか見られている。感じ──。
「おはよう、私はコア。」
コアと名乗った女性は、綺麗な白いショートドレスに身を包んでいた。渦巻き型で白色のツインテールにピンク色の目が彼女の可愛さを引き立てている。
正直言ってめちゃくちゃ可愛い、すごく可愛い。アイドル顔だ。
ちなみに俺は可愛い顔を“アイドル顔“
美人な顔を“モデル顔“と呼んでいる。
と、言うかおはようって言った?今、朝なの?
「り、リオンです。」
俺も思わず名前を言ってしまった。
良かった発声練習していて良かった。こんな見た目で会話出来ないとか絶対攻撃されるしな。
と言うか本当に可愛いな、スタイルとかどうなってんだ。
【対象の分析中・・・エネルギーの波長から精霊族であると推測されます。次に、身体の詳細な分析を開始します・・・ウエスト59cm、胸のサイズA──』 】
もういいよ、それ以上は言わなくていい。
てか、Aカップぐらい見なくとも分かるつーの。
めちゃくちゃ失礼だし!勝手に解析するなよまったく。
「何しに来たの」
と、俺が考え込んでる間に話しかけてきた。初めて人と接触出来たのだここで関係を悪くするようなことは言いたくない。なるべく地雷を踏まないように俺が下に出るように話しかけた。
「え、と。俺も良く分からないんです。死んだと思ったらここに居て。出れなくなったのです」
可愛い顔して威圧感がある、俺は思わず気圧された。コアと名乗った女性は洞窟の奥から現れた。
しかし所になんでこんな可愛い女の子が?
よくよく考えたら怖いぞ!慎重に行かないと。
「転生者か・・・ここに人が来るのは思えないし。
まぁいいわ、あんたとあったのも何かの縁だわ」
と、コアは一人で何かブツブツと話していた。
と、言うかコアは俺の姿を見て何も思わないのか明らかに化け物みたいな外見しているけど。
やっぱりこの姿って意外といるのかな。
「リオン!!私と契約して」
「え、契約?」
「そう、ちょっと私良くないこと起きてさ。助けて欲しいの。契約してくれるだけでいいから」
・・・なんか怪しい。別に根拠は無いけど怪しい。
契約だけしてって絶対契約だけじゃない詐欺師のパターンだよな。
そもそも俺にメリットがあるのか・・・。
「ねぇ!聞いてる!」
「あ、はい!いいですよ」
最悪だ、陰キャの要素が出てしまった。こうして高圧的に来られると俺は萎縮してしまい頷いてしまうのだ。だって怖い者は怖いし。いやいや今の俺も見た目怖いじゃないか!ここで芋引いたら負けだ。
と、俺は謎のプライドを発揮した。
だが──
「あの、お聞きしたいことが」
「なに」
「何故ようにですか」
「・・・そうね、契約者になるんだから話さないとね。いいわよ心して聞きなさない」
と、言うとコアは事の経緯を話した。
コアは精霊界の王女様だったらしい、しかし色々嫌になって逃げ出したって事だった。
・・・は?それだけ?いや、回想って一話ぐらい使う事が多いだろ。知らんけど。
「いや、意味が分からないが」
なんか警戒していたのが馬鹿らしくなってきた。よくよくコアを見てるとポンコツそうだしなんで俺が下手に出ないといけないんだよ。
「それ以上は言えないわよ。それに仕方ないの。私も精霊界に居たく無かったし」
要するにいたくないから逃げ出したわがまま娘だ。
俺の場合は物心付いた時から親に捨てられて、施設上がりだった。基本的な不自由無しに過ごせたから家出なんてしなかったな。
あ、でも施設に変えるのが遅れて怒られた時はあるぐらいだ。ともかく勝手に家に出るのは不味い、そして俺は肩を持ちなくない。怒られたくないし。
「家族が心配してるんじゃないか」
俺がそう言うと、コアは顔色を変えた。
「してないわよ。私嫌われてるし」
え、コアの顔を見てみると嘘をついてるように見えない。人には家庭の事情がそれぞれある。それは俺だってそうだ。俺も家族に関しては触れられて欲しくない、例え俺の家族の事情を知らない人でも、理不尽だと思う、けど嫌なものは嫌だし。
「ごめん」
「別にいいわよ。それで契約してくれるよね?」
う〜んどうしたものか。可愛いし別に異論は無いんだけど。
俺が悩んでいると、コアは口を開けた。
「私と契約してリオン私は精霊なの。もっと言えば精神生命体」
コアは更に詳しく話してくれた。
精神生命体とは肉体を持たない者達だ、魂のみで活動出来る者たちで彼らは実質不死に近い、どれだけ肉体が壊されても魂さえ無事であれば何度も蘇るのだから。
精神生命体は五つの種族がいる。
「悪魔」「天使」「冥界」「異界」そしてコアがいる「精霊界」だ。彼らがいる場所はこの世界の中心にあるまた別の小さな世界だ。それぞれ界が別れており干渉する事は不可能。そんな彼らがこの世界に権限する為には肉体が必要、つまり受肉しないといけないのだ。
「って言う事、私ぐらいに上位の精霊になれば自分で仮初の肉体を作ってこの世界に居ることが出来る、けど時間の問題ね、今もエネルギーの消費は進んでいる」
更に動けば動く程エネルギーの消費が激しくなるのだ、故にコアはここから動く事は叶わなかった。
でも不思議だなコアの言う通りならばコアは死ぬ事は
精霊界に戻りたくないから俺と契約したいって事。
「それは分かったけど・・・俺にメリットあるの?」
「あるじゃん!私みたいな美少女と契約できる!」
「いや、それ自分で言うのか」
まぁ確かににコアはめちゃくちゃ可愛い、その辺の男ならすぐに契約するだろうな。けど俺は違うまずは信用を積んでからだ、見た目には騙されない俺はよく知ってるからな。
「じゃあ!1週間でいいよ!そして私乗り換えるから!」
「いや、そっち方が余計に信用出来な──」
するとコアは俺の両手をギュッと握った。
「ダメかな?」
悩殺ショット!!
やばい、死ぬこいつ性格はあれだけど顔はめちゃくちゃ可愛い。
「う〜ん」
と、俺はグッジョブした、だって仕方ないよなこんな可愛い子が上目遣いで頼んでくるなんて断る術は無い、いや男じゃない。
「ありがとう!」
「いや、大丈夫だ。それで契約って」
「私がやるからリオンは言われるがままやって」
コアはそう言うと俺の胸に手を置いた、ドクンドクンと心臓がなる、恥ずかしい。てか聞かれてないよな
【心拍数の上昇を確認。警告、異常事態が発生しています。身体状態をモニタリング中、直ちに安全な行動を取ってください。】
戦闘態勢じゃないよ?!まぁ確かに異常事態だけど。
仕方ないじゃないか、俺はこんな事した事がないし。
「私は久遠の霊、無限の時を流れし者。
汝の声、心の深淵に届きたり。
誓いを交わし、力を分かたん。
我が力、汝の意志と共にあらん――契約、ここに成る!」
コアが目で同意してと訴える。俺は頷いた。その瞬間周囲の空気がザワっと盛り上がる。エネルギーが爆散しやがて俺の体内に収集された。
「これで契約終わり、よろしくねリオン!」
コアは満面の笑みでそう言う、可愛い。俺は照れながら頷いたのだった。
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