第3話:世界の知識

「あ、い、う、え、お!か、きあ、くけ、こ!」

 俺は今発生練習をしている、なんせ俺には声帯が無いので声が出せないと思ったが。

 声にエネルギーを込めて反射させて発しているのだ。

 声帯の代わりに、特定の振動体やフィルターを利用し、生成されたエネルギーを音波に変換する。

 これにより、音声のような波形が生まれる。

 声に込められたエネルギーは、特定の周波数や振動数を持っており、周囲の環境に衝突することで反射するのだ。

 音が聞こえるだけでなく、特定の情報や感情が伝達されることが可能になる。

 まぁ、俺の知識じゃなくてAIさんの知識なんだけどね!こうして俺は今発生練習をしていた。

 ん?なんでバクみたいな姿をしているのに声を練習しているかって・・・そう言われたら返答に困るけど、念の為だ、もしかしたらこの世界は俺のような姿が一般的って可能性があるだろ?


 だからこそ俺は練習をしているのだ、備えあれば憂いなしって言うしな。

 まぁ、一番の理由はやる事がないからだこうして何も考えないで洞窟を歩いていると壊れてしまいそうなので俺は声を発していた。

 なるべくこ 孤独を感じないように工夫をしているのだよ。

 けど、この通りまだまだ全然だ、これなら子供の方がまだ上手に言葉を紡ぐことが出来る。

 ちなみに子供ってあれな?幼稚園ぐらいの人だからな。

 ってそんな事は置いといて俺は今発生練習に専念することにした。


 やはりは寂しいな、俺の『AI』はあくまでも受動的で自我はないのだ。こちらから話を振らない限り向こうも離さない、話せても淡白で無機質な声色なので話してる感じがしない。

 アレクサと会話してるみたいだ。まぁそれでも話し相手が居るのは嬉しいんだけどね。

 ちなみにAIさんは色々と自分で出来る機能があるらしい。例えば俺の記憶細胞から音楽を流したりとか可能だ。声はミクだけど・・・。

 俺の身体はエネルギーの集合体でもあり同時に細胞の集合体でもあるのだからな。

 ちなみにエネルギーが無くなると俺が死亡する。

 逆に言えばエネルギーがある限り死ぬ事はない例え首を切られようが四肢がもげようがエネルギーがあれば再生可能だ。

 しばらく歩いていると、広場に出る、大きな湖が確認出来た。

 ちなみに水の状態は『良』らしい、安全という事か。

 水を見ても飲みたい欲求が湧かない、そもそもどうやって飲むのだろうか。

 俺は水に触れてみるだけど持つ事は出来ない、液体が液体を掴むような者だ、俺の掌から落ちる。

 水の情報を俺の体内に取り込む事って可能か?

【可能です・・・ただ物質を取り込むのは時間がかかります】

 可能なのか、それならいくら時間をかけても問題は無い、やる事ないし。退屈だし暇だし。

 焦る理由もないので俺は気楽に待つ事にした。しばらくすると水の情報が体内になだれ込む。

 水を情報因子に変換させ俺の体内に取り込む事に成功したのだ。

 大体10Lぐらい確保した。これだけあればいいだろう別に水も飲む訳じゃないし、水の情報因子獲得はあくまで実験に過ぎないから取りすぎてもって感じだ

 それで面白い事が出来た。例えば水を圧縮して指向性を持たせ放つと、『水刃』見たいに破壊力がある攻撃に変わる。

 こんなの人に打ったら即死案件だろ、おい。

 水を一点に放出してビーム見たいに高圧力の水射も可能だ。

 とにかく凄い、めちゃくちゃ興奮するぜこれが異世界か、こんなの誰かに話しても信じて貰えそうにないってぐらい非現実的だ。

 更に自身のエネルギーを集約させて自らの身体の分子を水の構造に再配置し、流動的で柔軟な物質としての特性を持つ水に変化させる事も出来る。

『情報操作』超絶に強い、この権能は改めて説明すると俺の体内にある情報を自在に操る事が出来る。

 そのおかげでこんな事も可能なのだから。

 情報だけを持っていても意味が無いそれを使う事に意味があるのだよ!

 しばらく歩いていると洞窟内に絵画のような者を見つけた。

 そこには人?いや、“何か“描かれている。人の姿や龍の姿、はたまた時計のような者だと奇妙な形や姿をしたいものが七人描かれている。

 誰だ、この人達は。気になって壁に触れるとガラガラと壊れた。まぁ俺が来た時点だ壁に亀裂が入っていたし少しの振動で壊れるのも無理はないよな!俺は悪くない!

 言い訳を並べて俺は奥に進んでいく、単純に好奇心から来るものだ。気になって仕方がないヤバくなったら逃げる。


 入ってみると本が沢山並べれている。誰かが生活していた様子はまるで感じない、不気味だ。

 部屋を見渡していると禍々しい本が存在している。

 なんだ、あれは。

 気になって俺はそれに触れてみた、その瞬間だった膨大な情報量が俺になだれ込む。

【獲得しました・・・《世界の知識》】

 これが“世界の意志“の言葉・・・何が起きた。本を触れた瞬間に大量の情報が俺の体内に入ってくる感覚だ。でもそれは力じゃない。

 そうこの世界の“知識“だ。


【システム作動中・・・『世界の知識』をユニークスキル“AI”とのリンクを行いますか?

 リンクを行うことで、世界の知識をリアルタイムで取得し、分析、活用が可能となります。】

 えぇ、うん。頼むよ。その瞬間実行された。

 特に身体に違和感は無い、俺は気になったのでこのスキル?能力?の詳細を聞いてみた。

“この世界に存在する、隠蔽されていない“事象のすべてを包括的に理解し、網羅することを指す。

 隠蔽されていない事象とは、物理的な現象、自然の法則、文化的な慣習など、観察可能であり、認識されうるすべての現象を指す。

 後はこの世界の常識とかも知る事が可能だ、魔法やスキルと言った抽象的な物は解析鑑定で分析する必要がある。

 まぁ俺のAIさんはこの世界の情報を得ることが出来たと分かればいい。

 ゲームで言う喋る攻略本って考えかな。

 ともかく心強い味方が出来た!

 と、言う事で俺はこの部屋から出た。

 これ以上居ても仕方ないので俺は出口を探す旅に出たのだった。

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