第0話:リオン

「あぁ〜なんで俺生きてんだろ」

 本作の主人公: 連城龍音リオンは生きる希望を見い出せない現役不登校のピチピチ16歳だ。



 窓の外に広がる景色を眺めながら、飛行機の揺れに身を委ねる

 青い無限の広がりが眼前に広がるような美しい光景だ。海面が太陽の光を反射してキラキラと輝いていた。クラスメイトの和気あいあいとした声を聴きながら俺は現実について考えていた。


 現実は不公平だ、何故か。それは社会的背景が人格形成に影響を与えるからだ。貧しい家庭と裕福な家庭で生まれた人々は、同じ人間でもスタート地点がまったく異なる。貧しい家庭に生まれたからといって絶望する必要はない。成功者もいるからだ。しかし、結果的には貧しい家庭で育った人々は、学習環境や運動環境、精神的な余裕などを考慮すると、同じ結末を迎えることが多い。

 俺の家も決して裕福とは言えずに親も幼い頃からいなくなりこうしたひねくれた人間になった。


 一方、裕福な家庭に生まれた人々は社会的地位や充実した学習環境、習い事などで差が広がっていく。こうした人々は親の成功を見て、同じく成功を目指すことが多いのだ。俺のクラスメイトにも超絶なお嬢様かねもちが居る、この飛行機も実はそのお嬢様のものだったりするのだ。


 もちろん、これは俺が一部の状況から出した考えに過ぎない。


 容姿や身体能力を加えると、さらに差が広がる可能性もある。


 ちなみに、俺は家庭環境がそれほど良くなく、容姿も良いとは言えない。俺は先天的なアルビノで、小学生の頃にいじめられていた。目が白いため、よりいじめられる要因となった。


 人は理解できないものを嫌う傾向がある。しかし、それは仕方のないことだ。逆に、無理して関わることで本人に影響を与えることもあり、自分にとって不必要な存在を排除する判断力が重要である。

 ただし、自分の価値観を他人に押し付け、同じ考えを無理やり強要するのは悪だ。他人が理解できない存在を共有することは陰口になり、やがていじめに発展する可能性がある。俺もその犠牲の一人だ。


 飛行機に揺られながら、俺は窓の景色を眺める。

 現在俺達は高校生活最初の修学旅行で海外に向かっている最中だ、クラスメイト達は飛行機の中なのに騒いでいる。全く今体力を使えば着いた時にはヘトヘトだぞ。


「ったくそんな湿気たこと言うなよ、お前の生きる理由が無いなら、俺が生きる理由になってやるぜ」

 こいつは、神宮寺ツバキ俺のライバル関係で何かと張り合ってくる。ツバキとは生まれた時刻、場所も同じでそこからずっといる。俺と似た環境で俺達は同じ時に施設に送られた。下手すれば家族よりも長いかも知れんな。


「ハイハイ、ありがとう生きる理由になるよ」

 適当にあしらいつつ俺は窓の景色に再度集中した。綺麗な海が一面に広がっている。


「ね、ね、リオンちゃん一緒に回らない?」

 後ろから俺の頭をポンポンと叩いたのは、“桜蘭 みぃ“だ。彼女とは小さい時の幼馴染で俺が不登校にならなかった恩人的な存在だ、そんな彼女の頼みには俺はめっぽう弱い。


「え?マジ?う、嬉しい!」


「おい!俺と一緒に回る約束は!」


「してねぇだろ!」

 機内は和気あいあいとしていた、誰もが修学旅行を待ち望み、胸に期待や夢を膨らませている。ある奴はビーチを、ある奴は文化を楽しもうと・・・そして俺達とは対象的なコクピットではよからぬ風が吹いていた。


 ちょうど魔の三角形を通った辺り飛行機は故障を起こした。



 ♢♢♢

「機長!機長!操縦が聞きません!」

 副操縦士は慌てながら報告する。ついさっきまで正常に働いていたのに急に機会が動かなくなったのだ。


「分かってる、運用管理部に繋げ!」

 激号の命令を飛ばす、副操縦士の手が緊張の中で無線機に伸びた。空からの静寂が彼を包み込み、航空会社の運用管理部門への呼び出しは、不測の事態に直面した飛行機の命綱だった。操縦室には不穏な緊張が漂う。しかし何度コールしても繋がらない。


「つ、繋りません!」


「まじで!!」


 操縦桿よくてん、スロットル、マルチファンクションディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、高度計: 、方向舵、エンジン計器、様々な機器を弄ってみるが反応無し。乱暴に扱う機長を見て副操縦士は一言


「機長・・・もう少し几帳きちょう面にやりましょう」


「うるせぇ!!」

 機長の怒鳴り声と同タイミングで機内にも異変が現れた、遂にエンジンが故障したのだ。飛行機は大きく傾いた。


「なんだ!!」

 クラスメイトの誰かが驚きの声を上げた。


「おい、何が起こってんだ」

 ツバキの発言が引き金となり、クラスメイト達も声を上げ始める。


「わかんないけど、なんでお前嬉しそうなんだよ」

 俺は笑っているツバキを見てそう素直に発言した、こいつは昔から死にそうにになると笑う節がある、本当に直した方がいい癖だ。


「怖いよ怖いよリオン」

 その反面みぃは怖いのか泣きついてくる。いい匂いする・・・じゃなくてまじでやばいぞこれ、


 死にたくない!死にたくない!俺まだチェリーボーイだから死にたくない!



「諦めろ、運命に身を任せるのも人生の楽しみ方よ」

 出来る老人みたいなことを言い出したツバキ。


 状況は悪化するばかり、機内に緊急アナウンスが響き渡るもほとんどの人はパニック状態に陥る、聞いてない状態だった。


「機長もうダメです!」

 副操縦士の発言と共に飛行機は大爆発を起こした・・・。


「あれ・・・?」

 飛行機が墜落して・・・えーと即死だったのか痛みは覚えてないけど直前までの映像は覚えている。まさかここが死後の世界なのか?それにしては妙に現実的だな、波が打つ音がまじかに聞こえる。その付近を俺事、リオンは倒れ込んでいた。


 身体は痛むが動けない程では無い、俺は足に入れて立ち上がる・・・そして周りの光景を見て俺は口を開けた、開いた口が塞がらないとはまさにこの事を言うのだろうか。


 そう、俺は見慣れない場所に漂着していたのだ。


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