第10話:外の世界

俺達はようやく外に出る事に成功した、柔らかな風が優しく頬を撫でる、太陽光は祝福するように俺達を光り輝やかさる。


「うぉぉぉぉぉ外だァァァァ!」

俺は両手を上げて叫んだ、久しぶりに太陽に感謝をした。ニートの時代の時は鬱陶しくて堪らなかったけど!もうそんなことは言いません!ありがとうお天道様!!


「兄貴!!やりましたね!・・・でこれからどうするんですか?」


「・・・あ、それはな、うん、」

何も考えてなかった、俺は自分の俺の異世界生活を満喫しようと思っていたが、特に目標も無いしやることも無い。

冒険者とは定番だけど多分ここにはないよな、辺りは森ばかりだし、そもそも論冒険者の概念があるかどうかすら分からない


どうっすかなぁ・・・、あ、待てよ


「そういやダクネス、お前親父の仇とか打ちたいって言ってなかった?」


「はい、言いましたけど」


「よし!手伝ってるよ!」


「まじですか!!」


「あぁ・・・やることないしな!それにお礼も兼ねてだ、お前のおかげでここまで辿り付く事が出来た」


「兄貴!ありがとうございます!!」

そこは、自分も同じ気持ちですって言わんのかい、ダクネス・・・こいつまさか本心では自分おかげだと思ってるか?いや、別にそうなんだけどさ、


「で、どこに行くん?」


「ここの森を先ずは抜け出す事から始めましょう!兄貴!」


「うん?そうだな」

情報の秘書アシスタントさんここはなんて言う場所だ?


雲雀ヒバリ大森林・・・長耳人エルフ族、土地人ドワーフ、と言った様々な種族が暮らしています、また雲雀ヒバリ大森林でしか取れない物もあります】


へぇ〜なるほどね、長耳人エルフと言えばあれだよな?あの超イケメンと可愛い子しかいない種族、土地人ドワーフは男らしい漢って感じの種族だよな、そして武器を作るのが得意。楽しみだな。


そういや進化何種族必要?


【進化までは五つの種族を獲得してください】

りょーかいだ、進化を目指しつつ俺はダクネスの目標を手伝ってやることにした。


「で、何か手がかりはあるのか?」


「俺の親父を裏切ったのは、全員で6人です。元親父の最高幹部だった百鬼夜行オルクラシの一員で一人一人が規格外の力を持ちますよ、いくら兄貴とはいえ苦戦するとは思います・・・」


百鬼夜行オルクラシって何?て聞いたが帰ってきた答えは【ダクネス親、夜叉に従えていた最高幹部だと言うのとだ。】

俺はその辺を詳しく聞きたいのだが、これ以上は目が光る程の情報は得られなかった、スキルの情報や魔法の情報等、得られるが個人的な組織の情報まではどうやら得ることは出来ない見たいだ。


「大丈夫だ、俺ら二人ならやれる」

それに進化したし性能を試したい気持ちもある、後はやはり進化の素材もあるし、ダクネスの復讐を果たせることも出来るし、進化の素材も集める事が出来る一石二鳥だ。


「兄貴!」

ダクネスな純粋な目で俺の方を見てくる、意外と可愛いなこいつ身長は高いけど、そういや声も変わってない元々低かったから別に大して違和感は無いけど。


「で、とりあえずここを抜ける?」


「そうしましょう!兄貴!!」


黒狼と白狼は、森の中を自由自在に駆け回っていた。その豪快な姿は、野生の王者たる彼らならではの迫力があり、見る者を圧倒させる。

黒狼は、その漆黒の体で闇夜に深みを与え、白狼は、その雪のような毛並みで明るさをもたらす。彼らは、対照的な姿であるが、互いに補完し合い、完璧な調和を生み出していた。


「爽快すっね!兄貴!!」

ダクネスは走りながら俺にそう告げる、俺も走りながら答える。


「あぁそうだな!!」

太陽光が遮り暗い森の中を走る、不規則な足元をダンサーのような身のこなしで避ける。


「おい!待てダクネス!!」

森の中でエネルギーを感じた。それは、何かが森を取り巻く不穏な影の中に潜んでいるような感覚だった。俺は周囲を見回し、何かが違うことに気付いた。森の色彩は暗く、木々の葉は枯れたように萎んでいた。そして、その中には不穏な静寂が漂っていた。


「勝手に我の領域に踏み入るとは恐れを知らない奴らだ。それとも蛮勇か?」

森全体に響く低い声が、俺達の耳に入る。ダクネスも警戒を続けた。


その瞬間、圧倒的なエネルギーを秘めた魔狼族の頭角が剥き出しになった。グレーの毛並みが、妖しく輝く太陽光に照らされながら、静かに姿を現した。 同じ魔狼族か?!


「ん?魔狼族?──どこに所属している」

魔狼族のボスは俺達にそう言葉を投げかけた。俺達は今エクストラスキル「魔狼化」を使っている、だから勘違いしているのか。


「いや、どこにも所属はしてない。間違えて入ったみたいですまん、じゃなくてすみません」


「お前レベルの魔狼が?」

ボスは俺の事を疑っているのが怪訝な目で俺の方を見てくる、汗が出ない体質で本当に良かったよ、ダクネスの方は・・・こいつは殺る気満々だ、とりあえずその殺気を抑えろ。


「ボス・・・こいつのエネルギー量、ボスと同じすっよ」

青色の毛並みをした海をイメージさせる魔狼族がボスに耳打ちした、彼の名前は「氷結のコール」だ。

常に物事を俯瞰ふかん的に見ており魔狼族の指揮系統を任せれている、ボスが一番信頼する魔狼だ。


次に喋るのは赤い毛並みをしている「狂犬のマッド」だ。嗜虐心が強く他人をいたぶる事が趣味だ、弱いいじめが好きで同じ魔狼族の中でも嫌わている。


「ひゃひゃひゃひゃひゃ!いいな!ボスと同格の魔狼、どんなはらわたしてんだよォ!!」

ヨダレを垂らしながら頭を上下左右にブンブン動かす異常者だ。


(確かにこんな奴が居たら俺が気づかないはずがない、こいつのエネルギー量、下手すれば俺よりも上だ)


ボスの目は正しかった、実際にリオンはエネルギーを抑えている状態でもボスと同じエネルギーを保有している、そんなエネルギーの持ち主はボスが見逃すはずないのだ。


だからといって本気で殺し合えば勝てるとボスは自負している。エネルギーの量=強さには直結しないからだ。


「提案がある、お前達を生かしてやる。その代わり俺の手下になれ」


「んだと!兄貴やりま──」


「よせ、悪いなこいつは俺の配下で」


「随分と献身的な部下がいるじゃないか」

ボスは反抗したダクネスを見ても取り乱す事は無い、むしろ口角を上げていた。


「いくらお前達が強かろとも、この人数を相手できねぇよな?“クロカッス“をも殺す精鋭たちだぞ?」

その時満を持して待っていただろうと言われる中堅の魔狼達や死線を潜ってきてだろうと思われる魔狼達が現れた。一人一人のエネルギー量も俺の進化前よりもある。今の俺に比べては微々たるものだけど。


「俺は風速を超える速度で動く事出来る・・・返事を間違えればお前達の命脈を噛みちぎる、俺の手下になれ報酬はたんまりと用意してやる」

どうやらハッタリじゃ無さそうだ、それにここで戦うのは愚行だろうな本当に勝てるか分からないしボスに至ってはシャドウと同じエネルギー量を持っている。


「報酬・・・?」

俺は敢えて食らいついた。

「あぁ、魔狼族が好む魔物の死体や後は最高幹部に繰り上げてやる」


伝えられるところによれば、ボスのもとには、最高幹部として「色彩」と称される、魔狼族の精鋭たちが仕えている。その名にふさわしく、彼らは赤・青・黄・緑の四つの色に分かれており、それぞれが独自の特性を持つという。


「入ります!ここで働かせて下さい!」


「あ、兄貴?!」

俺の提案にダクネスは眉をひそめた。


「今は大人しく従ってけ、隙を見て逃げるんだよ」

コソッと聞こえないように耳打ちをする、ダクネスは納得した顔をした。

「な、なるほど流石兄貴!」


「賢明で助かったよ、信頼と手前としてお互いに名をなろう。

俺は魔狼属を全て長に君臨し、万物も噛み殺す最強の神狼ボスだぁ!」

名前ボスって言うの?紛らわしいな・・・。


「赤く真紅は血の色、俺の足元には常に血が蔓延る、狂気は常に戦闘にて磨かれる狂犬のマッド」


「俯瞰的に、大局的に、物事を冷静に静穏に注視する、青は力強さを彷彿とさせ生命の源海をイメージさせる、氷結のコール」


ちょっと待ってこれ、全員やるの?恥ずかしいいてぇぇぇぇ・・・


「ダクネス俺達も考えるぞ!」


「はい!兄貴」

俺達はコソコソと喋った。その間にも彼らは自己紹介を続ける


「他人を癒し、森をも癒す、私の癒しは全てを包む包容力かまある、緑は平和と調和を緑はイメージさせる、調和のヴァージャ」


「他人を笑わす!森を笑わす!狩る獲物を笑して狩る!黄色は

明るく、元気を思い描く、道楽のマシル」


「森を優雅に駆け、白き毛並みを靡かざる。白は神聖、清潔を想像させる!白夜のリオン!!」


「力こそ全て、力があれば何もかも手に入る!黒は全てを飲み込み同一させる!深淵のダクネス!!」

決まったな・・・俺とダクネスは自慢げの顔をして彼らを見る、けど──変な生物を見るような目をしていた、なんだよその顔、お前達もやっていただろ?背中に流れるはずもない汗が出ている感覚がする、そしてボスは口を開けた。


「お前面白いやつだな」


「お前らだってやっていたじゃねーか!!」


こうして俺とダクネスは仲間に入ったのだ。






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