最終章
第47話 ダンジョンを攻略せよ
「おーい、みんな!こっちこっち!」
「桜さん、お久しぶりです!」
あれから3日後、地獄のような筋肉痛から解放されてようやく体調も万全になった俺は冒険者ギルドに来ていた。
ここまで一緒に来たのは翼、江莉香、来夢、芽亜、美沙、希梨ちゃん、俺含めて全員で7人の大所帯である。
既に澪葉と桜さんは俺たちを待ってくれていたらしく、こちらを見つけるなり手を振っていた。
「最初はウチと凰真クンの二人だけだったのにいつの間にかおっきなギルドになったよね〜」
「どうなのでしょうか、世間には数百人規模のものも多数存在すると聞きますが」
「ま、オレらは一人で百人分みたいなもんだしな。実質千人みてーなもんだろ」
来夢のアホみたいな理論は置いといて、確かにギルドメンバーが九人というのは世間一般的に非常に少ない小規模ギルドだ。
だが構成メンバーのうち七人は星剣、さらにうち二人は神代三剣。
うん、文句なしにヤバいやつが揃ったな。
「して凰真に美沙よ、本当に体調は良いのか?」
「久々にバッチリだよ、もうなんでもできそうなくらいだ」
「いつも私のこと心配してくれてありがとうね!」
「そういうわけではない、我の所有者に死なれたら困るというだけだ」
やっぱコイツ素直じゃないけどわかりやすいな。
美沙に礼を言われてそっぽを向いてしまったが、褐色の肌に赤みが差している。
「翼、美沙の優しさを素直に受け取れないの?」
「済まなかった、決して美沙の好意を蔑ろにするつもりは……」
「大丈夫だよ、翼さん。希梨ちゃんもそんな怖い顔しちゃダメ」
うーん、大丈夫だろうか。
このメンツなら敵に負けるようなことは絶対ないと断言できるが、仲間内にはかなりの不安を抱えている気がする。
「はいはーい!みんなちゅーもく!そろそろダンジョンに行くよ!」
「桜さん、確認ですけど今日行くのはSSランクのダンジョンですよね?」
「そだよ!協会から直接指名でお願いされちゃったからね」
これまでダンジョンからのモンスターの出現はごく稀に起きる対処しようのないもの、火山の噴火と同等レベルの災害として扱われていた。
だが今回の小隕石の落下に伴い世界中で短期間にモンスターの侵攻が多数発生、甚大な被害をもたらし、もはや無視できないものとなった。
そこで協会は本格的にダンジョン攻略を進めることを決定した。
ボスを討伐した後のダンジョンは「不活性ダンジョン」と呼ばれ、通常の「活性ダンジョン」と比較して特有の資源の生成量が低下する。
ダンジョンから取れる資源によって科学技術が大きく発展し、もはやダンジョンによって社会が支えられていると言っても過言では現代において、それは国際的な問題となる。
そのためこれまではあえてダンジョンを攻略せず、適度にモンスターを討伐しつつ資源の回収を行っていた。
だが不活性ダンジョンからはモンスターの出現も起こらない。
そのため今回の事件を受け、国の方針として多くのダンジョンを不活性化させることとなったのだ。
ただし全てのダンジョンを不活性化させてしまえば資源が枯渇する上に、そもそもダンジョンの攻略自体誰にできるものでもない。
なので協会が攻略対象ダンジョンを決定し、直接ギルドに依頼が降りる。
まさに俺たちがその対象となったわけだ。
まあこれまでの活躍や幾度となく発生した襲撃への対処などを考えれば当然のことかもしれない。
「わたしがいればしんぱいしないでいいよ、おにいちゃん!」
「そうだな、頼りにしてるぞ」
頭を撫でると芽亜は嬉しそうに目を細める。
周りからすれば遊びに来た子どもの集団にしか見えないかもしれないが、これでも協会お墨付きのれっきとしたSランクギルドだ。
今からそれを証明しにいこうじゃないか。
「それじゃあ行こう、みんな準備はいいよな?」
俺の問いかけに対し、みんなの思い思いの返事がくる。
少なくともやる気十分なのは伝わってきた。
協会が用意してくれた転移魔法陣を使い、今回の目標であるダンジョンへと向かう。
こうして俺たちによる日本に9つしかないSSランクダンジョンの一つ、通称“プルソン”の攻略作戦が始まった。
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