第4話
その場は、一瞬静まり返った。
「す、すごいじゃねーか、じいさん、これを当てる奴はなかなか居ないんだぜ」
男は少し動揺した様子を見せたが、すぐに飄々とした態度に戻った。
「さあ、配当金を貰おうか。確か、賭け金の3倍だったはずだ」
「ああ、そうだったな。だが、ここで終わるのは惜しくないか?」
男は鋭い眼光をレプトンに向けた。
「次勝てばさらに2倍の額を支払おうじゃないか」
勝負をして勝てばさらに2倍の額を受け取ることができるが、この男はそんなに大金を持っているようには見えなかった。
「いや、ここで引き下がっておくよ」
男の申し出を断ったことで、マルクは少し安堵した。これで、100万円の3倍である300万円が手に入るはずだ。
「さあ、早くしてくれ」
レプトンが男に向かって配当金の支払いを急かすと、男は周りに集まっている観衆に目を配った。
すると、1人の男がレプトンの肩を後ろから掴んだ。かなり大柄な男で身長は2メートルを超えているように見えた。
「もうひと勝負してやってもいいじゃねえか。なあ!皆!」
周りの観衆が、それに応えるように「そうだ!そうだ!」と声を上げた。どうやら、周りの観衆はただの見物客ではないらしい。
「すまない、私はもうやる気が失せてしまってね。君が誰かは知らないが、私は勝った分のお金を受け取りたいんだ。」
大柄な男はレプトンを睨んだ。レプトンの肩を掴む手にさらに力が入っている。
「君、肩から手を離してくれないか」
その場は緊張感に包まれた。大柄な男は今にも襲いかかりそうな雰囲気を醸し出している。この場からどうすれば離れられるか考えるがアイディアが出てこない。
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