第3話
男がコインにコップを上から被せた。コップは全部で3つある。
3つの入れ物を男が手早く入れ替える。最終的にどのコップにコインが入っているかを当てるのだ。
男の入れ替え速度は徐々に上がっていく、その手際の良さに感心するが、注意深く観察していれば、コインが入ったコップを見落とすことはない。
コインが入ったコップを目で追い続け、マルクは当然に右側のコップにコインが入っていると思った。
「さあ、どの入れ物にコインが入っているか、当ててみな」
男は自信たっぷりに言い放った。
レプトンは手を顎に当て、少し考えるそぶりをしながら静かに答えた。
「左のコップだ」
そんなはずはないとマルクは思った。ここで外してしまうとレプトンは持っていた金を全て失ってしまう。
「レプトンさん、右側のコップじゃないんですか?」
「いいや、左だ。さあ、早く結果を見せてくれ」
男は真ん中のコップをゆっくりと空けたが、そこにコインはなかった。男が右側のコップに触れ、コップを持ち上げた。マルクは地面を凝視した。
しかし、そこにコインは入っていなかった。
男はすぐに左側のコップを持ち上げた。
一瞬、冷や汗が背中から零れ落ちるのを感じた。
そこには1枚のコインが太陽を反射し光り輝いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます