第16話「ごきげんよう」



 「どういうこと? 聞いてないわ!」

 帝都のハルトマン伯爵家のタウンハウスにて、イザベラのヒステリックな声が響いた。「皇帝から勅使がきて、書状をいただいた。ハルトマン伯爵領は帝国直轄管理下におかれる。領民が北部へ向かうヴィクトリア殿下を襲撃したためだ」

 「なら、領民の首を刎ねれば済むことじゃないの!! 何故、領地を取り上げられることになるのよ」

 「領民を管理できない領主となれば、領地の管理をできていないとみなされる。そういうことだ。直轄領になった領地にて蟄居謹慎の沙汰がでた。イザベラ、君も準備をしなさい」

 「いやよ! まだ社交シーズンじゃないの! 貴方が戻ればいいじゃない! わたしはこのタウンハウスにいるわ! 領地なんてあんな田舎いや!」

 その理由で、イザベラは領地には戻らない。

 ここ数年、そうカールと結婚しハルトマン伯爵夫人となってからずっとだ。

 カールはため息をついた。

 「イザベラ、君は自分の立場をわかっているのか?」

 「だって、あなたの領地のことでしょ?」

 「僕たちは夫婦だよね」

 「だからって、何故わたしも? あなたのお仕事のことなんてわからないのよ、知らないわ!」 

 「君は僕と結婚しているんだ。領地での税収で僕たちは生活している。それが貴族なのだということはわかるね」

 小さな子供を諭すようにイザベラに語り掛けるが、イザベラは反抗的な視線をカールに向けるだけだった。

 「その領地で、起きた事には責任が伴う」

 「じゃあ、貴方が責任をとれば済む話じゃない!」

 そう叫んだイザベラに、カールはため息をついた。

 「君の身に着けているドレスも宝飾品も、領民の税で買ったものだよ?」

 「領民が領主に税を納めるのは当たり前のことでしょ! そのお金はわたし達のものじゃないの!」

 堂々巡りだなと、カールもカールの傍にいた使用人たちも思った。

 「伯爵様、奥方様のお荷物は……」

 「うん、纏めてくれ」

 「なりません! わたしはここに残ります」

 美しく化粧を施したその顔。

 まなじりを引きつらせるようにして叫んだ彼女を見て、カールはため息をついた。

 「……わかった……いつものように、君の好きにするといい」

 イザベラはほっとしたように表情を緩める。

 「領地から連れてきた使用人は僕と一緒に領地へ戻る」

 「いいわ、わたし一人だもの、メイドの一人と侍従がいれば!」

 タウンハウスのベルが鳴りメイドが対応する。

 「あ、仕立て屋からの迎えがきたわ! もう、最近、仕立て屋も本当に遅いのよ、今日の夜会に間に合わないかと思ったわ。じゃあ、いってきます。貴方」

 新しいドレスと宝飾品と夜会に既に心を飛ばしているイザベラの後ろ姿をカールと使用人たちは黙って見送る。


 「……旦那様……奥方様は……領地が帝国の直轄領となる意味を、ご理解されていないのではないでしょうか……」


 おずおずとメイドが進言する。

 カールはイザベラが出て行ったドアを見つめて呟いた。


 「……さようなら……イザベラ……僕は本当に……君のことが好きだったんだよ」


 カールの呟きに使用人たちははっとする。

 自分の恋と……貴族である責任と……彼が後者を選んだ瞬間だった。

 それまでイザベラの散財や言動に、使用人たちは眉を顰めるものの、伯爵である彼が容認していた。

 しかし、今回はそうはならない。

 それを説得しても納得はしない。

 自らを着飾り、周囲の注目と羨望の眼差しだけが、イザベラのすべて。

 己の貴族としての責任に向き合おうとしなかった享楽者。

 その彼女に決別した瞬間だった。


 「旦那様」

 「お前たちにも苦労をかける。領地へ向かう準備を急いでくれ」

 「なぜこんなに、私たちにもお優しい旦那様なのに……奥方様は……ご理解してくださらないのか……」

 「……そういう女性なんだよ」

 

 カールの言葉に使用人たちは領地へ向かうために荷物を纏め動き始める。

 その様子を見て、カールは呟いた。


 「本当に……初恋は……実らないものとよく言われるけど、それは事実だった」


 多分、イザベラとは二度と会うことはないだろうとカールは思った。


 破綻したハルトマン伯爵領は皇帝直轄領にと移行され、管理は次代皇帝、第一皇女エリザベートの元において行われる。

 執務室のデスクに置いてある皇帝から書面にてそう記載されていた。

 先に行われた北部の戦役において、その辣腕を振るった皇女。

 皇帝より配された私領の経営も目を見張るものがあるという。

 ヒルデガルドが貴族の女性達の間で、これが男性だったらとため息とともに呟かれるが、エリザベートは貴族の男性や官僚達に、これが男だったらと言わしめる皇女だ。

 カールはこれから戻る領地と領民のことを思って深いため息をついた。

 



 その日の夜、帝国貴族のなかでも、内証豊かなライフアイゼン侯爵の夜会に招かれた貴族の女性の一人がイザベラを見つけた。


 「あら、あそこにいるの、ハルトマン伯爵夫人じゃなくて?」

 「まさか、うちの主人から聞いたけど、ハルトマン伯爵は領地に蟄居謹慎の沙汰が下されたというお話でしたけれど?」

 「確かに伯爵のお姿は見えませんわね」

 

 扇を口元にあててひそひそと会話を交わす。


 「じゃあ、彼女だけ?」

 「ヴァルザー伯爵のエスコートのようですわ」

 「ごきげんよう、リュッケベルグ伯爵夫人、ロンメル侯爵令嬢どうかなさって?」


 ひそひそと扇越しに会話をしていた二人の淑女に挨拶をかけたのは、この夜会の主催と親しいパルツァー侯爵夫人だった。


 「ごきげんようパルツァー侯爵夫人」

 「こんばんは……パルツァー侯爵夫人。いえハルトマン伯爵夫人をお見かけしたので驚いていたところです」

 「陛下より、伯爵は領地に蟄居謹慎のご下命がくだされたのでしょ? 噂では伯爵は今日にも領地に向かわれたのを見かけた方がいるって……なのに、ご夫人がこの夜会に参加なんて、わたくし達すっかり驚いてしまって……」

 「なんですって? ……本当に……」

 二人の淑女が向ける視線の先に、話題のイザベラの姿を確認すると、パルツァー侯爵夫人も目を見開く。

 「……なんてこと……あの方、伯爵が蟄居謹慎の沙汰があったのはご存じないの?」


 二人の淑女はなんともいえない表情でイザベラを見つめている。

 ハルトマン伯爵が領地にて蟄居謹慎、ハルトマン伯爵家は現在傾きかけてはいるものの、代々の名門である。噂はその日のうちに帝都に広まっていた。

 その夫人が別の男性のエスコートをうけて帝都の夜会に出席しているのである。

 イザベラが他の貴族の男性と踊っている間、パルツァー侯爵夫人はヴァルザー伯爵に近づく。

  

 「ごきげんよう、ヴァルザー伯爵」

 「おお、これはパルツァー侯爵夫人」

 「さきほど、ハルトマン伯爵夫人とご一緒のところをお見かけしましたけれど……」

 「イザベラ殿なら、いま、別の男性と踊っているが、彼女に話でも?」

 「まさか。ヴァルザー伯爵、ハルトマン伯爵が領地に蟄居謹慎になったのはご存じ?」 

 「ああ、彼女はその件について、不満たらたらだったよ。そしてそれがどういう意味なのか理解してないようだ。残念なことに。しかしねえ……ハルトマン伯爵も……我々と同じようにしていればよかったのに」

 「え?」

 「あの手の女性は、傍に置くものじゃない。パルツァー侯爵夫人のようにいろいろと気を配る女性は妻として傍に置くべきだが……あの手のタイプは男にとってこういう夜会に連れて歩いて見栄えの良さを見せるだけの宝飾品のようなものだ」

 つまり、連れて歩いて遊び歩くにはいいが、生活を共にするタイプの女性ではないと彼は言うのだ。

 「私も遊び人と噂されてはいるし、自覚もあるが、人はみているつもりだよ。イザベラ殿を誘うのは、だいたいが私のようなタイプの男だ。また幻滅されかねませんかな。パルツァー侯爵夫人」

 ヴァルザー伯爵は自らを遊び人と認め、遊び人らしく茶目っ気たっぷりにウィンクを投げてよこす。

 「ハルトマン伯爵もな……若くて資産があって、経営の才能もあるのに、また難しい女性にひっかかったものだ。若い恋はすべてを盲目にする力がある……」

 「……遊び人と自ら公言されてますのに、いえ、だからでしょうか、含蓄のあるお言葉ですね」

 パルツァー侯爵夫人は彼にそういうが、彼ははっとする。

 「いや、だからといって、わたしに女性を紹介しようとか思わないでくださいね、私はまだこの状態を楽しみたいので」

 それを聞いてパルツァー侯爵夫人は肩を震わせて笑い、彼も一笑した。

 



 イザベラはいつものごとくエスコートされた男性に送られて帝都のタウンハウスに戻る。

 しかし、館の前には第一師団の騎士が二人ほどたっていた。

 扉のベルを鳴らそうとすると、騎士の一人が止める。


 「あなた達は何? なぜ止めるの? ここはわたしの家よ」

 「いえ、ここはハルトマン伯爵家のタウンハウスですが……」

 「そうよ、わたしはイザベラ、ハルトマン伯爵夫人です」


 イザベラがそういうと、騎士の一人が扉を開けて中に入っていく、制止しようとした騎士の腕も説明も振り切り、館に入った騎士の後を追うように、イザベラも館に入るが、館の玄関ホールには第一師団の騎士が行きかっていた。


 「何……これ……」


 ホールを飾っていた調度品や絵画がまとめられている。

 指示を出す執事風の男の傍に、若い貴族の女性が立っていた。

 若い貴族の女性のほうは、手にしてる扇ではっきりと顔がわからない。


 「何、あなた達!! ここはわたしの館よ! 出ていきなさい!!」


 金切り声を上げたイザベラに気が付いて執事風の男と若い貴族の女性が視線を書類からイザベラに向ける。

 騎士たちは動きを止める。


 「貴女は誰!? ここはハルトマン伯爵家の館よ!? それに何!? なぜ第一師団の騎士がここにいるの!?」

 

 イザベラに近づくのは執事風の男だった。男は進み出てイザベラに告げる。

 

 「この館はすでにハルトマン伯爵家のものにあらず、帝国管理下におかれる物件の一つです」

 「なんですって!? あなたは誰よ」

 「……頭の悪い女……でなければ、この帝都に残ってるわけがないか」


 執事の後ろに立つ若い女性がそう漏らした。

 イザベラはカッっとなって、執事を押しのけ若いその女性につかみかかろうとしたが、第一騎士団に阻まれ手を後ろに拘束される。



 「お放しなさい! 許しませんよ!? こんな狼藉!!」

 「お控えなさい、貴方も貴族に名をつらねるなら、このお方が誰かわからないなんて、そんなことはないでしょう」


 執事はヒステリックに叫ぶイザベラにそう言う。

 

 「知らないわよ! 誰よ、貴女!! 館をもとに戻して出ていきなさい! この泥棒!」


 執事が呆れたような視線をイザベラ投げる。

 若い貴族の女性は扇を閉じる。


 「このお方はっ!!」


 「よい、ミヒャエル。この女に貴族としての資格もないことは今の発言だけでわかろうというもの。私に名を名乗れなどという帝国貴族がいたことに、驚きだ」


 執事を遮って、扇で顔全体がよく見えなかった若い女性がイザベラに進み出る。

 イザベラの手を拘束している騎士を除き、イザベラの近くにいた騎士が跪く。

 さすがのイザベラも顔色をなくす。



 「名乗ろうか?」



 閉じた扇をポンポンと手の平で弄びながら、彼女はイザベラを睥睨する。


 「……も……申し訳……ございません……と、取り乱して……」

 「いやいや、マルグリッドから聞いていたが、よもや、リーデルシュタイン帝国次期皇帝の顔を知らないとは……ああ、わたしは女だから女帝になるか」

 


 「第一皇女……エリザベート殿下……なぜ……ここに……」


 

 「なぜ? その疑問はわたしが其方に問いたいな、なぜ其方がここにいる?」

 「だ……ここのハルトマン家のタウンハウス……わたくしは……ハルトマン伯爵夫人……」

 「ふむ、たしかに数時間前まではそうだった」

 「数時間……なぜ……」

 「本日の正午をもって、この館は帝国直轄の物件だ。ハルトマン伯爵は領地にて蟄居謹慎、領地も本日正午をもって帝国直轄、このわたしの管理下におかれる。其方は何も聞いてなかったのか?」

 「だって……領地が帝国の直轄領になるのは……でもこのタウンハウスは……」

 「領地が帝国の直轄領となれば、帝都におけるタウンハウスもその括り。ハルトマン家の資産はすべてわたしの管理下だ。いや……すでに資産というより、負債だな調べたところ」

 呆れたように館のホールに視線をめぐらすエリザベート。

 「そんな……ばかな……」

 「今日は時間が開いたのでな。負債の始末をするために、わたし自ら皇城近くのこのタウンハウスから査定に入ったが……」

 「そんな……」

 「それで、わたしの質問、其方は答えないようだが?」


 「だって、わたしがここに残りたいと言ったら……カールが好きにしていいって……」

 「殿下。この家の家令に聞いたところ、ハルトマン伯爵の説得に応じず、夫人はそのまま外出されたようです」

 「ほう……そうして、自分は夜会で楽しく過ごし、ここへ戻ってきたと……どれだけおめでたい頭をしているのか……ヴィクトリアのデビュタントの折も其方の言動、不敬であったが、今日はわたしに対して泥棒呼ばわり……」


 ポンポンと弄んでいた扇の先端をパシッと握りしめる。

 その蒼い瞳が、現皇帝と同じ輝きでイザベラを見下ろす。

 イザベラはゾッとした。


 「この者の、貴族位除籍、次期皇帝に対する不敬にて罪とする。連れていけ」


 騎士がイザベラの身体を反転させてドアへ連れ出そうとする。


 「いや、離して! ここはわたしの家よ!」


 イザベラは身体を反転させようともがくが、屈強な騎士に力で押さえつけられそれが叶わない。


 「その女の宝飾品も負債の弁済になる取り上げておけ」


 エリザベートの一言にまた一際甲高い声で叫ぶ。

 貴族の淑女としてはものすごい力で抵抗しようと試みるも、やはり数人がかりで押さえつけられて身に着けていた宝飾品を取り上げられた。


 「嫌!! それはわたしの宝石よ! 返して!! 嫌! 離して! 返してぇっ!!」


 ドアの外に連れ出されても、イザベラの甲高い喚き声は続く、もうそこが貴族街であってもなりふり構わない状態だ。


 「いやっ!! 離して!!」


 先ほどイザベラが楽しんだ夜会から、同じようにタウンハウスへ戻っていく馬車が行きかう。

 その馬車窓からイザベラの様子を見て、眉を顰め、または失笑する様子が見えるが、イザベラはそれにも構わないぐらいに拘束をほどこうと暴れていた。

 そして馬車がまた元ハルトマン伯爵の館の前に停まる。

 御者が馬車をおりたち、ドアを開け、中にいる人物を外へとエスコートする。

 侍女らしき人物が先に降り立ち、その侍女に引き続き降り立ったのは、マルグリッドだった。

 イザベラはマルグリッドを見て目を剥く。


 「マルグリッド……」


 その呟きが聞こえたのか、マルグリッドは嫣然とほほ笑む。


 「あら、どうなさったのかしらイザベラ様~……」

 「貴女の差し金ね!? わたしを離すようにこの騎士に言いなさい!!」

 

 扇で口元を隠し、クスクスとマルグリッドは笑う。


 「……貴女、誰にモノを言ってるのかしら?」

 「うるさいわね! この手を離すようにいいなさいよっ!! 貴女なんてグローリアみたいに美人でもないくせに、社交界では大きな顔して!! うっとうしかったのよ!」


 イザベラにとって目障りだったのは、この第三皇女マルグリッドだった。

 デビュタントも一緒で社交界に出て、その美貌で周囲を虜にしたイザベラだったが、マルグリッドは第三皇女という肩書だけで、自分よりほんの少し、人に注目されていた存在だった。

 それが悔しかった。

 そして第五皇女グローリアがデビュタントし、社交界での人気はこの二人に独占された。

 美しさにおいては第五皇女に負け、人望についてはこの第三皇女に負け、だから第五皇女が南国へ嫁いだ時は快哉したものだ。

 これで、社交界の中心人物は自分だと。

 しかし、そうはならなかった。

 マルグリッドは、ぱっと見、そこそこの顔立ちではあるが、グローリアや自分には及ばないと侮っていた。

 だから男たちはイザベラをもてはやす。

 しかし、最後には常に、独身者も既婚者も男も女も、マルグリッドが現れるとそちらへと向かうのだ。


 イザベラの言葉を受けて、侍女が言い返す。


 「なんて無礼なっ!」


 言い返した侍女を制して、マルグリッドはそんな言葉を浴びせられても、平然としていた。


 「ご自分の事をおっしゃってるのかしら……」


 そう小さく呟くと、騎士にとらえられているイザベラの横を素通りし、ドア前に立つと、そこにいた騎士はイザベラがこの館に戻ってきた様子とはまるで違い、恭しくドアをあける。


 「ちょっと! 待ちなさい!! この手を離すように言いなさいよ!!」


 パチンと扇を閉じて、ドア前でマルグリッドが振り返る。


 「わたくしは、フュルステンベルク公爵家に嫁したとはいえ、リーデルシュタイン帝国第三皇女マルグリッド。この国でわたくしに命令できるのは皇帝陛下のみ。貴女の命令をなぜ聞かねばならないのです?」

 

 いつものマルグリッドの口調から、ゆっくりと変化していく。

 そしてその表情も、普段誰にも見せないマルグリッドの本当の表情。

 それは、イザベラが先ほどエリザベートから受けた威圧と同じもの……。

 イザベラの基準で、エリザベートを除く他の皇女たちはただのお姫様。

 マルグリッドやヴィクトリアは社交界にでても、グローリアは別として、その地位ではもてはやされても自分のようには注目されまいと思っていた。

 だが、いまイザベラの目の前にいるマルグリッドの持つ威圧と迫力は、とても普通の貴族の女性が持つものではなかった……。

 間違いなく皇帝から継がれる風格。

 イザベラは膝から力が抜けるのを感じた。

 館内の逆光を受けて、マルグリッドは優雅にカーテシーをする。


 「ごきげんよう」


 その言葉が発せられて、館のドアはゆっくりと閉じていくのをイザベラは目にする。

 その光景が、自分の今までの栄華が失われる瞬間だと察した。

 憲兵の馬車が到着し、騎士は抗わなくなったイザベラを押し込め、馬車は館の前からまた遠ざかっていった。



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