空っぽの私 ここに眠る

木漏れ日の空想家

1回目 棺桶の中のビー玉

ここは私を埋葬した場所

ついさっき


埋葬された私の体は

まるで石が詰まっているみたいに

重かった

風が吹いても

髪は靡かず

手を月の光に照らしても

あたたかくなることはなかった

鼓動は確かになっていたけど

それはどこか遠くで響くはるか昔のこだまの音


安っぽい棺桶に私の体を無理やり詰め込む

腕を触ってみると

ただ粘土みたいで

私の瞳は閉じることなく

平面上にあの月をうつす


そっと棺桶の蓋を閉じて

ぬかるみに穴を掘っていく

やがて深い穴ができて

棺桶をそこに突き落とした時

カランカラン

棺桶の中から音がして

いつの間にか

月がビー玉に変わっていた



穴にぬかるみの泥を被せて

そこらへんに生えている雑草を

供えてやった


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空っぽの私 ここに眠る 木漏れ日の空想家 @komorebinokuusouka

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