第14話 再び来訪
数日はお城での生活が珍しくて、見るものすべてが新鮮だった。料理や、お茶も高級な物ばかりだ。ただ、する事がないので暇になってしまった。お姫様は毎日忙しいらしい。時間を見つけては話をしに来ると言っていたけど。
「せっかく王都に来たのだから、街を観光したいわ」
アリスも退屈で、ぼくの部屋に来て窓の外を見ている。遠くまで来たのだから、それもいいだろう。お城での生活も飽きてきて、そろそろ帰りたいなと思っていた矢先。
「グリーン様、お客様がお見えです」
お城のメイドが知らせに来てくれた。ぼくたちの世話をしてくれている人だ。
「お客?お城にいるのに?」
わざわざ会いに来る相手なんて見当もつかない。首都レーベンに知り合いいたっけ?
ぼくの知り合いと言えば、元いた村の人たちか今住んでいる町の人たちくらいだけど。どちらにしても距離が離れすぎているし、会いに来る理由が無い。
「グリーン!やっと会えた!門番が疑って通してくれなくてなぁ」
まさかと思ったが、叔父のギルだった。そりゃ疑われるだろう。相変わらず薄汚い恰好をして酒くさい。どう見ても胡散臭いからな。でもわざわざお城に来るなんて。
「また一体どうしたの・・」
ぼくは、床に座り込んでいる叔父を見る。相変わらず不健康そうで、顔色が悪い。
「誰?お客さん?うわっ・・」
アリスは顔をしかめて後ずさっている。まあ、当然の反応だと思う。
パタパタ・・
「グリーン!続きを聞きに来ましたわよ~」
パトリシアが走ってこの部屋にやってくるようだ。ここ数日で王女とも仲良くなり、ぼくたちは名前で呼び合うようになった。歳が近い事もあり、王女から是非名前で呼んで欲しいと頼まれたのだ。
「きゃっ!この人は?」
入口付近にいた叔父を見て、パトリシアが顔をしかめる。
「おお!いいところに姫様!俺のグリーンは何かこちらに御用があったんですかい?もしよろしければ俺とも今後も
叔父は両手を揉んで、さらにねっとりとした視線をパトリシアに向ける。
「もしかして、グリーンの叔父様ですの?村を追い出したという・・」
「あ、あれは誤解でして・・追い出すつもりは毛頭なく・・」
「わたくしは噓つきは大嫌いなのです!この者をひっ捕らえなさい」
近くにいた護衛が叔父の腕を掴んだ。お姫様容赦しないな。
「え?ええ?」
叔父はうろたえていた。
「そうね。しばらく牢屋に入れておきなさい。頭を冷やすといいですわ」
「「えええ・・ちょっと待ってくれ誤解だ・・誤解なんだぁ・・」」
叔父の声が城内に響いた。城の地下の牢屋に入れられるらしい。本当何しに来たんだ。あの人は。
「お騒がせして申し訳ありません」
ぼくはパトリシアに頭を下げた。
「あの方が勝手に来たのでしょう?謝る必要はありませんわ」
あの後叔父は、尋問を受け相変わらず嘘を付いていたので国外追放になった。城に来なければ良かったんじゃないだろうか。何をしたかったのか、ぼくにはよく分からなかった。
「ちょっと刑が軽かったですわね」
「別に殺されかけたわけじゃないし、いいんじゃないですか」
そういえば、ぼくを襲った人たちは一体誰だったんだろう。身に覚えが無いんだよな。また狙ってくるかもしれない。その時はどうしたらいいのだろう。
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