第15話 城下町
明日には町に帰れることになった。今日は城下町レーベンに、ぼくとアリスとパトリシアが来ていた。パトリシアは普段外に出られないらしくて、最後の日くらいは、ぼく達と一緒に過ごしたいと無理を言って出てきたのだ。
「人が沢山いますわね~」
パトリシアは、街の様子が新鮮に見えるらしく興味深く眺めている。露店から、香ばしい良いにおいが漂ってきた。焼き菓子が売っているようだ。因みに、パトリシアは町娘に変装していた。
「あれ、食べたいですわ!ねえ、買ってきてくださらない?」
「じゃあ、一緒に食べましょうか」
ぼくは、頼まれてお店に買いに行った。他にも沢山のお店が並んでいて大勢の人で賑わっている。焼きあがるのを待って、丸い焼き菓子を三つ買って元の場所に戻ってきた。
**
「アリス?え、大丈夫??」
先ほどまでいた場所にアリスが倒れていた。具合が悪くなって倒れたのかと思っていたけど、寝てしまっただけの様だった。
「あ、あれどうしたんだろ私・・。あ、王女が連れて行かれそうになって邪魔しようとしたら眠くなって・・光っていたから、もしかして魔法かしら」
どうやら王女は連れ去られたらしい。
「アリスは念のため城に戻ってて!ぼくが探すから」
「多分あっちの方角に行ったと思うわ」
ぼくは血の気が引いた。ロイドさんは一体どうしたんだ?離れて見守っているはずだけど・・。考えている暇はない。とにかく急がないと!ぼくはアリスが指さした方向へ走りだした。
*****
「ねえ、なにしてるの?」
俺は小さい男の子に話しかけられていた。家の外壁に立って、姫様を見ている俺を疑問に思ったのかそれとも暇だから話しかけたのか。
「仕事中だから、構わないでくれないか」
「?」
子供は苦手なんだよな。どうしたものか・・。ふと視線を戻すと、アリスがある方向を指さして、グリーンに何か話していた。王女はいなくなっていた。
「しまった!ぼうず、またな」
俺はアリスが指さした方向へ走り出した。一瞬のうちに
大きな麻袋を抱えた男性が視界に入る。不審に思われないように袋の中に入れたのだろう。狭い路地に入り、一軒の小屋の前に立った。男はノックしてドアを開けてもらい、中に入っていった。
「ロイドさん、いましたか」
「グリーンか、あそこの小屋だ」
そこは荒れ果てた廃屋に見えた。俺とグリーンは数メートル離れた場所から様子を伺っていた。
「ぼくが行きますから、その
「それはだめだ、危険すぎる」
グリーンが、行こうとするので両手で肩を抑える。
「ぼくだから、相手も油断するし・・いざとなったら、回復魔法使えるから大丈夫ですよ」
俺の手を振り払い、グリーンは廃屋へと向かっていった。
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