幕間 アジフライを食べて帰ろう

 裁判所の待合スペースでの打ち合わせを終えると、辺りは暗くなっていた。

 明かりが灯った駅までの道はこれまでとはなんだか違う街のようだ。

 駅の近くまで来ると、江戸時代風の瓦葺きの建物をモチーフにした商業施設がある。もちろん、これまでも何度も見かけていたわけだけれど、夕闇の中でライトアップされると格別な存在感だ。

 ミナカ小田原とかいう施設で、飲食店をはじめとして色々なお店が入っているそうな。

 いつもより少し遅くなったこともあり、私と工藤君はせっかくだから夕食を食べていくことにした。

 小田原は港町でもあり、海鮮が美味しいことでも有名だ。特にアジフライが美味しいんだってさ。何が違うんだろう?東京とそんなに離れているわけでもないのにな。

 わざわざ港町で食べるのなら、おさしみとかお寿司とか、鮮度が活かせるようなものを食べたほうがよさそうな気もする。実際、生しらす丼とか、そういうのも美味しいという話でもある。

 でも、そこは敢えてのアジフライでいくことにした。だって、本当に美味しいのか気になるものね。

 そんなわけで、アジフライをアピールしてるお店に入る。店内の生け簀でアジが元気に泳いでいる。どう見ても新鮮だ。私も工藤君もアジフライを注文する。

 熱々のアジフライにソースをかけて、サクサク、ふわふわ、とってもジューシー。確かに食べたことのない美味しさだ。

 なるほどなあ、フライも鮮度が重要なのかな。こんなにも違うんだ。いやはや、参りました。

 

 そういえば、十蔵さんがざるそばにソースをかけて食べた話が気になって仕方がない。美味しいのかな?今度、やってみよう。

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