第7話 雨音
スマホを触っていると、突然雨音が聞こえてきた。
「洗濯物!」
スマホを放り出し、慌てて干したままの洗濯物を確かめるためにベランダの窓を開ける。
窓の大きさの口が大きく口を開けていた。「ざああ」と雨音が喉の奥から聞こえる。大きな口。上下に生えた歯。赤黒い舌。口の奥から生暖かい息が顔にかかる。
これは予想していなかった。ベランダを開けた姿勢で固まっていると、その大きな口は目の前で口が閉じた。呆然とする私の前でニヤリと笑って口は空気に溶け込むように消えた。後に残ったのは、見慣れた私の部屋のベランダだった。
食べられなくてよかったと安心して、ついでに洗濯物を取り込んだ。
夜空には月が浮かんでいる。いつもの夜空を確認する。
部屋に戻ると、私はスマホを取り出し、電話をかける。
「もしもし、お兄ちゃん?うん。ちょっとお願いしたいんだけど」
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