第13話 実施前

 大規模巡回まであと3日


 赤穂は阿倍野歩道橋に歩いていた。3日前にあると全隊員の配置が公開され、赤穂は阿倍野歩道橋の阪堺電車の連絡口付近で配置となった。

 結局、ここも配置になったんだ。

 

 数時間前


 「代表、やっぱり阪堺電車の連絡口も配置した方がいいんじゃないでしようか?」

 代表室でそう言ったのは高石だった。

 「理由は?」

 「万が一怪物が現れてたら、多分対処するのは難しいかと」

 すると舞子は高石の意見に受け入れた。

 「やっぱりね。私もあそこで配置する予定だったんだ」

 「てことは……」

 舞子は頷きながら言った。

 「うん。あそこの配置は私にする。あと赤穂の事だが、あいつもここにする予定だから」

 「わかりました」

 

 現在


 問題はもし来た時の問題だ。どうすれば相手を苦戦するのか考えないと。

 赤穂は阪堺電車の連絡口の方に歩いた。


 夜


 地下放水路で一人で練習していた。そして必殺技を発動しようとする。

 「備前!」

 すると刀の辺りから風を感じた。しかし発動はしなかった。

 「駄目か……」

 「こんなところで何しているんだ」

 階段から降りながら現れてくる。舞子だった。

 「3日後に向けて、自主練を……」

 「もし良かったら、私が相手になってもいいぞ」

 「え、いいんですか?」

 舞子は軍服の上着を脱ぎ、白服の状態になった。

 「ああ。私も丁度練習したいし」

 赤穂はそこに置いていた木刀を持ち、左手に持った。

 「では、お願いします!」

 赤穂は舞子に向かって礼をした。

 「ああ。では行くぞ」

 舞子は5回軽くジャンプした。そして数秒後、すぐ赤穂の方に行き、上から木刀を振った。それに対して赤穂は横にして、木刀を防御した。

 「お、やるじゃないか」

 「前より弱くはないですよ。でもまだまだですが」

 舞子は一旦距離を離れ、再び赤穂の方に行った。赤穂は舞子から少し離れたが、すぐ舞子が追いかけてきたので、舞子の攻撃を避けた。

 「!?」

 舞子は少し驚いた。今まで避けられたのはなかったが、さっきの攻撃で避けられたのは赤穂が初めてだった。

 「フン……」

 舞子は笑った。

 「少しだけ本気出すか」

 赤穂は舞子の方に行き、横から木刀を振った。しかし、舞子はすぐに木刀で防御し、力を入れて押し、赤穂は舞子の力で押されてしまい、態勢が崩れてしまう。そして舞子は木刀で右肩で振った。

 「グッ!」

 すると舞子はすぐ赤穂の後ろの方に行った。

 !?……消えた!?

 「こっちだ」

 「!?」

 舞子は両手で上から木刀を振った。

 「ぐわぁ!」

 赤穂は背中に当てられ、地面に落下した。舞子は足で着地し、赤穂の方に近づいた。

 駄目だ。どうすれば……

 赤穂はある事を思い出す。そう、必殺技だった。

 まだ発動した事ないが、ここでやるしかない。

 赤穂は必殺技の準備をした。

 「ん?」

 舞子は赤穂の動きに困惑していた。

 集中しろ。集中しろ。

 すると数十秒後、赤穂は目を開き、必殺技を言う。

 「備前!」

 「!?」

 舞子はかなり驚いた。

 来い!

 すると木刀辺りから風を感じ、何か来そうな雰囲気だった。しかし何も来なかった。それでも赤穂は粘り続けた。すると舞子は木刀で頭を突っ込んだ。

 「来ないんかい!」

 「痛っ!」

 「結局何も来なかったのかよ。期待した私が損したわ。でも、お前必殺技使ったから、私も使ってもいいよね」

 「え」

 舞子はすぐに集中モードになった。

 「ちょっ……待ってください」

 そして目を開き、必殺技を言う。

 「海南」

 後ろから大きな魚が現れ、舞子は赤穂の方に追いかける。

 「嘘でしょ!」

 舞子は赤穂の方に木刀を振り、魚が赤穂の方に追った。赤穂はすぐ逃げ、柱や壁などを使いながら逃げていった。

 ここまで追って来るのかな?

 すると突如、目の前から地面に現れ、赤穂を食べようとした。

 「う、うわああああああああああああああああああああ!!」

 すると舞子は必殺技を解除し、大きな魚は水で崩れていった。それを見た赤穂はほっとしたようだ。

 「本気で殺す気ですか!」

 「ごめん。本気で殺す気はなかったんだ」

 怒っている赤穂に舞子は大きな声で謝った。赤穂は舞子の方に行った。

 「お前、かなり成長してるぞ」

 「そうなんですか!」

 うんと舞子は頷きながら言った。

 「だがまだそこまで強くなっていない。久しぶりにお前と戦ったけど、まだ回避力が足りてないな。3日前だが、反射運動をした方がいい。いいね」

 「はい!」

 「あともう一つ、お前まだ必殺技出来てないな。恐らくお前の集中力不足が原因だと思うが、一つヒントをあげる」

 「ヒントですか?」

 赤穂は困惑しているようだ。

 「ああ、それは、聞こえないこと」

 「聞こえないこと、ですか?……」

 「うん。それが分かったら、必殺技は発動することが出来る」

 聞こえないこと……

 徐々に深く考え始める赤穂。

 「そこまで深く考えなくてもいいよ。音楽聴く時にある物が装置している。すぐに答えは出てくるさ」

 舞子はここから歩き離れようとする

 「またな」

 「あ、お疲れ様です」

 舞子はここから歩き去った。

 音楽聴く時にある物が装置している?どういう事だ……


 それから3日が経ち


 

 11月5日(水曜日)  大規模巡回実施日

 

 午後6時

 

 天王寺はかなり混雑していた。この日はハロウィンコスプレイベントのため、多くの一般人がこのエリアに来ていた。赤穂と舞子は阪堺電車の連絡口、高石と芦屋は天王寺駅の構内、黒部は阿倍野歩道橋の天王寺駅とショッピングモールの連絡口、鷹取は大阪方面の端のところ、榊原は阿倍野方面のショッピングモールの連絡口、雲雀丘は天王寺駅前の交差点、網干と菖蒲は阿倍野方面のショッピングモールの構内でそれぞれいていた。隊員らはそれぞれバラバラに分かれている。

 今のところは何を被害は起きていないが、気を緩めず、人々を監視している。だがホテルの屋上には怪物がいていた。襲撃する準備はすでに終わっている。

 「よし。行くぞ」

 かぼちゃを被った白服の男が言った。

 誰一人死なせるもんか……

 赤穂は真剣な表情になっていた。

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