第6話 初勝

「クッ、貴様。」

「……」

すると舞子は思いっきり刀を振った。

「ぐはっ!」

ナロンサイクルは舞子の攻撃に喰らい、数メートルの壁に激突した。

「舞子さん……」

「大丈夫か?」

「はい。まだ立ち上がれます。」

「うん。今のうちに刀を拾え。」

赤穂は刀が置いていたところを歩き行った。

「さて、こいつを倒さないと。」

ナロンサイクルは右手に左肩を押さえながら立ち上がった。さっきの攻撃で少し痛かったそうだ。

「貴様、あいつとの勝負を邪魔するな。」

「知るか。」

舞子はナロンサイクルの方へ走り出し、刀で攻撃し始めた。そして二人は撃ち合い状態になり、激しい戦闘となった。その二人の戦ってる姿を見た赤穂はあまりにも驚き、どうすればいいのか分からなくなった。

「おい。ぼーっとしないでアシストしろ。」

戦いながら言う舞子。すると赤穂は「はい!」と返事しすぐ舞子の方へ行き、両手を握って刀を振った。

「クソが。」

するとナロンサイクルは、ある技を使いだす。

「白華」

すると刀が白色に変わり、赤穂の方へと刀で攻撃した。

「避けろ!」

大きな声で言った舞子。すると刀は地面に接触後爆発し始め、近くに設置している街灯は吹き飛ばされ、辺りは煙まみれになった。

「赤穂!」

辺りが煙まみれでも舞子は大きな声で叫んだ。赤穂は無事だろうか。徐々に煙が消えていく時、赤穂の姿が見え、奇跡的に赤穂は避けていた。

赤穂は地面に座りながら怖がっている状態で、息も過呼吸になっていた。舞子は赤穂の方に走り行き、赤穂の背中を右手で抑えた。

「大丈夫か?」

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「深呼吸して。」

赤穂は舞子の言う通りに深呼吸をした。深呼吸した後、少しずつ怖さがなくなっていき、徐々に落ち着いた。

「落ち着いた?」

「はい。少しずつ……」

「怖い気持ちは分かるけど、パニックになったら命取りだぞ。もしパニックになりそうなら深呼吸しろ。」

「はい。」

赤穂は立ち上がり、刀を左に持った。

「ねぇ。あいつと時間稼ぎは出来るか?」

「少しなら出来ますが……」

舞子はある作戦を考えていた。

「私は必殺技を使うけど、その技は30秒待たないといけない技なの。30秒だけ、奴と時間稼ぎしてくれるか?」

「はい。30秒ですね。」

舞子は「うん」と頷きながら微笑み、必殺技の準備をした。赤穂はナロンサイクルの方に行き、すぐ戦い始めた。ナロンサイクルは刀で防御し、片手で抑えていた。

「ふん。さっきは喰らっていなかったか。」

ナロンサイクルは刀を振り切り、赤穂から距離を離れようとした。そして10秒が経過し、舞子は左手で鞘を握りしめ、右手に柄を握りしめていて、目を閉じていた。

(あと20秒……)

赤穂はナロンサイクルの左腹で刀を斜めに斬っていき、少しでも彼の体力を消費しようとしていた。

「クッソ…ならばこうだ!」

ナロンサイクルは、右手で赤穂の顔を殴ろうとした。しかし赤穂は刀で防御し、右手で長さを抑えた。殴った勢いで彼からの距離が離れてしまったが、身体ごと抑えたおがげで彼から数メートルの距離になった。

20秒が経過し、舞子は先ほどと動きは変わらず、鞘の辺りには紫色の霧が出始め、バチバチと音が鳴っていた。

(あと10秒!)

赤穂はナロンサイクルの方に近づき、両手で刀を振った。

「こいつ、こんな事して無駄だというのに。」

少し驚きそうながら言うナロンサイクル。そして二人は討ち合い状態になったが、赤穂が舞子の方に彼を誘動させた。そして頭の中で数えていた。5,4,3、2,1、

(よし!今だ!)

赤穂は左方向に行った。すると目の前には舞子がいて、必殺技が出来たようだ。

「なっ!」

あまりにも舞子が目の前にいることが驚き、おもわず声を出したナロンサイクル。舞子の辺りにはバチバチと鳴っており、稲妻が光っていた。すると目を開け始め、必殺技を使う。

「上強羅。」

そして右手で思いっ切り刀を開け振り、振った方向に衝撃波と稲妻で攻撃し、物凄い速さと音で彼の方に行った。その物凄い音で赤穂は耳を両手で塞いでいた。そしてナロンサイクルは彼女の攻撃に喰らい、身体ごと電気が流れていた。

「うわああああああああああああ!!!!!」

大きな悲鳴を出すナロンサイクル。数秒間痛い叫び声と悲鳴がなり、身体ごと後ろに倒れた。

「ク…ソ…」

そして意識がなくなった。舞子は刀を鞘に入れ、倒れているナロンサイクルの方に行った。しかし赤穂が耳を塞いでいるのを気づき、赤穂の方へと歩いた。

「もう大丈夫だよ。」

赤穂は耳を塞ぐのをやめ、舞子の方に見た。

「あの、さっきのは……」

「さっきのは雷の音。もしかしてさっきの音苦手?」

「はい。もの凄く苦手です……」

「ごめんね。次からイヤーマフ持ってくるね。」

「あ、そこまでしなくても……」

その後二人は倒れているナロンサイクルを見た。目立った傷は左腹だけで、それ以外はなかった。

「あの、これってどうするんですか?」

「ああ。大きい袋を入れ、遺体安置所のところへ届ける。」

「そうなんですね。」

「今日はここまで。色々と大変だったけど、お疲れ。」

「あ、お疲れ様です。」

すると舞子は赤穂の方に見て、微笑みながら言った。

「これからも頑張れよ。」


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