第5話 同行

「よし。出る準備出来たか?」

「はい。準備完了です。」


赤穂は怪物駆逐隊の制服に着ていた。舞子は刀を持ち、二人とも代表室から出て行った。


「あの…舞子さん。今回はどこに行くんですか?」

「港区の天保山のところに行く。」


数十分後、二人ともは中央線に乗っていた。


「なぜ天保山のところに?」

「あそこにナロンサイクルという怪物がいて、そいつを駆逐しに行く。」

「ナロンサイクル……」


ナロンサイクルは⁻Sの怪物で、やや強い怪物である。


「でもなぜこんな時間帯に行くんですか?」

「住民の聞き込み調査をする。」

「ナロンサイクルは2年前に起きた大阪府咲洲庁舎襲撃事件の共犯者ですよね。」

「ああ。その事件以降あいつを探す捜査が始まったが、目撃はなく、捜査を打ち切りになったが、先週ナロンサイクルを目撃したという情報がきたから、港区に行ったんだ。まさかあいつが生きてるとはな。」


大阪咲洲庁舎襲撃事件は、怪物のある集団が庁舎を襲撃された事件で、大阪府の職員13人、怪物駆逐隊員2名、怪物捜査庁の職員1名が亡くなった。主犯者や共犯者はナロンサイクル以外全員逮捕されることは出来たが、ナロンサイクルは当時どこにいるのか分からず、行方は難航していた。数十分後、大阪港駅に着き、海遊館の方へと歩いた。


「家族で行ってる人、多いですね。」

「そらそうだろ。海遊館で見に行く人が多いし、観覧車もあるからな。」

「ですよね。」


二人は市営のマンションに行き、聞き込み調査をした。赤穂は住民の方に向けてナロンサイクルの写真を出した。


「この怪物に見かけたことはありますか?」

「いいえ。見てないわ。」

「何か不可解な事とかは?」

「いえ、ないわよ。」

「そうですか…ご協力ありがとうございます。」


2つ目

たこ焼きをしてる店の店長に聞き込みした。


「この怪物を見かけたことはありますか?」

「いや、見たことないすわ。」

「何か不可解な事とかは?」

「それもないすね。」

「そうですか…ご協力ありがとうございます。」


続いて3つ目も


「その怪物は見たことないわ。」


4つ目


「ごめん。そんなの見たことないわ。」


20軒ほど聞き込みしたが、どれも有力な情報はなかった。そして夜の時間帯になり、時間は20時だった。赤穂と舞子はベンチで座っていた。


「どれも駄目でしたね。」

「うん。まーこうなるわな。赤穂、私飲み物買うけど、赤穂はいる?」

「あ、えっと、ココアで…」


赤穂は小銭を出した。


「これでお願いします。」

「いいよ。今日はおごるし。」

「え、いいんですか?」

「うん。ついて来てくれたから、お礼ぐらいするよ。」

「ありがとうございます!」


赤穂は頭を下げた。


「別にいいのよ。」


舞子はやや離れた自動販売機の方へと歩いた。赤穂は空を見上げ、星を探し始めた。


(舞子さんって、普通に優しい人だよな。おごることをするなんて、本当に優しい人そう。)


誰かが赤穂の方へと歩いている。赤穂は舞子が来ていると思っていた。徐々に近づくその人。赤穂は後ろを見てこう言った。


「あ、舞子さんありが……いない…」


後ろを見たら誰もいなかった。誰一人もいなかった。


(でも気配は感じる…まさか…)


赤穂は前を向くと、そこには怪物がいた。


「油断したな。」


怪物は刀で攻撃した。


「!!」


赤穂はすぐ避けた。そして刀を出し始め、怪物から離れた。


「お前は……」


怪物は笑っていた。


「そう、ナロンサイクルだ。」


ツーブロックしていて、左耳にピアスしてる男。そう、彼がナロンサイクルだ。


「なぜさっき避けることが出来た?」

「……」


赤穂は黙っていき、周りを見ていた。


(一般人は誰一人もいない。二次被害は免れそうが、なんとか舞子さんが来るまで耐えないと……)


ナロンサイクルは赤穂に向かって走り出し、刀で縦で振り、攻撃した。


「おらぁ!」


赤穂は刀で両手で押さえながら防御した。


「フン。さすがにすぐ防御はしたか。」


ナロンサイクルは一旦赤穂から距離を離れ、数秒後、ナロンサイクルは助走しながら思いっきり横から刀を振った。赤穂はまたギリギリ避けた。


「お前の動き、舞子の動きと同じだな。」


赤穂はそう言われても彼を警戒している。すると赤穂はナロンサイクルに向かって走り、刀を思いっきり攻撃した。ナロンサイクルは刀で防御したが、少し苦戦しており、赤穂の方が少し有利な状態になった。


「やるな。お前。」


赤穂は徐々に攻め始め出していった。するとナロンサイクルはある仕掛けをする。赤穂からの距離を離れ、近くに工事現場の方に行き、建てている金テコを押し倒した。追いかけてきた赤穂は金テコが倒れてくるのを気づいたが、その時はもう倒れてる状態だった。そして倒れ、倒れた周辺には煙が広がった。数秒後、赤穂はなんとか避けたが、周りには煙ばかりで、ナロンサイクルがどこにいるのか、分からない。


「クッ……どこにいるんだ。」


すると突然、目の前にナロンサイクルが現れ、赤穂の左手に持っている刀の方に右足で蹴られた。赤穂は飛ばされ、街灯に激突した。


(しまった!)


赤穂は左手に刀がなかった。そう、さっきの喰らわれた攻撃で離してしまい、赤穂から数メートル先に置いてしまった。


「残念だったな。お前の生きる道はここで終わる。」


ナロンサイクルは刀で赤穂のとどめを刺そうとした。だがその時だった。とどめを刺そうとした時、舞子がとどめを回避した。赤穂は驚いた表情だった。


「クッ、貴様。」

「……」

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