第3話 提案
「フン…」
舞子は微笑していた。美田園はここから距離を離れようとした。
「貴様、香住舞子だな!」
「ご名答。君を殺しに来た。自首するならお前の命を保障する。」
「嘘だ!怪物駆逐隊なんか信用できねーわ!」
美田園は舞子に向かって左手で攻撃した。すると舞子は避け始め、すぐ美田園の後ろに行った。
(は、速い…)
「!!」
「……」
舞子は刀で攻撃し、右腕を斬り、美田園は右腕がなくなった。
「ぐはぁ!」
美田園はここから逃げ、飛んでいこうとした。すると舞子はここから飛び追いかけ、必殺技を使う。刀の周りには紫の霧が起き、その時に舞子は必殺技を言った。
「太秦天神川。」
刀を振ると、一瞬の光の衝撃波が起き、半径200メートルの範囲で攻撃できる技だ。美田園はその攻撃に喰らい、赤穂の家の下にある庭に激突した。舞子はゆっくりと下りていき、赤穂の方へと着地した。
「ケガはない?」
「いえ、大丈夫です。」
「そっか。良かった。てかその声、どこかで聞いたことあるような…」
「気のせいではないですか?」
「そうだよね。疑ってごめんなさい。」
「あ、いえ。」
赤穂は少しほっとした。すると舞子は赤穂の左肩に右手で触り、笑顔で低い声で言った。
「このまま言い訳通用すると思うなよ。」
(バレてた……)
数分後
舞子は壺装束を外しており、机に置いていた。赤穂は紅茶を舞子の方に置いた。
「わざわざ作ってくれてありがとう。」
「いえいえ。」
「ではまず、昨日の件はさておき、君、名前は?」
「高山赤穂です。」
すると舞子は驚き始め、立ち上がった。
「お、おい。今、高山と言ったな?」
「はい。そうですが…」
「高山白兎って知ってるか?」
「あ、その人は僕の父親ですが…」
「その人、怪物駆逐隊を設立した人だ。」
赤穂は驚いた。父親の事を初めて知ったのか、かなり驚いている。高山白兎は赤穂の父親であり、怪物駆逐隊を設立した人で、かつて初代代表であった。
「その白兎は今どこに?」
「けいさつ病院に入院してて、植物人間の状態なんです。」
「し、植物人間… なんで植物人間になった?」
「僕も分からなくて…」
「そうか…」
舞子は目線を下を向いた。白兎が植物人間の状態だった事で、落ち込んでいるようだ。
「でもあと1年経ったら元に戻って来ます。」
舞子は赤穂の方に見て、真剣な顔になった。
「本当なのか?」
「はい。医師から言われていたので…」
「そ、そうか…」
舞子は紅茶を飲む。飲んだ直後、舞子は後ろを見ると、小さな血痕を発見した。
「この血痕は何?」
「2週間前、怪物に襲われて、僕の姉が亡くなってしまったんです。」
舞子は赤穂の方に見ると、こう言った。
「君、辛い事ばかりだったよね…」
「え……」
「父は植物人間になってるし、君の姉も失ってる。本当に辛い人生だったね。」
「い、いえ…そんな事なんか……」
赤穂は涙が溢れた。すると舞子は立ち上がり、赤穂の背中に右手で撫で始めた。
「君に提案したいことがあるけど、いいかな?」
「て、提案ですか?」
「うん。」
舞子が提案を出した。その提案はこうだった。
「君を怪物駆逐隊に入隊するのはどうだ?」
「え、怪物駆逐隊ですか!?」
「ああ。」
「でも僕なんか弱いですよ。それに…」
「私が特訓するから安心しろ。」
赤穂は考え始めた。
「君の選択権があるからゆっくりと考えてね。」
舞子は紅茶を飲み、最後まで飲んだ。すると舞子は壺装束を被り、ここから出ようとした。
「もう帰るんですか?」
「ああ。まだ仕事があるからな。あとこれ。」
舞子は住所と電話番号の紙を机に置いた。
「これって…」
「良い返事で待ってるぞ。」
舞子は微笑しながら言った。そして家から出て行った。
赤穂は考えていた。どっちの方がいいのか。
(どっちのほうがいいんだろう。でも怪物にやられて死ぬのは嫌だし、やっぱり平凡な人生を送りたいから断ろう。)
怪物駆逐隊に入隊するのをやめようと決めたその時、あることを思い出す。
1年前
「何も無力のまましないのは、嫌だ。」
アニメで名シーンを見てる赤穂と咲良。すると赤穂がこう言った。
「僕、こんなかっこいい人間になりたいな。」
「赤穂は十分かっこいいよ。」
「でももっと姉さんに役に立つようにかっこよくなりたい。」
「赤穂がそんな事するなら、私は嬉しいよ。」
二人とも笑った。
(そうだな。今まで自分は無力だったし、このままダラダラすると姉さんが怒ると思う。やっぱりここで逃げては駄目だ。今度は俺があいつを倒さないと。)
赤穂は右手を強く握りしめ、怪物駆逐隊に入隊することを決意した。
翌日 午前11時 10月18日(土曜日)
赤穂は舞子からくれた住所と電話番号の紙を持ち、手紙通り、ここの住所に来た。目の前には大きな庭園があった。赤穂は紙に書いていた電話番号をスマホで入力し、電話をかけた。だが
「おかけになった電話は、現在使われていないか、電源が入っていないか、電波の届かない範囲にいるため……」
赤穂は電話を切り、ここから離れようとしたその時だった。右に曲がろうとした時に舞子が現れた。赤穂は少し驚いた。
「待ってたぞ。赤穂。」
舞子は微笑しながら言った。
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