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「お父さんが初めて描いた絵が自分の自画像だったからだよ。それとお父さんが私にそうしたらいいって教えてくれたから」秋は言う。

「秋のお父さんの写真ってある?」

「あるよ。いつも持ち歩いてる」当然のことのように秋は言う。(私は家族の写真を、あるいは家族じゃなくても誰かの写真を持ち歩いたりしたことはなかった)

「見せてもらってもいい?」

「いいよ。私からお父さんをとらなければ」と冗談ぽい口調で秋は言った。

 秋は写真を財布の中にしまっていた。その写真を秋は私に見せてくれた。秋のお父さんは、とてもかっこいい人だった。(髪も長くは、髭も生えている。体も鍛えているのかもしれない。背は高い。顔は笑っている。自由人といった感じの大人の男の人だった)

「かっこいいね。秋のお父さん。すごく若く見える」私は言う。

「とっちゃだめだよ。私のお父さんだからね」と身体を私にくっつけながら秋は言う。

「大丈夫だよ。私だって、別に自分のお父さんのこと嫌いなわけじゃないんだから。秋ほどは好きじゃないかもしれないけどね」秋の頭に自分の頭をくっつけながら私は言った。

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