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 森を見ていると『もっと深い場所まで行ってみたい』と言う思いに駆り立てられた。そこにはなにかがあるような気がした。私の日常では手に入れることのできないなにかが。

 実際には危ないから森に勝手に入ってはいけないと秋に言われているから、入ることはしない。(秋はお父さんから入っていい場所とだめな場所を教えてもらって知っている)

 玄関の横には屋根がありその下には木の椅子が置いてある。それから手作りの木のポストがたっている。

 そんな風景を見ていると玄関の扉が開いて秋が顔を出した。

「ちょっとだけ教えて欲しいところがあるんだけどいいかな?」

「うん。いいよ」と振り返って、私は言った。

「私は自分のことがずっと嫌いだった。今も嫌いのままなのかもしれない」

「こんなに素敵なのに?」高校生の勉強をしながら秋は言う。

「私は素敵じゃないよ」ソファに座って壁にかかっている絵画『森秋』を見ながら言う。

「素敵だよ。だから絵のモデルになってってお願いをしたんだから」秋は言う。

「誰かに認められたい。誰かに私のことをしっかりと見てほしいと思う。そんな人世界のどこにもいないけど」秋は黙って私の話を聞いている。(私になにを言えばいいのか、考えているようだった)

「秋はどうして自分の自画像を描いたの?」私は言う。

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