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秋のアトリエには一枚の大きめの絵が飾ってあった。
『わがまま怪獣』という題名の絵だった。
「わがまま怪獣はなにをしているの?」
「世界を救っているんだよ」とにっこりと笑って秋は言った。
お風呂上がりで、秋がお風呂に入っている間、することもないので私はわがまま怪獣の絵をじっと一人で見つめていた。(世界を救っている、という話だったけど、どう見ても街を壊しているようにしか見えなかった)
わがまま怪獣はデフォルメされた漫画のような、イラストのような絵画だった。可愛らしさもあったから、私はわがまま怪獣が好きになった。
じりりりー!! という音がして私はびっくりした。
秋のアトリエには黒電話があった。
それも古風なアンティーク風の高そうな電話だ。なぜそんなものがあるのか聞くと「普通に連絡ようだよ。私、携帯電話は持ってないから」と秋は言った。
その黒電話が鳴っているのだ。(音はとても大きかった)
勝手に出るわけにもいかないので私は黒電話が鳴り止むのを待った。
「お待たせ」
黒電話が鳴り止んでから少しして秋がお風呂から戻ってきた。秋は熱った顔をしていて、真っ白なパジャマに着替えをしている。頭には白いタオルを巻いている。(電話が鳴っていたことを伝えると、切れたのなら別にいい。と言って秋は全然気にしなかった)
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