8
早朝の時間。
外に出ると白い鳩が空を飛んでいた。
雨上がりの空。
ここに来るときにずっと降っていた雨は今はもう止んでいる。
風はまだ強いままだ。
その風が私のところまで雨に濡れた森の木々の匂いを運んでくれた。
「どうして、森の中に住んでるの?」
「絵に集中したいから、かな?」
風にその美しい黒髪を自由に遊ばせている秋が言う。
秋はアトリエの外にある木の椅子に座った。その風景を見て、これは絵になるな、と私は思う。
雨は上がったけど、空はまだ曇り空だった。
秋に許可をとってから、森の中を私は一人で散歩してみた。森の中はとても澄んだ空気に満ちている。世界には薄い霧がかかっていた。また雨でも降るのだろうか? 草や木々は湿っている。(風も少し冷たくなった)
森で一人暮らしをする、と言うのは憧れるけど、実際に本当に暮らすとなると大変だなと思った。やっぱり都会の暮らしは便利で安心でとても良いと思った。(少なくとも私には無理だろう。夜は怖くて眠れないはずだ)
秋は「なんでもないよ。最初は大変だったけど、すぐになれるし、暮らしてみればどこもあんまり変わらないよ」と言っていた。
私は秋の言葉を聞いてそれは秋には絵があるからだろうな、とそんなことを思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます