長いまっすぐな黒髪と白い肌。背の高さや体の形。それは確かによく似ている。でも顔はどうだろう? 私の顔と秋の顔はそれほど似ているとは思えなかった。(秋はすごい美人だった。私はそれほど美人ではなかった。自分の顔が嫌いなわけではないのだけど、なんて言うか、平凡な顔をしていた)

 私は今までの会話で秋が嘘が嫌いなことと秋が基本的に嘘を言わない性格だと知っていたので(とくに大切なことほど、秋は絶対に嘘を言わなかった)私と秋のどこがそんなに似ているのだろう? と首をひねって考えた。

 私が言葉を話さなくなると、秋も言葉を話さなくなった。世界は無言になった。

 時計はなく今が何時なのかも、何分くらいの時間が経過したのかもわからなかった。

 ぐぅーと私のお腹が鳴った。その音を聞いて今日の作業は終わりにすることになった。(恥ずかしくて顔が真っ赤になった)

「今日の晩御飯はなに?」

「カレーライス」

 真っ白なエプロンを制服の上から身につけて秋は言う。

「カレーライス!? カレーライスすごい。秋料理できるの!?」

「できるよ。一人で暮らしているんだから。カレーなんて簡単だよ。レシピにこだわらなければね」と手を洗いながら秋は言う。

 私は料理がまったくできないので、お皿の用意や野菜を洗ったり、それから秋の料理の様子を見学させてもらったりした。(なんだか小さな子供のころを思い出した)

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