5
長いまっすぐな黒髪と白い肌。背の高さや体の形。それは確かによく似ている。でも顔はどうだろう? 私の顔と秋の顔はそれほど似ているとは思えなかった。(秋はすごい美人だった。私はそれほど美人ではなかった。自分の顔が嫌いなわけではないのだけど、なんて言うか、平凡な顔をしていた)
私は今までの会話で秋が嘘が嫌いなことと秋が基本的に嘘を言わない性格だと知っていたので(とくに大切なことほど、秋は絶対に嘘を言わなかった)私と秋のどこがそんなに似ているのだろう? と首をひねって考えた。
私が言葉を話さなくなると、秋も言葉を話さなくなった。世界は無言になった。
時計はなく今が何時なのかも、何分くらいの時間が経過したのかもわからなかった。
ぐぅーと私のお腹が鳴った。その音を聞いて今日の作業は終わりにすることになった。(恥ずかしくて顔が真っ赤になった)
「今日の晩御飯はなに?」
「カレーライス」
真っ白なエプロンを制服の上から身につけて秋は言う。
「カレーライス!? カレーライスすごい。秋料理できるの!?」
「できるよ。一人で暮らしているんだから。カレーなんて簡単だよ。レシピにこだわらなければね」と手を洗いながら秋は言う。
私は料理がまったくできないので、お皿の用意や野菜を洗ったり、それから秋の料理の様子を見学させてもらったりした。(なんだか小さな子供のころを思い出した)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます