第七十三話:いざ、キュウダイレンセイオー!

 サメ忍者のエイリアンを倒してからは、まるで西遊記のように旅しては敵を退治して人助けを繰り返して来た俺達。


 花鬼チームを除く全員が揃い、丘の上から偵察。


 昼間だってのに敵の基地の上だけ灰色の空。


 見据える先には、山に囲まれた敵の要塞。


 巨大な銀色のキノコだよ、敵の総本山。


 中華とスぺオペが混ざった異質な景色だ。


 「俺達の世界の民間人がいないのが、救いだな」

 「周りは全部敵の基地ですからね、悲しいですが」


 クレインとバッシュが双眼鏡を見ながら呟く。


 助けるべき民間人がいない.


 それは、取り返せない悲劇が起きた後の祭りと言う事。


 嘆き悔んでも時は戻らない。


 ならば弔い合戦だ、遠慮なく暴れるぜ。


 「首都はレジスタンス達に任せて、私達はこちらを叩くで良いのね?」


 レオンが作戦を復唱する。


 「ああ、首都は彼らに任せる」


 俺はレオンに答える。


 レジスタンス側と久しぶりに連絡を取った結果。


 あちらは皇族や国の再建に必要な人材を救出に成功。


 玉鈴姫の父である皇帝は、すでに敵の手に掛かっていた。


 奪還すべき皇帝がいない事が、彼らが首都に攻め込む理由となった。。


 俺達は、星魔教団の本山を叩いてくれと依頼されて今に至る。


 偵察と言うか、物見は終わりでここからはカチコミだ。


 俺達は変身して機体に乗りむと、全員で敵陣へと突っ込んだ。


 「合体は大物を狩る時、星魔獣なら単体で倒せる!」


 迷彩を解除したら一気に敵が襲って来た。


 「無双アクションゲームのお時間ですわ!」


 ポラリスのロボで四股を踏み、地震を起こせば歩兵の足は止まる。


 「疾風の爪牙で散れ、サイクロンダッシュ!」


 ベラトリクスの白虎王は、戦場に吹く風となり敵を切り裂いて行く。


 「水攻めですよ、ドラゴンストリーム!」


 アルタイスが槍を振るえば、間欠泉が地面から噴き出して敵を貫く。


 「牛のパワーはゴリラにも負けません!」


 タウラスの機体は、猛牛パワーでゴリラ型の敵を投げ飛ばしていた。


 俺達が地上で暴れれば、空の敵は対地攻撃でビームを撃って来る。


 「仲間はやらせない、エメラルドスクリーン!」


 エラポスのロボが緑色の巨大な板状のバリヤーで、敵のビームを跳ね返して倒す。


 「フェニックスモード、ファイヤー!」


 俺は機体を鳥型に変えて飛翔。


 炎を纏って空を舞い、体当たりで航空兵器を倒して行き花火を上げる。


 「モグラのドリルは痛いぞ、ドリルサーカスじゃ♪」


 ヘリオスのロボは、全身からドリルを飛ばして範囲攻撃。


 土竜ではなくハリネズミだ。


 「私も活躍して良妻アピールをしないとね♪」


 レグルス機は光の爪で敵を倒す様子を通信で俺に見せて来る。


 「皆さん、次は人型ロボが来ましたよ!」


 アリエス機がハンマーで巨大ウミウシを倒しつつ叫ぶ。


 敵の総本山であるキノコ要塞から飛んで来たのは、人型ロボの群れ。


 俺達が戦隊ロボなら敵は、リアルロボの量産機軍団。


 ヘルメットみたいなバイザー頭で白いカラーリング。


 武器は盾とライフル、所々に重火器持ちとアニメで見たタイプだ。


 『ヒャッハ~♪ 地球人から奪ったロボは最高だぜ~~♪』

 『奴らを倒せば、大出世だ~~っ♪』

 『現地民共は皆殺しだ~~~っ!』


 「フラメス、敵は有人機みたいだけどどうする?」

 「戦場で出会っちまった以上、やるしかない」


 レグルスの通信に答える、敵が有人機だろうが倒すしかない。


 星魔獣より統率が取れた敵のロボ部隊。


 人の頭が働いている分、連携のとれた動きが厄介だった。


 「物言いから賊の類ですわね、お覚悟を!」

 『ぐわ~~っ!』


 ポラリスは容赦なく斧を振るい敵機を撃破する。


 「悪党に容赦なしなのじゃ! ドリルの錆となれい!」


 ヘリオスも肝が据わっていた。


 「宇宙のならず者どもだ、容赦はいらんぞ!」


 ベラトリクスもクールに敵を倒す。


 「そうだな、インベーダーに情けは無用!」


 俺も気を取り直して刀を振るい敵を爆散させる。


 野戦での敵の殲滅が終われば、次は攻城戦だ。


 「全員無事か? お待ちかねの全合体だ! シークエンス、ゴー!」

 「「オーライ!」」


 九体のロボが一斉に、動物形態に変形する。


 頭は俺の機体、真紅のフェニックス。


 胴体は金のライオン、腰は黄色い熊。


 左足は青い龍、右足は白い虎で両足がぶっとくなった。


 左肩が緑の鹿で左腕が茶色い土竜。


 右肩はピンクの羊で右腕が銀の猛牛。


 「「完成、キュウダイレンセイオー!」」


 ロボが一つになり、操縦席も一つになって皆が揃う。


 俺達全員の姿が聖獣の鎧から、ネッケツジャーの戦隊スーツ姿に変わっていた。


 コックピットは段々畑と言うか、クイズ番組の回答席な三段重ね構造だ。


 「おっし、合体成功だぜ♪」


 この仲間達となら、目を閉じていても合体できる自信はあったが良かった。


 「出力安定、皆で突撃よ♪」


 ゴールドのスーツに戻ったレグルスがはっちゃける。


 「ラブコメは戦いの後にしてくれ、敵のお替りが来る!」


 グリーンに戻ったエラポスがゴールドを窘める。


 キノコ型の適要塞から、胞子の如く戦闘機部隊が飛び出して来る。


 「おっと、メーメーソニックで行きますよ!」


 ピンクの操作で右肩から羊頭が口を開けて衝撃波を発射。


 右翼から来る敵の群れが一気に連鎖爆発を起こす。


 「ブラウン様、左舷の弾幕をお願いしますわ!」

 「任せよイエロー、ドリルバルカンじゃ!」


 ブラウンが叫べば右手が変形してバルカン砲になり、ドリル弾頭の雨を降らせる。


 「中央の敵は俺が焼き払う、フェニックスファイヤー!」


 仲間だけに任せず俺も機体の操作を行い、超高熱火炎を発射。


 「よし、突撃するぞブルー!」

 「呉越同舟の二人三脚です!」


 タイガーとブルーが同時に操作をすれば、足裏ブースターが点火し前進。


 「イエローさん直伝の張り手でぶち破ります!」


 シルバーの操作で突き出された左腕の張り手は、要塞のゲートを粉砕した。


 何だかんだ言い合うも、協力できるのが家のチームだな。


 「どこだ悪党ども、貴様らにも誇りがあるなら我らと対峙して見せろ!」


 タイガーが通信で外部へと叫ぶ。


 広大な宇宙ステーションのような空間。


 中心部には巨大な柱がある。


 警備装置らしき空飛ぶボールみたいな装置の攻撃や全身を黒い宇宙服に包んだ兵士達の攻撃はあれど敵の幹部が見当たらない。


 「レッドよ、地下じゃ! 敵は地の中にいると見た!」

 「オッケーブラウン、んじゃあぶち抜くぜ!」

 「四股ならお任せを♪」


 イエローの操作でキュウダイレンセイオーが四股を踏めば、湯かがエレベーターの如く地下へと降りて行く。


 落ちて行った先に広がる景色は、広大な地底空間と灰色の建造物群。


 「まさか敵が地底都市を作っていたとはね?」

 「こっちが本命ぽいな、どうみても」


 宇宙で決戦かと思いきや、地底都市での決戦か?


 『おのれ、ヒーロー共! 我らが地下都市をかぎつけたか?』


 虚空に巨大スクリーンが浮かび、青肌に黄色い三つ目の僧侶風の怪人が叫ぶ。


 古代ローマもどきの地底都市と言う雰囲気の場所だった。


 「その通りだ、お前らの野望も星の魔神も俺達が打ち砕く!」


 親玉らしき怪人へと俺は叫ぶ。


 『そうはさせん。 出でよ、魔神様の落とし子ギガントライノよ!』


 怪人が叫ぶと大地が揺れて亀裂が走る。


 亀裂の中から、巨大な灰色のサイ人間が現れた。


 「俺達のロボとタッパは同じ百メートル級か、行くぜ皆!」

 「任せて下さい、やる気は満タンです♪」


 ブルーが明るく叫ぶ、その明るさが俺達に元気をくれる。


 「それじゃあ多分、決戦の前半戦の始まりね♪」


 ゴールドが明るく予想する、俺もそんな気がした。


 ギガントライノと呼ばれた敵が突っ込んで来る、受けて立つぜ!


 格闘タイプの敵なら、こっちもまずは格闘からだと突進。


 敵とこっちのぶつかり合いが試合のゴングだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る