転生レッド、乙女ゲー世界を救うヒーローとなる

第七十四話：星の魔神を撃破せよ！

　鍋の国の地底都市での戦闘。

　「キュウダイレンセイオーをなめんなサイ野郎！」

　巨大星魔獣キングライノと、俺達のロボは手四つになる。

　「レッドよ、出力を上げるのじゃ！　家のロボは頑丈じゃぞ♪」

　ブラウンが叫ぶ。

　「敵の角が帯電しましたよ！」

　「大丈夫、電気攻撃ならシープの力で防げるから♪」

　ブルーの不安をピンクが打ち消す。

　案の定、キングライノは角から放電攻撃をしてきた。

　普通のロボならケールとかが破損する威力。

　だが、魔法世界のロボであるキュウダイレンセイオーには効かないぜ。

　「レッド様、両手返しですわ！」

　イエローが言外に教えただろと技名を伝える。

　「ほい来た、両手返し！」

　手四つから合気道の小手返しのように相手の腕を捻り倒す。

　ド派手な音を立てて倒れるキングライノ。

　「てこの原理どころじゃないわね、イエローの流派」

　「後でにお稽古しましょうか、ゴールド様♪」

　「イエローの悪役令嬢！」

　いやゴールドとイエローは漫才するなよ。

　「良し、今の内に決めてしまえ！」

　「私に任せろ、タイガーストンプ！」

　グリーンが叫べばタイガーが操作を行い、敵の腹を思い切り踏みつける。

　『ば、馬鹿な！　落とし子様が、援護じゃ！』

　都市の家々の屋根から砲身が突き出て、一斉射撃をして来る。

　「汚いビームね、地盤壊さないように手加減ビーム！」

　ゴールドが叫べば、胴体の獅子の目からビームが放たれ薙ぎ払われる。

　いや、ビームで都市破壊したら地盤にもくるだろ？

　「まあいい、フェニックスブレイザー！」

　俺の操作でロボから火を放ち、キングライノを焼いて仕留める。

　これで奴らの切り札らしき物は倒した。

　『おのれ～～～っ！　総攻撃だ！』

　名も知らぬ星魔達のボスが叫べば、敵の城が立ち上がりロボになる。

　手足や型にドリルが付いた城型ロボ、自分が乗る側なら楽しいデザインだ。

　「本当に、悪の組織と言う物はいつの世も誰もかれも凝りませんね」

　ピンクがうんざりする。

　「向うも俺達ヒーローの、勝利を求める諦めの悪さにうんざりしてるさ」

　グリーンが真面目に呟く。

　「正義と悪は根競べですからね、根性です！」

　ブルーが拳を握る。

　「ブルー様に同意ですわ、人生は根性がなければ家庭運営などできません」

　イエローがマスク越しにこちらを見る。

　いや、前世でも今世でも苦労かけてごめんなさい。

　「根性だけじゃどうにもならないけれど、根っ子がないとね♪」

　ゴールドも俺の肩を叩く。

　「妾達がレッドの根を捕まえておかねばのう♪」

　「本当に、根無し草か胞子の如き人ですからね」

　ブラウンとシルバーの言葉が痛いけど根性で耐える。

　「惚れた弱みだ、絶対に逃がさんぞ？」

　タイガーも何か言い出したよ。

　「わかった、終わったらこっちでも観光とかしよう！」

　嫁達には敵わねえ、今はそれで納得してもらいたい。

　ドリルを回して襲い来る、灰色の城ロボット、

　だが、こちらもドリルにはうるさいぜ。

　「レッドよ、こちらもドリルで勝負するのじゃ！」

　「あいよ！　モールドリル！」

　こちらのロボもドリルを出していざ勝負。

　敵のロボと回転するドリル同士でフェンシングのように突き合う。

　『ぐぬぬ、銀河合金のドリルと五角とは！』

　「ミズホ鉄とアイゼン鋼の魔導合金の方が強いのじゃ！」

　「流石は家の博士枠、信頼してるぜ♪　オールヘッドサンダー！」

　ドリルフェンシングをしつつ、機体から電撃を放ち相手の件性の飛び道具を迎撃。

　ぶつかり合いの末に、敵の両腕のドリルを砕いた！

　「追撃のマグマ張り手だ！」

　地の底からマグマを吸い、釈迦の掌の如き灼熱の巨大張り手をぶちかます。

　「星魔覆滅っ！」

　大爆発を起こした城ロボット、余波と敵の破片で地底都市は崩壊した。

　これまでの戦いならここで終わり、帰って祝勝会だと言う所だがまだだ。

　「後は、ラスボスを倒しに行けばって所ね♪」

　「そうだ、鍋の国の豪遊ツアーはまでの腹ごなしと行こう」

　星魔教団を倒した俺達は、分厚い大地の相を破り地上へ飛び出し更にブーストをして上昇し宇宙へと飛び出した。

　「魔力センサーに反応、敵が来ます！」

　シルバーが叫ぶと同時に目の前の虚空に巨大な裂け目が開く。

　裂け目から飛び出して来たサイ野郎の群れ、キングライノの同個体だ。

　「裂け目が開いているのは、こいつらを倒して飛びこめと言う事ですね！」

　ブルーが荒ぶる。

　「ブルーの言う通り、あいつらは門番って所かしら？」

　「星の魔神とやらはまだ自分が試す側だと思っているようですわね？」

　ゴールドとイエローも、テンションが上がっている。

　「襲って来たぞ、迎撃だ！」

　「売られた喧嘩は買いますよ！　レッドさんが」

　「おっしゃ、平和を守る為のケンカだからいくらでも買ってやる！」

　自分でも大人になったと思ったが、根っ子は変わらんかった。

　「あいや暫く、花鬼大将軍推参仕る！」

　「こら～～～～っ！　私も忘れるな～～っ！」

　花鬼大将軍と、アップルが乗る巨大な白馬ロボのバリアントが来た。

　更には象ロボのハッティをコアに右腕は猿、左腕は鳥で兎と虎の足を持ったインド風の巨大ロボも宇宙へと来た。

　「勇者の皆様！　ガラム帝国の戦隊ガラムレンジャー、ガラムラージャで報恩の為に加勢に参りましたわ！」

　パティ姫の言葉が聞こえる。

　「パティ様、ご立派になられましたわ！」

　「まさか、戦隊作っちゃうなんてレッドの影響ね♪」

　おお、見事なロボでござる～♪」

　「花鬼さん達も、これは頼もしい援軍ですね♪」

　「家のレッドが蒔いた種が、見事に花開いたな」

　「ガラム帝国、凄いのう」

　「情けは人の為ならずですねえ」

　「レッドよ、これはお約束のあれか？」

　仲間辰が次々と語り出す。

　「ありがとう、じゃあ花鬼とガラムは任せたぜ！　バリアントは来てくれ！」

　「当たり前よ、私も嫁レンジャーだからね♪」

　背後から馬ロボットが突っ込んで来て後部と変形合体し四つ足になる。

　「おっし、ジュウダイレンセイオーで裂け目に突撃だ！」

　雑魚は仲間達に任せ、俺は機体を宇宙の裂け目に突っ込ませる。

　裂け目が閉じるとそこは、俺達が知る宇宙とは別空間だった。

　「星魔獣達がお出迎えよ、お礼はビームで支払うわ！」

　ゴールドが操作し、ビームを乱射する。

　敵陣に突っ込めば敵の群れがいるわけで、有象無象の化け物達と交戦する。

　「周りに敵しかいません、暴れ放題ですよレッドさん！」

　「いつもの事だ、ピンクも暴れろよ！」

　俺の事を暴れん坊呼ばわりするが、ピンクも十分修羅だ。

　と言うか、俺の仲間達は自分を棚に上げているが皆立派な暴れ者だよ。

　ドラゴンスピア、シープハンマー、ディアスタッフ。

　ジュウダイレンセイオーを操り、弁慶の七つ道具のように装備を変えながら戦う。

　仲間達の武器屋技が使えるので、ここぞとばかりに振るい大暴れだ。

　敵の群れを一通り撃破した先に浮かぶのは、惑星サイズの巨大な魔神。

　『貴様らが我が信徒たちに仇為す、守護者共か』

　「そうだ、あの世界は我らが女神の縄張り。　貴様らには渡さん！」

　『ならば、我を倒して見せよ』

　禿頭に青い肌をした、裸形の男性型魔神と俺達はタイマンを始めた。

　タッパは敵の方がデカい。

　ならばこっちもビルドアップだと、魔力を注ぎ込み機体を巨大化させる。

　接近戦では、星が壊れれうかと思うほどの殴り合いを繰り広げる。

　間合いが開けば、敵はｄ流星群ならぬ彗星群を飛ばして来る。

　ダメージに耐えつつ必殺のフェニックスオオタチを取り出し、虹色に輝かせる。

　『それは、異なる世界の神の光！』

　「神をも叩き切る仁義八徳の必殺剣、森羅無双の太刀だ！」

　弧を描き彗星などの相手の抵抗を凌ぎ切ってから刃を大上段に構える。

　俺達のいる世界が虹色に染まり、星の魔神が苦しみ出した。

　『馬鹿な、世界を塗り替えただと！』

　空間そのものが星の魔神を蝕む毒となる。

　「……終わりだよ、生まれ変わりな」

　虹の刃を振り下ろし、一刀両断に斬り捨てると星の魔神は光の粒子に霧散化した。

　再び刃を振るい空間を切り裂き、仲間達の待つ元の宇宙へと帰還する。

　これにて一件落着だ。