第六十四話:ボス戦決着、巨大戦パート
「レッド様、ハッティをお忘れにならないで下さい♪」
ハッティヨーダーに乗り込んでいるパティ姫が叫ぶ。
「おお、そうだった。 俺はまだハッティの闘士だったな♪」
「「よし、合体だ!」」
ハチダイレンセイオーが分離しハッティヨーダ―を核に新たな合体を行う。
「「完成、ハッティレンセイオー♪」」
ブラウンがガラム帝国の魔神を解析し、俺達の機体と合体できるように改造してくれたおかげで生まれた新たな姿だ。
『おのれ~~~! 忌々しいヒーロー共が~~っ!』
敵の真っ黒なロボが吠える、悪いが負ける気はしねえ。
「やかましい! 異世界まで来て悪事を働き害をなすたあ許さねえ!」
相手の恨み節に啖呵を切る、さあ天下御免の大暴れの始まりだ♪
敵のロボのデザインは頭部が狐、胸は虎とヒーローっぽいのはこれまで倒してきたロボを取り込んだからだな。
「よ、それでこそ私達のスーパーダーリン♪」
ゴールドが変な合いの手を入れる・
「さあさあさあ♪ 派手に暴れるでござるよ~♪」
ブルーもテンションがハイになっている。
「パティ様も存分に腕を振るって下さいませ♪」
「わかりましたわ、イエロー先生♪」
姫も俺達のノリに馴染んでしまったな、まあ仕方ねえ。
「ほら、敵が来ますよ!」
「回避は任せろ!」
ピンクが警告すればグリーンが回避運動を取らせる。
鞭のように伸びてきた蛇の頭の攻撃をかわす俺達。
「お返しのサンライトビームじゃ!」
ブラウンが叫びスイッチを入れれば、こっちの胴体の象の頭の鼻からビームが放たれて相手の胸部装甲を爆散させる。
『まだだ、取り込んだマジンの力を受けて見よ!』
敵の右肩の鳥頭が外れ、火の玉となって襲い来る。
「甘いです、回避するまでもありません」
シルバーが呟いて操作をすれば、ハッティレンセイオーは火の玉をキャッチして投げ返す。
相手もスーパーロボット、自分の攻撃を跳ね返されても耐える。
『舐めるな、星の魔神よ! 我に力を~~~っ!』
敵が謎の神に祈れば、巨大な黒い斧を取り出して振るう。
「白兵戦か、俺の腕を見てなかったな? フェニックスオオタチ!」
俺は真紅の大太刀を召喚して振るい、敵の獲物と打ち合い弾き返す。
月明かりの下、闘技場は破壊されて戦場が街に拡大する。
「ああ、このままでは街が壊れてしまいますわ!」
「安心してくれ、バトルフィールドセットアップ!」
『おのれ、何をする気だ~っ!』
遅れてしまったが、俺は機体を操作して相手ごと異次元の世界へと引きずり込む。
超巨大な土俵が広がる俺達のフィールド。
ブラックテイルが操る悪のロボは神聖な気によりダメージを受けていた。
武器を捨てて襲いくる敵ロボットの突撃を、こちらはどっしり構えて受け止める。
「イエロー、大一番だぜ♪」
「お任せ下さい、よいしょ~~~~っ♪」
イエローが叫びレバーを動かせば、ハッティレンセイオーは上手投げで敵を投げ飛ばす。
だが腐っても相手はボスクラスの悪の怪人。
諦める事なく立ち上がり、牙を剥いて再び胴体からビームで攻撃して来た。
「ならこっちももう一発、フェニックスならぬエレファントブレイザー!」
こちらも象の鼻から超高熱の大火炎を放射する。
神の力が宿りし聖なる炎で相手のビームを打ち消す。
ハチダイレンセイオーとハッティ、皆の力が一つになったこの機体はお前の邪悪な攻撃何か目じゃねえ。
『……くうっ! 何故、何故、貴様らは我の邪魔をするっ!』
「人々を苦しめ悲しませるような事をされたら、こっちがたまらねえからだよ!」
世の中が平和じゃないとこっちも平和に暮らせねえ。
俺は自分達と民草が楽しく平和に暮らしたいので、悪党の野心なぞ知った事か!
「幼いパティ様を苦しめ悲しませた罪、万死に値しますわ!」
俺以上に怒っているのは、イエローだ。
俺と結婚してからも我が子以外に門弟の子も面倒を見て来た彼女。
溢れる母性を怒りに変えて言い放つ、その気迫は鬼子母神。
「皆気持ちは同じでござる、覚悟!」
ブルーも叫ぶ。
「そうね、キッチリ倒して皆で豪華にガラム帝国観光よ♪」
ゴールドだけは私欲だよなこいつは。
「こいつで止めだ、仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌っ!」
『そ、それは忌々しい仁義八徳の言葉!』
「悪に立ち向かう八つの徳の言霊だ!」
俺が叫べばハッティレンセイオーの前に八個の光の宝珠が誕生する。
「まずはこいつで動きを封じる、エレメントオーブシュート!」
放たれた光の宝珠がブラックテイルの載るロボへと飛んで行き、全ての玉がぶつかり相手を巨大な光の玉の中に閉じ込める。
「熱血一刀流神奥義、調伏大成敗っ!」
相手の動きを止めたら山の如き巨大な大太刀を生み出し、刃を虹色に輝かせながら振り下ろす。
回避も防御も不可能なその一撃は、逃す事なくて気を押しつぶし消滅させた。
「天下御免の大勝利だ♪」
現実世界に戻り、俺は勝利の雄叫びを上げる。
こうして、ガラム帝国での事件はひとまず解決となった。
ブラックテイルに取り込まれていた魔神達のコアとパイロットは回収した。
戦いから三日後、閉会式が行われて俺は壊れた闘技場の中で皇帝に表彰された。
「マッカ・サンハート、ガランピック優勝と国難の救済感謝する」
俺は皇帝陛下から、商品のガラム刀を貰うと万雷の拍手が起こる。
三つの願いについては、パティ姫に任せた。
俺は彼女が望みを叶えるのを助けただけし、皇帝をぶん殴りたいと言うのは決戦のどさくさ紛れにやってしまったので特になかった。
国交に関してはレオンに投げた、俺はやはり武辺者である方が良い。
優勝パレードや祝賀会が終わり、夜の花火を見ながら俺は黄昏ていた。
俺達がホテル代わりに使わせて貰っている、ガラム帝国の本宮殿はバルコニーも豪奢であった。
「色々あったが、どうにか解決できて良かったぜ♪」
「そうね、お疲れ様♪」
「いや、いつも通り皆のお陰でどうにかできたよありがとう♪」
「では、感謝の気持ちは態度で示していただきましょうか?」
「そうでござる、レオン殿ばかりベタベタだった分拙者達ともいちゃらぶしてほしいでござるよ!」
「右に同じじゃ、相変わらずホイホイ困っておる女子をひっかけて来おって」
「そうですよ、これ以上お嫁さんは増やしませんからね?」
「私、ほとんどマッカとガラム帝国を楽しめなかったんだけど?」
妻達に包囲される俺、逃げられない。
「ああ、わかってるよ。 全員纏めて埋め合わせをしてから帰ろうな♪」
俺の言葉を合図に妻達が包囲を縮めて俺を担ぎ上げて、部屋へとなだれ込む。
新婚旅行も兼ねているので熱い夜となった。
次の日は皆で象に乗り帝国の観光に出かける。
アジアンテイストな古代の神殿を見学。
聖なる大河を身に行けば、地球とは大違いでエメラルド色のきれいな川だった。
海辺の町に行けば、皆で海水浴。
ガラム帝国を楽しんだ俺達はいよいよ、帰還の日となった。
「皆様、名残惜しいですがまたいつでも遊びにいらして下さいね♪」
「パティ殿、御達者で♪」
「パティ様、お元気で♪」
アオイとフローラはパティ姫と別れのハグをする。
「じゃあ、これにて代理闘士の契約は終了だなハッティ♪」
『ああ、そなたと出会えたことは幸運であった♪』
俺は象ロボットのハッティとの別れを済ませる。
「じゃあ、皇妃様達も元気でね♪」
「レオン様から教わった議会制度は活用させていただきます♪」
皇帝は好き勝手しないように皇妃達の議会により管理されるようだ。
「マッカ様、大変ありがとうございました!」
「おいおい、涙は似合わないぜ♪ またな、お姫様♪」
「はい、奥様方を大切になさって下さいね♪」
最後の最後でパティ姫を泣かせてしまう。
お返しとばかりに言い返された俺は、姫達に背を向けると機体に乗り込み飛び立ったのであった。
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