第四十六話:新たな課題
月にいる俺達のメインの敵。
邪神率いる魔王軍。
奴らとの決戦に行く前の準備。
敵の本拠に殴り込む訓練。
宇宙に出てみたら未知の敵との遭遇戦。
「よし、足元に魔法で氷の足場を頼む!」
俺はアルタイスに通信で頼む。
『お任せ下さい、でっかい氷の闘技場を作りますよ♪』
「サンキュー、魔力は俺が補填する!」
アルタイスが応答し、俺達のロボと敵の足元に巨大な氷の舞台を作る。
「お次はポラリス、俺達と敵のいる場に重力の結界を展開してくれ!」
俺はアルタイスが消費した魔力を自分の魔力から機体に回しつつ頼む。
足場と重力。
実体武器での格闘や白兵戦には不可欠な要素だ。
格闘や白兵の攻撃の威力には、重量を乗せた分も加わる。
『はい、私のマッカ様への愛はギガトン級ですわ♪』
「ありがとう、頼むぜ♪」
応じてくれた相手には、きちんとお礼を言う。
踏ん張りが効く、これで宇宙でも問題なく白兵戦や格闘ができる。
急に重力が出来たからか、敵の動きが崩れる。
こいつ、重力下での戦いに馴れてないな?
『フラメスさん、そろそろ行けますか?』
『敵の機体は重力に馴れてなさそうだぞ?』
アリエスとエラポスが意見を具申して来る。
「俺の魔力量がまだ技を出すまで回復してない、もう少し敵を削る!」
超必殺技は、敵のゲージを削りつつ自分のゲージを溜めてからだ。
敵を蹴飛ばして距離を取る。
相手を氷の壁に叩きつけたかったが、バーニアを噴かせて耐えやがった。
どんな奴が操縦しているのか知らないが、相当な文明レベルの産物だ。
少なくとも、敵の見た目からは所属を示す物がない。
俺達がいた地球の人類の物とは思えなかった。
仮に人類の物であっても、こっちの機体は敵と通信ができない。
言葉を交わすよりも氷の土俵の上での仕切り直し。
敵はこちらよりはやや小さいが侮れない。
相手の胴体が光り出すのを見て俺は砲撃を経過した。
「させるか、碁盤返し!」
一気に足場の氷を燃やして溶かし尽くす。
アルタイスには悪いが、敵がひっくり返って見当違いの場所にビームを撃つ。
「悪いがデブリとして処理させてもらう、熱血一刀流火の輪崩し!」
俺は機体を操作してぐるりと火の輪を描く。
『おい、何か敵の体から射出されたぞ?』
エラポスが報告する。
「もしかすると敵の脱出ポッドかもな」
できればそうであって欲しい。
身勝手な祈りは承知だ。
検疫とかの都合上、捕えて持ち帰りとかできない。
只でさえ迷惑をかけているのに、謎のエイリアン迄持ち込めない。
敵のパイロットの無事を祈り、俺は刃を振り下ろして謎ロボを斬った。
どうやら本当にパイロットが逃げたのか?
敵は無抵抗で斬られて爆散した。
何者かは知らないが、俺は敵のパイロットの無事を祈った。
ムーントータスに戻った俺達は、ひとまず帰還する事にした。
地上に戻ったら、夕方になっていた。
外に出る前に、俺がフィニックスの力で仲間達も聖獣も浄化する。
「皆、アップルが作った神の林檎を食って回復してくれ」
キングトータスのブリッジにて、俺は仲間達とだけでなく聖獣にも食わせた。
一瞬だけ全員が金色の光に包まれる。
心身が回復された効果だ。
浄化と回復をしてから俺達は基地へと戻り起きた事をアデーレ様に報告する。
「妾も、宇宙服は帝国本土の工場で量産できるように整えたのじゃ」
「お疲れ様です、アデーレ様も林檎を食べて下さい」
疲れつつも出迎えてくれたアデーレ様に俺は林檎を差し出す。
バリバリと林檎を食べてアデーレ様も回復した。
この黄金の神様の林檎、万能の回復アイテムだな。
会議室に集い、長机で顔を突き合わせて訓練の報告を行う。
「ふむ、異世界より紛れ込んだ敵か?」
アデーレ様が眉を顰める。
「神話だと、月の女神様が星の世界も管理していたようだな」
クレインが謎の敵との遭遇の原因について呟く。
「他の世界との国境の守りに穴が開いている感じですよね?」
バッシュが冷や汗を流しつつ語る。
「うん、そう言う認識で良いと思う頭が痛いけど」
レオンは溜息を吐いた。
俺達の今住んでいる宇宙の感じて冷や汗が出る。
宇宙の防衛担当の月の女神様が邪神と魔王を閉じ込める結界になっている。
なので今は、他次元からの侵入者の監視や阻止する箍能がない状態だ。
宇宙も守らないと不味いが、異次元からの敵も相手にするには手が足りない。
「邪神と魔王だけでも厄介なのに、これからは宇宙人もですか!」
新たな問題に、アオイ嬢も唸る。
「幸いなのは、敵にこちらの攻撃が効いた事ですわね」
フローラ嬢が呟く。
「こちらの攻撃が効くと言うのはありがたいです」
クラウが頷く。
確かに、こっちの攻撃が効くというのは重要だ。
「花鬼や仲間達とも今回の件は情報を共有しておこうぜ」
俺が情報の共有を提案する。
「じゃあ、僕がレポートを書くしかないね♪」
「ああ、すまないが宜しく頼む」
「マッカの為だから大丈夫♪」
レオンがレポートを書くと言ってくれたので礼を言う。
何と言うか、この借りの返済は大変になりそうだ。
結論としては、宇宙からの敵はやってきたら倒す事となった。
次は、花鬼生徒会の面々も交えて宇宙での訓練だな。
平和を欲するなら戦いに備えよ、マジでそうだ。
手にした平和の内に備えておかねばならない。
勝つも一時とは至言だよな、負けたらアウトな戦いだし。
宇宙人も厄介だが、魔王軍との決戦に向けての訓練と休息と準備だ。
宇宙への道は未来の子孫達に任せる。
俺は身支度を終え、日記は書いてから眠りについた。
翌日。
基地の庭で走り込みをしていた俺は、天に怪しげな光を見た。
「げっ! 朝っぱらから隕石?」
天の光は隕石、霊峰であるフソウ山の方に落ちて行く。
不吉な予感に突き動かされた俺は、格納庫へと急ぐ。
「どうしたのじゃマッカ、朝早くから?」
格納庫に籠っていたアデーレ様に、急ぎのパトロールに行くと告げ変身する。
「仕方ないのう、大小の太刀以外の武装は使えぬぞ?」
「それで十分です、行って来ます!」
俺がフラメスナイトに乗り込むと、アデーレ様が機体の拘束を解除してくれた。
俺は大急ぎで機体を鳥形態で飛ばしてフソウ山へと向かう。
敵が魔力のない宇宙人の可能性を考えて、熱源探知で探す。
「真正面に熱源、あぶねえっ!」
回避をすれば、ビームが機体の横をかすめる。
機体を変形させて着地、同時に背後に殺気を感じて回転斬り。
激しい金属音と共に、モニターに映ったのは異形の怪物。
蜘蛛みたいな頭に人型の肉体、黒い肌は素裸かそう言う鎧か?
『おのれ、この星にもヒーローがいたのか!』
怪物が人語をしゃべる、この様子だと異次元の宇宙人だな。
「その通りだ、何処の世界にも貴様らのような悪を討つヒーローはいる!」
俺は外部への通信をオンにして叫ぶ。
『忌々しいヒーローめ、暗黒宇宙のヒーローハンタージグモ星人の意地を見よ!』
「不死鳥の勇者フラメス、この世界の守護として貴様を討つ!」
ジグモ星人、知らない宇宙人だが察するに悪党だ。
この世界では宇宙人には人権はない。
異次元の悪党というなら猶更ない、人語をしゃべる異形の魔物だ。
前世でもこの手の敵は遠慮なく倒して来た。
距離を取り、八相に太刀を構える。
ジグモ星人を名乗る敵は、大きな音を鳴らして巨大な蜘蛛の怪獣に変身する。
良し、これで完全に怪物として良心の呵責なく処理できる。
敵が口を開けたのでサイドステップで横に飛び退けばビームが迸る。
糸ではなくビームを出す蜘蛛か!
多脚戦車の類を思い出しつつ距離を詰め、刃を振るう!
敵は前足で白刃取りを企んだようだが、切り落とす。
敵が痛みに悶え、ビームを乱射し出したのでバックステップで回避。
「成仏しろよ、熱血一刀流番外奥義・星切りの太刀!」
霞の構えから光の速度で突っ込み一閃、ジグモ星人を両断して命脈を絶った。
敵の骸を火葬し、周囲を浄化する。
魔王軍以外の敵対勢力の出現と言う新たな課題に、俺は頭を悩ませた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます