第四十二話:完成、ハチダイレンセイオー!
「皆、ありがとうな♪」
格納庫内で俺は集った戦隊の仲間達に振り向き礼を言う。
「はわ! マッカ殿がデレました♪」
「マッカ様、いよいよ結婚ですね♪」
いや、アオイ嬢とフローラ嬢は待て。
「二人共、結婚するなら月にいる敵を倒してからにしてくれ」
「そうですよ、邪魔される事なくお祝いしたいですし」
クレインとバッシュがフローラ嬢達を窘める。
「そうだよ、誰が第一夫人になるかも決めないとね?」
「レオンさんの言う通りです、アップル様迄加わりましたし」
「うむ、マッカは女たらし過ぎなのじゃ」
「そうよね~♪ 私達のスーパーダーリンだからね~♪」
レオンにクラウ、アデーレ様にアップルとお前らはなあと言いたくなる。
「まあ、幸せな未来を掴む為にも敵は倒そう。 恋は世界を守りながらだ」
恋は世界を守りながら。
高校生で戦隊に選ばれた俺達に、権田原長官が述べた訓示だ。
恋も青春も大事な物は守りながら戦えとか、無茶言うよと今でも思う。
「マッカの事じゃ、妻である妾達から逃げるなどないじゃろう♪」
アデーレ様、結婚は置いておきましょうって。
「私達の絆は断ち切れませんからね? ええ、逃がしません♪」
クラウ、何処から出したんだよ鎖付きの首輪とか?
「マッカ様の名言。 男は度胸、勇者は任侠を曲げる方ではございませんわ♪」
フローラ嬢は笑顔が怖い、その言葉を出されると弱いんだ。
「まあ、まだ恋人の時間も楽しみたいですよねアオハルですよ♪」
アオイ嬢、目が獣だよ。
「うんうん、お買い物とか旅行とかしたいよね~♪」
女モードで体をくねらせて悶えているレオンはあざとかった。
「まあ、マッカはもう諦めろ?」
クレイン、奥の壁の方に逃げてから言うな。
「マッカさん、恋愛の多重債務は自己破産できませんよ」
バッシュもクレインの隣で安全な距離から言うなよ。
地球でネッケツジャーとして、ボージャック軍の奴らと戦っていた時よりもチーム内のぐだぐだがアップグレードされてる。
俺達に平和を託してくれている人達の為にも、健全に戻さねば。
「まあ、マッカと戯れるのも楽しいが仕事じゃ」
アデーレ様が俺を囲む輪から離れて告げる。
「そうだね、夏休みを満喫する為にも真面目に働かなきゃ♪」
一番不真面目なお雨が何を言うんだレオン。
レオンは瞬時に男の姿に変わる。
アップルは神様の仕事に戻ったようだ。
「はい、いよいよ聖獣大巨人の実験ですのね?」
フローラ嬢が真剣な面持ちで、壁のハンガーに固定されたロボット達を見つめる。
「来ましたね、全部合体をする時が♪」
アオイ嬢はガッツポーズを行う。
「ええ、合体出来るとはいえすぐに月には殴り込めませんが」
クラウは何処か歯がゆそうな顔だ。
「まあ、まずは変身して乗り込むぞ♪」
俺の掛け声に皆が頷き変身し、各自の機体へと乗り込んだ。
「八体のマジックメイルが一度に動くって、ヤバいな」
アイゼン帝国内にある平原へと飛んで来た俺達。
ゴールドバーグ王国、シルバー教皇国、ブロンズ王国、アイゼン帝国にミズホ国。
各国のマジックメイル部隊が整列して待機していた。
アイゼン帝国は黒い騎士型、ブロンズ王国は緑色の魔術師型。
シルバー教皇国は白い騎士型、ゴールドバーグ王国も青い騎士型。
ミズホ国は赤い武者型とお国柄が出てる。
どれも十メートル程の機体が五体だ。
真昼の空の下、ロボと騎士達が集う光景は画になるな。
こちらも機体から降りて一度変身を解く。
共に戦う味方ときちんと顔を合わせて置くことは、士気にも関わる。
「勇者団に、敬礼!」
白い鎧を着た神聖騎士の人の合図で皆が敬礼してくれた。
こちらも答礼する。
「マッカ、挨拶は君が♪」
レオンが俺に振る、身分はレオンが上だから従う。
「各国の勇士の皆様、本日は宜しくお願いいたします!」
集まった勇士の皆さんの顔を見て叫び頭を下げる。
拍手が起こった、スピーチとは違うが気持ちが伝われば良いはず。
「空がおかしい? 総員、機体に乗り込んで散開!」
クレインが逸れの魔力の変化に気付き叫ぶ。
その言葉に皆即時に動いた。
俺達も再変身してロボに乗り込む。
空の向こうに紫色に輝く魔法陣が浮かび、無数の大型の魔物ん群れが現れた。
続いて降臨したのは二体の悪の巨大ロボ。
一体は光線経験のあるバトルジェスターロボ。
もう一体は、ハリセンボンみたいに手足と胸に突起が生えたロボだ。
『ヒ~ッヒッヒ♪ テッポー、ジェスターお姉ちゃんが手本を見せて上がるね♪』
『うるさい、姉貴面するな!』
舞台の指揮官らしからぬ声が鳴り響く、あいつら姉弟だったのか?
『勇者団の皆様、魔物の群れは我らにお任せを!』
「宜しくお願いします、ご武運を!」
こっちも友軍を通信で大雑把すぎる分担で戦闘開始。
『来たよテッポー、撃っちゃえ♪』
『言われなくても、喰らえ~~~ッ!』
「あの突起、砲塔だ! 守りにいくぞ!」
敵が筒状の物を持っていたら、それは銃砲の働きのある武器。
ハリセンボンロボが体の筒から曲射でぶっ放して来た。
俺達は空を飛び、友軍部隊の頭上でバリヤーを展開して砲撃を防ぐ。
その間に地上では、突撃して来た蜘蛛みたいな魔獣の群れと友軍部隊が交戦。
演習のはずが実戦になっちまったよ!
『来たな勇者共。 テッポー、お姉ちゃんと合体だよ♪』
『仕方ねえな!』
「よし、こっちも全部合体だ!」
敵が合体に入るならこっちも合体だ。
変身や合体は、善悪双方妨害しようとすると痛い目に合うのはお約束。
まずは右腕、ヘリオスの機体が肩と上腕になりアリエスの機体が前腕と手。
右腕は土竜と羊の頭。
左腕は、エラポス機が肩と上腕でタウラス機が前腕と手。
鹿と牛の頭が左腕。
そして右足はポラリスで左足はアルタイスの機体だ。
熊の頭が右足、左足は龍の頭。
『センターは僕だ♪』
レグルスの機体が胴体と腰、胸のオライオン頭はロマンだな。
鳥、もといトリは俺の機体が頭と背中の翼になってドッキング。
「「完成、ハチダイレンセイオー!」」
八体の聖獣の力を宿した巨人が一つとなり、聖獣大巨人が誕生した。
連なる星の王のお出ましだ!
コックピットに全員集合して叫ぶ、ちょっと狭い!
敵の方も合体が終わる。
バトルジェスターロボが、棘付き手足のパワーローダーに乗ったような姿だ。
『ジェスターローダー、完成だよ♪』
『喧しいぞ姉貴!』
『お姉ちゃんと一緒で嬉しいくせに~♪』
こっちも合体しているというのに余裕である。
「おやおや、ずいぶんご機嫌だね?」
「あれが、玩具を手にした子供なら微笑ましいのですが?」
「ご機嫌なら私達も負けてませんよ♪」
レグルスんは顎に手を当て、ポラリスは頬に手を当てて溜息。
アルタイスは拳を握ってはしゃぐ。
「お前ら、狭いんだからはしゃぐなよ?」
「テンションを上げるなら操縦で行きましょう♪」
エラポスは冷静にアリエスはノリノリ♪
「では我らがリーダーよ、下知を♪」
「夫唱婦随で参ります、あなた♪」
「いや、タウラスは何か違うだろ? ハチダイレンセイオー、ゴー!」
こっちもぐだぐだだが、戦闘開始だ。
友軍達も連携を取り、魔法や武器で魔獣を相手に奮闘している。
俺達もまじめにお仕事だ!
相手は距離を取り、手足の突起からこちらに放電攻撃をしてきた。
『嫌だけど引き受けるわ、来なさい!』
右手のパッションシープが叫び、電撃を全て口に吸い込む。
聖獣達も喋り出す。
「ありがとなシープ、お次は牛さんパンチだ!」
『お任せモー♪』
「バイソン様、私と戦う時よりもご機嫌ですね?」
タウラスが俺にやきもちを焼く。
いや、俺はアップルの世界に呼び出されて聖獣達の世話してたもんで。
ハチダイレンセイオーの左拳と、敵ロボの拳がぶつかり合う。
『ちい、やるじゃねえか鳥頭!』
『がんばれテッポー♪』
距離を詰めての格闘戦、左の牛パンチと右の電撃羊パンチで攻防を繰り広げる。
相手のパンチも来るので、双方にバチバチと装甲に火花が散る。
「格闘なら一日の長ありですわ♪」
ポラリスの操作でローキック、だが相手もそう簡単には崩れない。
「お次は僕かな、ネメアビームだ!」
スーパーロボと言えば胸からビーム。
しかし、敵もさるもので肩を帯電させて盾にしてポンポイントバリアで防ぐ。
相手もタッパはこちらと同じ、HPもまだまだあると見た。
「押して行きましょう、ドラゴンスピアです!」
アルタイスのレバー操作で、ハチダイレンセイオーは青い龍の槍を手に取った。
敵も大鎌を持ち、武器戦闘に移行する。
槍と鎌の打ち合い、敵もミサイルを近距離でぶっ放すと絡め手を入れて来る。
「まだまだ、その程度じゃハチダイレンセイオーの装甲は削れないぜ!」
『くそが、鳥頭野郎め! 絶対にぶち殺す!』
『や~い、鳥頭~♪』
敵側は外部にも音声垂れ流しで叫んでる。
「フラメス、こいつら俺達のデータ取りが狙いじゃないのか?」
エラポスが敵の動きを訝しんで俺に告げる。
「じゃが、相手も元気なうちに大技は使えぬぞ?」
「よし、じゃあグリズリーアックスに武器チェンジだ!」
「了解ですわ♪」
こちらも相手にやられたように飛び道具の発射で距離を取り武器を変える。
槍の次はでかい斧、鉞担いだ金太郎ならぬレンセイオーだ♪
「レンセイオーの玩具作ったら売れそうだね♪」
「レグルスさん、商売の話は後にしましょう」
レグルスのボケにタウラスがツッコむ。
「薪割りは得意ですのよ、斧の必殺技ランバースマッシュ!」
ポラリスが操作をすればレンセイオーが斧を振り上げて勢いよく下ろす!
空気を切り裂き大地を唸らせる一撃。
敵のロボの装甲を削るが傷は浅かった。
『危なかった~っ! テッポー、生きてる?』
『やかましい、姉貴もきちんと操縦しろ!』
どうやらテッポーの方がロボの操縦は上手いみたいだ。
「よし、まだまだ武装はあるがこいつで決めるぜフェニックスオオダチ!」
止めは俺だと、伝家の宝刀フェニックスオオダチに武器チェンジをする。
「うむ、やはり止めはフラメスじゃな♪」
「バシッと、決めちゃいましょう♪」
「外すなよ?」
「場は暖めておいたよ♪」
「抜けば魂散る炎の刃ですね♪」
仲間達が囃し立てる中、俺は集中してレバー操作を行いつつ叫ぶ。
「熱血一刀流巨大奥義、破邪の太刀!」
ハチダイレンセイオーが炎燃え盛る真紅の大太刀を八相に構える。
『げげっ!こいつはヤバい!』
『ちい、覚えてろよ!』
敵が叫ぶ中、俺は灼熱の刃を敵へと振り下ろす。
一刀両断に叩き切られた敵のロボは大爆発を起こした。
「これにて一件落着だな」
ロボで残心を決める。
友軍のマジクメイル部隊も、魔獣達を倒して勝利の雄叫びを上げていた。
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