第四十話:激闘、悪のロボバトル!
ゴダイレンセイオーへの合体は成功した。
「本当に皆のお陰で、驚異的な速度で実現できたな」
「各国から、予算も人も注ぎ込んで頂いてるおかげだね」
「うむ、邪神討伐は人類の悲願ゆえな♪」
俺とレオンとアデーレ様が、格納庫で自分達のロボを見ながら呟く。
残る俺達のロボは三体。
花鬼生徒会もロボや宇宙戦艦の用意を進めている。
「順調にいけば、秋には月に殴り込みじゃのう♪」
アデーレ様が、ノートPCまんまの事ができる魔法のタブレットで計算を行う。
こっちも備えてると言う事は、おそらく敵も備えている。
新幹部のテッポーが直接の暴力で襲い、ジェスターが仮面の配下で裏を突く。
真っ向からの火力で攻めるのは囮で、裏から奇襲が本命。
ファイヤー&ムーブメントと言う、どこの世界でも昔から使われて来た戦術だ。
対抗するには人手。
アイゼン帝国軍、教皇国の神聖騎士団。
うちの王国軍に、花鬼生徒会やミズホの武士達。
ブロンズ王国は、魔法関連での支援。
今は農耕の女神となったアップルの現役時代。
聖女メリッサと勇者リチャード王と仲間達の頃のように、俺達人類は結束できていた。
力を合わせられたら不味いから、不和で結束させないと言う魔族のやり口。
地球でも見てきた悪の組織と同じ手口。
今度の魔王はもしや、俺達の敵の生まれ変わりじゃねえか?
地球で戦った敵のボス、ボージャックを思い出す。
ボージャック軍と近いんだよな、魔王軍の手口がなんとなく。
物思いに耽っていたら、格納庫内にアラートが鳴り響く。
「緊急事態じゃ! ブロンズ王国首都に巨大魔獣五体出現!」
「わかった、直で行くぜ!」
通信魔法でやり取りをしつつ俺達に指示を出すアデーレ様の叫びに俺は頷く。
変身して機体へとダッシュすれば、機体の方から胸を開けて俺を取り込む。
機体に乗り込むと、リモート操作で仲間の機体の固定も解除。
無人の僚機たちを引きつれて出撃。
魔力の消費はでかいが空中でゴダイレンセイオーへと合体させて現場へと向かう。
現場上空で、分離して着地仲間達に機体を渡す。
「到着だ、まずは個別で行くぜ!」
『了解ですわ♪』
『敵も戦隊を気取るとは生意気です!』
『個別でも強いぞ俺達は』
『やってやりましょう♪』
仲間達が機体に乗った事を、機内のセンサーで確認して俺は叫ぶ。
真昼間のヨーロッパ風の街を荒らす巨大な敵の一団。
嫌味のつもりか、こっちと同じく戦隊カラーで揃えた怪物達に立ち向かう。
『フラメス、人々は全員城へと避難しているから安心しろ♪』
「みたいだな、人間サイズの生体反応は城にしかない」
エラポスからの通信に、フラメスとなった俺は機内の生命探知機で確認する。
『フラメス、家屋の損害を気にしてたら戦えませんよ?』
『敵の方は遠慮などせず壊しております、お覚悟を!』
『島一つ爆破した勢いを取り戻せ! 産まれ変わってもネッケツレッドだろ?』
『止まるなんてレッドらしくないですよ!』
「おっしゃ、熱血ソウルと勇者パワーでぶっ飛ばす!」
そうだ、躊躇ってる場合じゃねえ!
任されてるんだ俺達は!
「昔取った杵柄、ネッケツパンチ!」
フラメスナイトの拳に炎を灯し、連続パンチで赤いタコ型魔獣を殴り飛ばす。
『私も昔のノリで行きますよ、ドラゴンスピアでネッケツドリルです!』
アルタイスタイラントはドラゴンスピアに水流のドリルを纏わせ、自分と同じ色の巨大スライムのコアを貫く。
『こちらでも柔術の道場を開こうかしら♪ ネッケツ地獄車ですわ!』
ポラリスガードは、黄色く巨大な半魚人型魔獣に組み付くとゴロゴロと敵ごと回転してから山の向うへと投げ飛ばして爆殺する。
『俺に弓を持たせた事を後悔しろ、ネッケツシュート』
エラポスワイズマンの機体は弓矢を取り出して超音速で魔法の矢を放つ。
緑色の猪型巨大魔獣は、額から貫かれ頭部が爆散した。
『最後は僕です、可愛くない兎は粉砕しますよネッケツスマッシュ!』
アリエススカウトは、ピンク色の巨大な兔型魔獣を相手に巨大な羊頭のハンマーを構える。
ハンマーの羊が口を開けてメーメー泣いて敵を眠らせてから野球のバットのようにスイング。
回避不能になった所でぶん殴るのは鬼だ。
皆が昔のノリに戻って大暴れして、敵の鎮圧はできた。
俺が言うのもなんだが、街の家屋を破壊し過ぎだし魔獣の血で汚し過ぎだ!
「俺達のロボで街の掃除と瓦礫の除去かな?」
ロボで壊した街の後始末も、昔と変わらねえ。
「皆、城を囲んで結界魔法だ!」
俺は機体を走らせる、仲間達も続く。
戦隊時代の杵柄、倒した奴らはザコ怪人でこの後に幹部クラスが来る!
俺達はロボで城を囲み、ドーム状の日あk里の結界を展開する。
案の定、空の一部を暗雲が立ち込め落雷と共に嫌な黒い波動が放たれた!
『ヒャ~ッハッハッハッ♪ バトルジェスターロボ、参上♪』
「笑えないな、やっぱり敵もロボット出して来やがったか!」
テッポーじゃなくてジェスターの方かよ、奴はどうした?
五十メートルクラスで紫色の単独型巨大ロボ。
胴体や手足は、昭和の先輩チームが乗ってたような四角いタイプ。
悪の組織が使うパチモンヒーローロボじゃねえか!
「皆、結界の強度を上げるぞ!」
『喰らえ、ジェスタースケイル♪』
敵のロボがデカい鎌を召喚して振るう。
案の定、黒いエネルギーの刃が飛んで来やがった!
城守ってる以上、回避はできないからバリヤーを強化して耐える。
俺達のバリヤーと敵の斬撃がぶつかりせめぎ合うが、どちらも砕けて相殺。
「今だ皆、攻めるぞ!」
「「応っ!!」」
巨大ロボ戦でも戦隊の戦い方は変わらない。
下手に守るよりも打って出る! だが敵も姿を消した。
「お約束なんだよ、後ろを取るってのはな!」
俺はフェニックスオオダチを召喚して上段受けする。
案の定、ガチンと金属音が響く。
仲間達の機体は全員側転で退避。
『何だよ~~っ! どうしてこっち手口に勘付くかな?』
「こちとら、五十五回位はお前みたいな奴と戦って来たからだよ!」
前世から合わせて、巨大ロボ戦五十年の経験値なめんな!
こちとらジジババになっても、ロボ動かして戦ったんだ。
『これだから転生者って奴は嫌なんだ!』
「うるせえ、合体してぶっ飛ばす!」
バトルジェスターロボを蹴飛ばして、僚機と合流しゴダイレンセイオーに合体。
『合体した! 卑怯者~~っ!』
「喧しいクソガキ、わからせの時間だ!」
こいつ、何か俺の嫌いなメスガキの気配がする。
俺が許せるメスガキは、前世の娘の子供の頃だけだ!
『うふふ、悪い子にはお仕置きですね♪』
『地獄へ送って上げましょう♪』
『容赦する義理は無しだな』
『シープハンマーでお尻叩きです♪』
仲間達の声が通信で聞こえて来る。
俺達の心は目の前の敵を倒すという目的で一つになっていた。
『うげ、何か魔力が上がってる?』
敵のロボから嫌そうな声が漏れる。
「これがお前らが嫌いな、団結の力って奴だよ♪」
『まずは僕からですよシープハンマー、メエメエカース♪』
アリエスが自分からだと動く。
ゴダイレンセイオーがシープハンマーを大地に突き立て衝撃波を放つ。
羊の頭が口を開けて、気だるげな鳴き声を上げる。
これは敵に対する弱体化のデバフの呪詛魔法だ。
『ぐ、やる気がなくなる!』
『更にデバフを喰らえ、グリーンバインド』
続いてはエラポスが、叫ぶ。
得意の大地魔法で地面から蔦を生やしてバトルジェスターロボを襲う。
『舐めるな、スケイルスイング!』
魔法での拘束は敵の鎌の一閃で失敗した。
『ここは、とどめはレッドにお任せしましょう♪』
『熱血一刀流で、良い所を見せて下さい♪』
ポラリスとアルタイス、イエローとブルーから見せ場を貰った。
『決めるぜ熱血一刀流巨大奥義、フィニックス火の輪崩し!』
『やられてたまるか~~~っ!』
俺の操作でロボが大太刀で弧を描き火の輪を作る。
まあ、敵も必殺技を打たせまいと来るのはわかる。
バトルジェスターロボが大鎌を振るい襲い来る。
しかし、そっちが斬撃を飛ばせるようにこっちも火の輪を飛ばす。
振り下ろされた大鎌の一撃を火の輪が跳ね返す、返し技で持つ開けるんだよ。
「これが応用技、火の輪返しだ」
ズバッとフェニックスオオダチで敵の胴を斬る。
こちらが敵を月入り残心を決めれば、背後でバチバチと敵機がスパークする。
『覚えてろ、次はテッポーと一緒に倍返ししてやる!』
「ち、物別れには至らなかったか」
ザックリと敵の胴には切れ目が入りケーブルらしきものとかが見える。
中破程度のダメージだったか。
バトルジェスターロボは、大鎌で空間を切り裂いて異空間へと逃げ出した。
「ち、こっちも追加のロボで返り討ちにしてやるぜ」
俺も敵の気配が消えた事を確認し、ロボの刀を虚空に納めたのであった。
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