学園編

第11話入学式と決闘と

前文:

明刻・アイザック邸庭

アイザック家・傘下筆頭である。ジャック・オールキラーは眼前の使用人たちに号令を飛ばした。

それは近隣住民が目覚まし代わりに使うほどの大きな声であった。

「汝らは何ぞや!!!」

当然返答もそれに準ずる大きな声であった。

「我らアイザック家旗下、騎士団なり!」

「汝らが使命は!!!!」

「主が剣として、主が敵を一切合切ぶち殺すことなり!!」

「よぉし!!朝の朝礼終わりぃ!!!各自持ち場へ!!!」

そうしてウィリアム自治区の朝が始まった。


幕間.小話

ある日の師弟:

アランと師匠が修行していたある日のこと。

いつものように二人は修行の合間に小休止していた。

体を酷使するつかう修行の合間に魔術師としての心構えを学ぶのが師弟ふたりにとってのいつもの修行メニューであった。

「なんども言うようだけど、魔術というものはむやみに人前では使ってはいけないよ」

「“熟練の魔術師には使われた魔術の仕組みが理解わかる”でしたよね?」

アランの言葉に師匠は深く頷いた。

「そう。魔術っていうものはそれ自体が論文みたいなものだからね。充分な知識があれば、相手の魔術を解析して対抗魔術を使うのも難しくない。でもねそれを理解ふまえても魔術を使わなければいけない時も存在する」

「それは?」

仲間たいせつなだれかを侮辱された時だよ」

そう言って師匠は微笑んだ。


1.新興連合国・ホテルの一室

アラン・アイザックは身支度を整えた。

明日、アラン達新入生は寮決めの後に入学式がある。

それに備えて荷物を確認した後、アランは眠りについた。


1.2 ミネギシ魔導学校・第二中講堂

そこには第三次じつぎ試験までを通過クリアした600人の生徒達の一部が集められていた。

しばらくすると教員の一人が講堂の正面の壇上に立ち、生徒たちに話し始めた。

良く通る声だった。


「今から諸君らには在学期間中にしようする寮の組み分けを行ってもらう」とその教員は言った。

次の瞬間教員の背後に大きな立方体が4つ程降り注いだ。

その立方体は(遠くから見ているアランには)よくわからない材質でできており、人の背丈ほどの高さの扉が付いていた。

また教員が話し始めた。

「(危ねぇな)・・・今から君たちにはこのの中に入ってもらう。詳しいことは中の案内に従うように」

それから、生徒たちはそれぞれの(と呼ばれたモノ)に入っていき、しばらくしたら小さな紙を持って出てくるを繰り返した。

そうしてアランの番がやって来た。


1.5ミネギシ魔導学校・選別室

そこは最終試験の時のような暗がりであった。

そんな部屋の中心には存在していた。

は鏡のような形状であった。

はこの部屋くらがりの中で唯一存在を確認できるものであった。

は光を発しているわけではなかった。

はアランの腰から頭の髪の先端までを写していた。


そして、どこからともなく声が聞こえてきた。


1.7ミネギシ魔導学校・選別室?

『問壱、チミの名前は』

アランは答えた。

『問逃、チミの魔術師としての目的は』

アランはそれも答えた。

『問惨、チミとお母さんと見ず知らずの人が災害現場に取り残されています。脱出用のボートには二人しか乗れません。チミはどうしますか?』

「それ関係あります?」

『だぁまらっしゃい!聞かれたことに答えやがれこの✕✕✕ピーー野郎!』

アランが質問すると、とてもじゃないが教育機関では使われないような不適切な言葉が返ってきた。

「・・・母さんとその人を乗せます」

アランはじっくりと考え、そして答えた。

『なぜ?』

「そうしないと後悔しそうなので」

『・・・問よんチミは朝ごはんはパン派かゴハン派か』

「朝はパンです。食べやすいので」

『問は以上だ。手元の紙を持って、行きたまへ』

いつの間にかアランの握ってあった手の中には小さな紙があった。

アランは声に言われたとおりに部屋を出た。


アランはソンズ寮への入寮が決まった。


幕間.魔術紹介

暗い部屋の魔術について:

正式名称:『暗室問答ソレはかたりかける

系統・結界術(付与型)

難度・通常魔術

内容・暗室にこうなどを置き、自問自答などを行うことで、思考の整理や取得済みの魔術の練度向上を行うための儀式場ぎしきじょうを作成する魔術である(置く物や行う動作の内容は個々人による)。

今回はそこにいくつかの魔道具や魔術を組み合わせることで、各生徒にとっての適切な寮への振り分けのための魔術に改造しかえた(練度をある程度上昇させる、または術者自身に一定以上の力量が魔術の効果ないように一部変更アドリブを加えることが可能である)。


2.ミネギシ魔導学校・大講堂

そこには今年入学することになった、600人の学生たちが集められていた。

アランが講堂に入った時には席がほどほどに埋まっていた。

アランが適当な席に座ると、あっという間に左右が後から来た人によって埋まった。

大講堂にある二つの扉が大きな音を立てて閉められると、講堂が暗くなった。

「これより第1040回、魔導学校入学式を開式いたします(音がでかくね?)」

「開式の辞」

次の瞬間壇上が一本の巨大な火柱に包まれ、次の瞬間にはじけると中から絵本の中の魔法使いのような大きな帽子を被った中肉中背の男が現れた。

その男は初老のような若者のような雰囲気を携え、眼前の生徒達を見回した。

「おほん。理事長のハルミツ・ミネギシである(ん?今、何か教員側から舌打ち聞こえなかった?)。・・・さて、貴君らがここにいるために費やした努力はおそらく並大抵のものではなかったのだろう。どうかその努力を忘れずに、これからの日々を過ごしていただきたい。・・・・・さて、最後になるが当校は!貴君らの入学を!心より歓迎する!」

次の瞬間講堂は一気に明るくなり、部屋の至る所で祝福を告げるクラッカーが鳴った。

そうして式は終了した。


幕間.小話

舌打ちをした教員について:

「おい」

舌打ちをしたドール・フランキスカを同僚の教員が窘める。

その声には(気持ちはわかる)という印象を与えた。

理由は先ほどの理事長の登場の仕方である。

それを見ていた教員達はおそらくこう思ったことだろう。

「「「(あれ絶対床の板の張り替えが必要なぐらい焦げてるよなぁ)」」」

そう、焦げるのである。

カッコつけて(でかすぎる)火柱から登場しようもんなら、絶対にその足元の床板は張り替えが必要なぐらい焦げるのである。

教員からすればそんなもんは余計な出費以外の何物でなかった。

そりゃあ舌打ちの一つもしたくなるだろう。

そんな教員達全員が片付けが必要な物クラッカーで舌打ちするのはそれから数十秒後のお話。


3.ミネギシ魔導学校・連絡廊下(中央塔からソンズ寮へ)

アランは(わりと大きめの)カバンを持っていた。

大きな雑貨は後から郵送で送られてくるが、最低限の生活雑貨はこれから自分の部屋に運ぶところだった。

そんな中でアランは道中の曲がり角で人とぶつかった。


普通なら双方が転び、ラブコメ的な展開があったのだろう。


だぁが!

師匠とのトレーニングで身体能力までもが鍛えられているアランの体幹はアランが倒れることを許さなかった。


結果、相手だけが普通に吹っ飛ばされた。


「何だ!壁?!」

鍛え上げられたアランの体幹によって派手に吹っ飛ばされた男は割と失礼なことを言いながらこちらを向いた。

「・・・ごめん。大丈夫?立てる?」

アランは倒れた相手に手を差し伸べた。

相手は(なぜか)震えると声を金切り声をあげた。

「ふ、ふざけるな!何という侮辱だ!僕をハミルトン家の人間だと知っての狼藉か!」

なぜか相手は怒り出した。

「許せない。こんな侮辱は生まれて初めてだ!決闘だ!この侮辱は貴様の血で注がせてもらう!」

「え?!」

相手はポケットから手袋を取り出すとアランの胸に投げつけてきた。

アランがそれを手に取ると、()周囲が騒ぎ出した(ちょっと待て、こんなに周りに人はいたか?)。

「決闘だ!」

「決闘だぞ!」

「マジかよ!決闘だってさ!!!」

周囲が騒ぎ出してアランは決闘を(半ば強制的に)受ける流れが出来上がった。

アランの明日はどっちだ!


あとがき:パターン青!ナチュラルクソボンボンです!

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剣と魔術と迷宮と 目玉焼き @yuderuna

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