入学試験編
第8話入学試験編始動
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ミネギシ魔導学校について:
世界最高峰の教育・研究機関の一つ。
魔歴1000年に魔術師の名門ミネギシ家の当時の当主であったテルミツ・ミネギシ氏が次代の中枢を担う若者を育成する目的で開校したことを始まりとし、代々当時のミネギシ家の当主が理事長に就任してきた。
魔術業界のみならず、世界の政財界の中枢にも多くの人材を排出してきた超一流の名門校である。
八百書房刊『世界の有名校大全・新興連合編』より
0.5.ミネギシ魔導学校???階・理事長室
その部屋の扉が三回ノックされた。
「どうぞ」
答えたのはこの部屋の主である。
第53代ミネギシ家当主のハルミツ・ミネギシである。
扉が開き、生徒指導担当のドール・フランキスカが部屋に入ってきた。
彼は簡潔に要件を述べる。
「つい先ほど
そこで理事長は書類に落としていた視線をフランキスカに向ける。
「ほう。おはやいですねぇ」
「ええ。まぁ。では早速受験生への連絡と
「今年度は君の担当でしたか。頼みますねぇ」
そうしてドール・フランキスカは部屋を退出した。
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入学試験内容について:
試験は全部で三種類。
一次試験:書類選考(経歴の詐称及び前科などの調査)合格率95%
二次試験:筆記試験(最低限の公用語を含む学力のチェック)合格率6%
三次試験:実技試験(各年度ごとに内容を変更)合格率不明
『ミネギシ魔導学校入学試験・内部資料』より
1.新興連合国・ホテルの一室
「ぃやっっったぁぁぁ!」
そう言ってホテルの一室で一人飛び跳ねたのは、たった今二次試験の合格通知が届いたアラン・アイザックである。
現在は生家を離れ、入学試験の為にこのホテルに泊まっていた。
このホテルは毎年多くの受験生が利用している関係かスタッフの人がとても親切に試験などについて教えてくれてくれていた。
「あ、そうだ!ウチに連絡しないと」
そう言うとアランは事前に渡されていた連絡魔道具で、生家に合格の旨を送信した。
この魔道具は音声を遠方に送ることができる物で受信装置としての機能も有していた。
すると部屋の扉をノックする音が聞こえ、返事をするとホテルの従業員の人が料理を持ってきてくれた。
チップを払うと従業員は一時間後に皿を取りに来るとだけ言って出て行った。
アランは料理を食べ終えると早速魔術の特訓に戻ることにした。
魔導書を開き、父さんが渡してくれた『魔力防壁』という魔術を発動した。
それは六角形の板だった。
剃刀のように薄く、それでいて壁のように堅い。
そんな魔術とアランは向き合った。
そうして時間は過ぎていった。
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アランの泊まったホテルについて:
正式名称をマカリーホテル
『常に世界最高品質のサービスを提供する』をモットーにしており、そのサービスは世界のVIPからも認められている。
アランが泊まっているのは13階の部屋(最上階は25階)。
2.新興連合国・ミネギシ魔導学校三次試験会場
そこには第二次試験を突破した魔術師の卵、600人ほどが集められていた。
そんな中でアランは目を輝かせた。
「(すごい!この人たち全員魔術師なんだ!)・・・ん?」
そんな人たちの中でやや騒がしいところがあった。
何だろうと思ってみてみると、どうやら三人ほどの男子が一人の男の子を囲んでいるようだった。
「
「ンッスッス。坊ちゃん言い過ぎでゲスよ」
「ンピョピョピョ。おい。坊ちゃんが話しかけてやってるんだ。何とか言ったらどうなんだ?」
彼らの周りは皆興味がないのか見て見ぬふりをするか、一緒に笑っているかだった。
悪口を言われている子も諦めたように床を見つめていた。
「おい。やめなよ」
それがアランには許せなかった。
それは正義感なんてものではなく、彼を助けたいなんて感情でもなかった。
ただ、許せなかった。
あんな諦めたような顔をしていることが、
それ以上にそんな顔をさせている
「あ?何?何をやめるって?」
三人の中心的な立ち位置にいる男がアランを睨んできた。
アランが何かを言い返す前に、沢山の鳥が羽ばたくような音がした。
「あーテステス。たった今定刻になった。これより第三次試験を開始する。また現刻までに受付が終了していない方はこの時点で失格となる」
そう言って男は指を鳴らした。男の声は広い会場の中でもよく通った。
アランや会場の受験生と思われる男女の周りにどこから来たのか無数の鳩が飛び始めた。
「この鳥が肩に乗っていない者はその時点で失格だ。それでは第三次試験の内容を説明する」
3.ミネギシ魔導学校第三次試験会場
「それでは第三次試験の内容を説明する。・・・身構えなくても大丈夫だ。当校生徒に求められる最低限の実技成績しかこの試験では求められない。また、この試験では合格者に上限を設けていない」
試験管の発言に会場がざわつく。
試験監督は続ける。
「試験の内容は単純、諸君らの肩に乗っている鳥の案内に従って、制限時間内に本試験の会場に移動するように。
試験監督がそこまで言うと会場内の四方の壁が開き、道ができた。
「それでは、第三次予試験開始だ」
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