合わせてぴょこぴょこ
「南京錠のカギみたいだね」
「確かにそうね。宝箱のカギだったらいいんだけど」
「案外近かったりして。こっちのクローゼットは調べたの?」
赤野は私に小さなカギを返して、大きなクローゼットを指差した。
「これからよ」
その言葉を聞いて赤野は大きなクローゼットの両扉を開けた。
「……ビンゴ」
「え?」
ニヤッと口角を上げて笑う赤野が見つめるクローゼットの中を覗き込む。
「こ、これは本当にお宝かもしれないわね……」
クローゼットの中には更にもう1つ透明な観音開きの扉があり、取っ手には大きく重たそうな南京錠がぶら下がっていた。
中には数cmの差で上から下までいくつも棚が取り付けられており、その棚には大量のカエルのフィギュアが等間隔で置かれていた。
背が黒で腹が赤いカエルやオレンジ色のカエル、青い体に黒い斑点模様が背に広がっているカエルなど、毒を持っていそうな色鮮やかなカエルばかりが並んでいる。
「このカエル、下の図書室に書かれていた事じゃないかしら?」
「じゃあどこかに一匹足りない所があるかも……」
上から下まで素早く棚に視線を走らせると、一箇所だけ一匹分の隙間があるのを見つけた。
下から4段目の黒と黄色のシマシマ模様のカエルと、目が赤く体が水色のカエルの間が空いている。
「あの間に置けば良いんじゃない?」
「カエルは赤野君が持ってたわよね」
赤野を見ると、彼は既に緑色のカエルのフィギュアを手の平に乗せていた。
「カギはさっきので開きそう」
赤野はカギを握りしめた私の右手を見つめた。
「そうね、試してみましょ」
私は小さなカギを、南京錠の鍵穴に差し込んだ。
カギは途中で止まる事なく、カギの先端が奥に当たる。
クルッと回すと、南京錠が音を立てて外れた。
カギを差したままの南京錠をポケットにしまい、観音開きの扉を開けた。
一歩クローゼットから離れると、その間に赤野がしゃがみ込み、一匹の隙間が空いた所に緑色のカエルのフィギュアをそっと置いた。
コロコロコロコロコロ……
どこからか何か小物が転がってくる音が聞こえてくる。
「あっ!」
棚の上からピンポン玉くらいの艶やかな白い玉が転がり落ちてくるのが見えた。
咄嗟に手を伸ばし、落ちてきた白い玉を掴み取った。
「よし!」
本が落ちてきた時は助けられず、赤野の頭に直撃して痛い思いをさせてしまったが、今度は助ける事が出来た。
「痛っ!」
だが白い玉は1つではなかったようで、後から転がり落ちてきた白い玉が上を見上げていた赤野の額に当たってしまった。
「あ、ごめん……2個だとは思わなくて。大丈夫……?」
「本に比べたら、全然平気」
赤野は床に転がる白い玉を拾い上げ、立ち上がる。
2人でそれぞれ手にしている白い玉を観察すると、ただの白い玉ではなかった。
「……なにこれ」
「気持ち悪い……」
艶やかに光を反射する白い玉には青い円が描かれており、その中には小さい黒い円が描かれていた。
黒い円を中心に青い部分には黒い斜線が一周していた。
これは擬似の眼球だった。
「人形の物なのかしら……?」
「分かんないけど、転がってきたって事は持っといた方が良いよね 」
【2つの青い目玉を手に入れた】
赤野がズボンのポケットに眼球を入れたので、私もスーツのジャケットのポケットに入れた。
かさばってしまうが、両手は空いていた方が良い。
邪魔になったカギの刺さった南京錠を取り出す。
「これでこの部屋の調べられそうな所は一通り終わったわね 」
私は大きいクローゼットの扉を閉めた。
「収穫があって良かったわ」
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A【外した南京錠を机に置く】
B【棚に南京錠を付け直す】
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