第7話 stop me…詞から

結局対立してしまったモリッシー&マー。

だからどちら派とか言うと一方を否定してるみたいに聞こえちゃいますが、僕はモリッシーも好きです。

基本的に楽器持たないヴォーカリストってのがあんまり好きじゃなくて、それは持て余して変なステージアクションするからだったりします。

逆に棒立ちで歌ってるのも芸が無いしね。

このモリッシーも存分にステージアクションするんですが、それは独特というか、異質です。

ポケットから花束取り出してぶんぶん振り回す。花束無いときはタコ踊り。凄いです。

リアルタイムではなかなかスミスのライブ映像なんて視られなくて噂に聞くだけでしたが、昨今視れるようになって、聞きしに勝るものでした。是非視てください。大好きになりますよ。

横道に逸れましたが「stop me…」の訳詞です。

訳詞ってどうしても訳者の解釈に依るもので、真に受けられないのであんまり読まないんですが、今回記事にするにあたって一応読んだら素晴らし過ぎました。

小林政美さんって方の訳で、これだけで思い入れ深く、どう読み手に伝えるか熟考の末訳されたものだとわかります。感動したのでほぼ全文書こう、と書き始めてふと、この訳詞をまた僕なりに訳そうと思ったのでそうしますすいません。


止めて 教えて 僕がまた前と同じ事言ってたら

止めろ 言ってくれ それ、前に聞いたよって

何も変わらない まだ君が好きだよ 好きなんだ

ただ前よりすこしだけ、好きじゃないだけなんだ


やられたよ 君は待ち侘びて 僕は非常停止

人生最後の10秒間みたかった

予想外の打撃 あまりの痛さに 仏様でも大量殺戮したくなるくらいだった

一体誰が吹きこんだんだ 僕が嘘をついたって

どこのどいつだよ 僕は一度も嘘なんてついたことなんてないのに

縛られ 怒り狂いながら膝を壊された(それから殴りかかるなんて、卑怯者)

金曜の夜を外来患者の待合室で過ごした

誰が僕を嘘つき呼ばわりしたんだ?

嘘なんて一度もついた事がない僕を

だから一杯飲んだんだ 

いや、もしかしたら四杯だったかな?

床に倒れてまた飲んだ


いやあ。サビ以外の詰め込まれた言葉の醜悪さと言ったら。

これが快楽的で、爽やかですらある曲に埋めこまれ、そのリズムを加速させる。

マーのアルペジオの一音一音が、それとは違う速度で現実に引き留める。

まるで五寸釘で壁に写真を一枚ずつ貼り付けるみたいに。

モリッシーとマーの顛末またあの頃の関係性については興味があれば調べてください。

「自分たちの凡庸さを表明する」為にthe smithと名乗った彼ら。

モリッシーとマーは、その通りにマーからモリッシーを誘い出し、素晴らしい時間から幸福の中で最初は外圧から亀裂を作り、それを埋められず逆に大きくして対立する。そしておそらくそこには金銭や他のメンバーなど極身近な人間関係が深く関わっていただろうと推察される。

そんな、凡庸な終わり方を見せてくれた。

ふたりのパートナーシップが生み出すものは非凡極まりなかったのにね。

そんな覚え、君にもないかい?

僕にはあるんだ。

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