第6話 正規ルート脱線開始しました。 2
真っ暗中仄暗く光る下り階段を歩いて降りていくと、ロキの眼前には煉瓦造りの洋館が現れた。
空気の音がする。先ほどまでは足が踏み鳴らす階段の音しかゲーム内のBGMがなくなっていたのだが、それに空気、風が凪いでいるが、微かに吹いている音がする。
洋館の前には大きな鉄格子の扉があり、中の様子を伺うことができるが、ロキが意を決して扉のノブを手に取り引っ張ったがびくともしない。鈍い金属音を立てただけだ。
「ここから先へは進めませんじゃ、イベントが進まないから何か入る手段があるっぽいけど。どうしたものか…?」
周囲を伺うが、誰もいないし、門番のようなモンスターもいない。
何がイベントを進めるのだろう…。
そうしていると、薄暗くて最初は気が付かなかったが、鉄格子の脇に呼び鈴らしく小さな鐘は吊り下がっているのが見えた。
…普通に考えて、これを鳴らせばイベントは進行しそうだが。
「鳴らすと同時に敵とエンカウントとかありえるんだけど…」
ゲーム的にはそれがお約束。つまり、この鐘を鳴らすというのは危険なことということだが、現状、鳴らすしかない。
「ええい。ままよ!」
からんからん、と鐘の音が闇に溶けていく。そして、鐘の音が溶け切った瞬間、義しり、と何か鈍い金属が軋み音がした。
やはり、イベントが進んだ。さあ、どうなるか。
ロキは周囲を警戒、見渡しながらそう思い、急な接敵でも大丈夫なように身構えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます