第2話 美猫オーロラ


 

「さあ早速ダウリー王国の王女様と「黄金の鳥」を探し当てないと……何か分かった事は有るか?」


「どうも…王女様は非常に美しいお姫様で国民の憧れの的だったという話ですが、執拗に追い掛け回すスト-カ-に悩まされていたらしいんだよなあ」


「だが、護衛が付いているから大丈夫じゃないの?」


「そんな四六時中は無いでしょう。プライバシーってものが有るから……」


「お友達と会ったりする場所までは付いて来ないと思うのよね」


 ★☆


 ドラキュラ伯爵とおマル様はダウリー市の視察に出掛けた。やはりこの王国を理解して貰わないと、おマル様の占いに支障が出るのでお連れしたのだ。


 その時だやはり世界一ばかりの贅を尽くした国だけあって猫までブルジョアだ。


 おマル様とドラキュラ伯爵は人間からは見えない。それなので見えない者同士ドラキュラ伯爵の背中に乗って空中遊泳をしながらの視察となった。


 すると階下に美しい猫が現れた。おマル様は思わず過激に「にゃんにゃんグウ~グウ~」と騒ぎ出した。

「おマル様どうしたんだい?そんなに一心不乱に暴れて……」


「にゃんにゃん」下々と指をかたくなに下に向けて暴れるので急遽地上に降り立った。



 実は…デブで寝る事と食べる事にしか能の無いおマル様だったが、こんなブ猫でも美しい絶世の美猫だけは絶対見逃さない。自分のブ猫ぶりを忘れて瞬く間に恋をしてしまった。

 

 その猫の出で立ちたるや美!美!美!美!美猫。まさしく神が与えし美しすぎる猫。


 頭にピンクの薔薇の花飾り 青い目にふわふわの毛並み。真っ白なレースのチュチュを着こなして、「世界一美しい」といわれるラグドール種のにゃんこが、目の前に現れた。


 本来ならば姿が見えない猫神様おマル様なのだが、邪心の心を持つと姿が浮き彫りになるらしい。


「ああああああああ!……美しい猫ちゃん😻💓俺の理想のネコだ。ああああ可愛い。チュ😘チュ😘チュ😘ギラギラ💕🤩😍 ギラギラ💕🤩😍」


 下心丸出し。


 それも丸々と肥えたギラギラ感半端ないブ猫が、天からボトンと落ちて来たものだから『眠れる森の美女』のオーロラ姫のような気品溢れる猫ちゃんは、ビックリ仰天!

「キャ————————————ッ!」


「嗚呼……すみません。私は猫神様おマルと申します」


「何で天から降って来たの?」


「嗚呼……それは…それは…きっとあなたの願いを叶える為に現れたのだと思います。ところで……お名前は……?」


「私はオーロラです」


「オーロラさんは最近とんでもない災難に見舞われませんでしたか?金か?男か?」


「そうなのです。悪い雄ネコに騙されて食うや食わずの生活になったのです。もう生きて行けません」


「僕のお嫁さんになってくれたら何でもします。言って下さい」


「本当に?」


「本当です。何でも望みを叶えてあげましょう」


「お金📀🪙💰🤩に困っています。お金を頂けたら結婚します」


「本当に?本当にこんな僕と結婚してくれますか?エエエエエエェエエエエエッ?それから……猫だったら飼われているから、お金なんていらないでしょう。それから随分裕福そうに見えるけど……」


「そうなんです。大金持ちの御屋敷で飼われていたのです。そんな時に家の庭に遊びにやって来る超イケメン野良猫に私が恋をしてしまったのです。それで私が寂しそうにしていると、飼い主がその猫を家に入れてくれるようになったのです。野良猫に恋をした私がバカだった。家の飼い主に取り入って私が追い出されてしまったのです」


「それは可哀想に……でも一般社会で猫はお金を使うことが出来ませんが?」


「大丈夫ですよ。蛇の道はヘビと言って、私には色んな知り合いが居ますから、お金さえあれば何とかなります」


「本当に僕のお嫁さんになってくれますね😻💓」


「当然よん😉💋(*´ε`*)チュッチュ」


 結婚をエサに、まんまと騙されたおマル様。妖怪銀行にたんまり貯金をしていたにも拘らず、こう言って甘い言葉に引っ掛かり身ぐるみ剝がされたおマル様。そして…オーロラは行方をくらまして会えず仕舞い。



 ★☆


「どうしたのさ?おマル様最近全然ハキがない。まるで死んでいるようだが……」


「あんなにお金に貪欲で貯金が趣味のおマル様。唯一の楽しみ妖怪村で買い食いを散々目撃されていたが、最近すっかり見かけなくなってしまって……」


「そう言えばあれだけ丸々太っていたのに最近はゲッソリやつれてしまって……一体どうしたというのだ?」


「それがだね……オーロラという絶世の美ネコに色仕掛けに遭い、金だけ奪ってトンズラされたって訳」


「ドラキュラ伯爵はどうして知っているの?」


「ダウリー市視察の時に会ったオーロラだから良く知っているさ」


「困ったものじゃ最近は占いが外れまくっている。もうおマル様は当てにならない。おマル様をクビにしないと……」



 ★☆

 

 あのオーロラは一体何者だったのか?

 

 実は…美猫オーロラは人間になど飼われていなかった。よく妖獣村で買い物姿が目撃されていた。実は…ダウリー王国の妖怪だった。


 でも確かにあの時オーロラは、ハーネスに繋がれて金持ち風の紳士と歩いていた。って事はあの紳士は人間に化けた妖怪で、美猫オーロラとグルになってお金をぼったくるためにターゲットを探してたって訳?


 確かにこのサハラ王国連邦にも妖怪村似た幻獣村がある。その幼獣村には世界各国の妖怪、アラブの妖怪、中国の妖怪で霊獣、更には日本の妖怪が住んでいるらしい。彼らはみんな流れ者で中東の居心地のいい場所に住み着いた。更には妖精などもいるらしい。


 それでは何故、妖獣村になったのかというと、世界各国にはキリスト教圏の魔獣、キリスト教圏以外の妖獣がいるので妖獣村になった。まぁ言えば全部妖怪だ。全くややこしい❗❗❗

 

 だが、この妖獣村にはとんでもない秘密が隠されていた。















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