第10話
「………!! もしかして……」
どうやらステラは、気が付いたみたいだ。
ボクはそれに首を縦に振ってから、ステラの勘づいてることを言う。
「ステラも知ってる通り、ボクはお花が好き。それは—――男には許されていないモノなんだ……」
「クッ……!」
「だからボクは……男の子たちから『女男』って言われたり……女の子たちから『気持ち悪い』って言われたんだ……」
「センカ様っ……!! それ以上はもう—――」
「だけどね」
ボクはステラの優しさを遮る。
ステラには、どうしても聞いてほしいことがあるから。
ボクの—――全てを。
「だけどね……どんなに悪口を言われたり、物を投げつけられて心と体が傷ついても、ボクは一度だって—――お花を恨んだり嫌いになったことはない」
「………!! センカ様っ……!」
すると急に、ステラがボクの胸に飛び込むように抱きしめてくる。
その勢いに押し倒されそうになるけど、何とか耐えて受け止める。
そしてステラは、うぅ……、と嗚咽しながら、大きく綺麗な瞳から大粒の涙を流す。
その涙はボクの気持ちが伝わった証拠だと、共鳴してるのだと思いながら、ステラの背中をトントンと叩く。
今のボクが思い付く中で、ステラに感謝を伝えることができて、落ち着かせられる方法がこれだ。
「ボクはお花が大好きだから……愛したいから……そう思わなかっただけど思う……ステラも同じだよね?」
「はい……! はい……! 私も一緒です……! 私もセンカ様と同じようにお花を愛しているから、惜しみない愛情を注いできました……! だから、嫌いになんてなれる訳がありませんっ……!」
ステラの心の奥底からの言葉に、「うん…うん…」とボクは囁く。
ステラは一人諦めずに、お花への愛を貫いたもんね……それはとってもスゴイことだよ。
それに何だがスッゴくいい雰囲気……ステラと恋人になったみたい……。
だけどボクは、今からこのムードを壊さなきゃならないのか……。
もう少しこの時間を過ごしたいなぁ……、と惜しみながら本題へと移る。
「そ、それでね……ステラ。ボクの母さんのことなんだけど……」
「はい?」
ボクの胸から上目遣いでボクを見上げるステラ。
—――途轍もなく暴力的なかわいさだ。
それを生み出してるのは、瞳に残ったうるうる。かわいさ激マシ、庇護欲が倍増……!
ヤバい。
天使すぎるし、尊すぎて死んじゃいそう。
だけど今は、天に召されるわけにはいかない。
と、魂をこの体に留めさせて話を続ける。
「ボクのイジメに気づいちゃったんだよね? 母さんが……。ボクの体にある傷跡を見て……」
あの時の母さん、スゴく心配してたな……。
イジメられてることに気付けなくてごめんって自分のこと責め始めて泣いてたし……。
母さんは悪くないと思う。
顔だとイジメてるとバレちゃうから、あの子たちが一枚上手だっただけだ。
一番悪いのは……母さんを心配させないようにって隠そうとしたボクの方だ。
だって……結果バレて思いっきり心配させて泣かせたんだから……一番悪いに決まってる。
それに、あんなことをさせちゃったんだから……。
「そこからの母さんの行動力はスゴかったよ。学校に乗り込んでイジメをしてた子たちとその親たちを教室に集めて、全員を……土下座させたんだ」
「………」
「ははっ……。いくら何でもやりすぎだよね? でも、おっかないって思うかもしれないけど、それは優しさからの行動なんだ。だから、ステラには誤解して欲しくなくてこの話をしたんだ。……どうかな? ボクの母さんに対する印象、変わったかな?」
「—――素晴らしいです」
「………えっ?」
〜あとがき〜
「面白い」「続きが楽しみ」と思っていただけましたら、是非レビューやフォロー、応援コメントのほど、よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます