第20話 大型ギルド施設
数日探索をしてお金も出来たところで、俺は隣の市の大きなギルドへと出かけた。
貯金と合わせてそれなりのお金も出来たし、実際に武器がどの程度の値段がするかを確認するためだ。
「でっか……」
いつも行っているところとは違って、ギルドの隣に大きめの立体駐車場が設置してあったので、そこに車を止めて歩いて移動する。
ギルドの前には医療施設やいくつもの食堂、レストラン、後は初めて見るが、ギルド外のアイテム買取ショップなんかも存在している。
そのどれもが、ここのギルドの規模を示していた。
地方に存在する冒険者が一挙に集う大型ギルド。
流石に東京や大阪の中心となるギルドよりは規模は小さいが、それ以外であれば都会のギルドと比較しても負けることはない。
それがここD市のギルドだ。
ネットで調べたところここは完全にギルドを中心として発展した区画らしく、周辺の多数の建築物も相まっていきなり都会に紛れ込んだような気分になる。
まあ実際は、ギルドを中心とした街づくりに際して、ギルド及び冒険者が利用するための施設と市民の住環境となる施設を完全に分けるような街づくりが行われたからなんだけど。
この一帯だけ巨大なテーマパークになっているようなものだ。
街中にはあるけど街からは切り離された場所がこのギルド及びその周辺の施設なのである。
平日の昼間から結構ある人の波に乗って俺もギルドの正面から中に入る。
1階部分はロビーではなく食事も出来るカフェスペースが広がっている。
もちろん量は冒険者基準。
加えてここのカフェでは、冒険者のパーティーメンバー募集が出来るらしい。
説明を読む限りでは、専用のアプリに登録してパーティー、あるいは個人がそれぞれに募集をかけるようだ。
パーティーは欲しい人材を求め、個人は自分の能力を提示することでパーティーからの声かけを待つ。
パーティーも個人も自分たちの情報を提示して待つと同時に、提示された情報を吟味して信頼に足る味方を探す。
今日一日メンバーがかけているので臨時のメンバーに加えたいという依頼もあれば、長期的に組むことを考えての募集もある。
そこはそれぞれだ。
他にも結構色々ルールがあるらしいので、後で時間が出来たらアプリをインストールして調べてみようと思う。
この仕組みについてはここだけでなく大きなギルドには大体あるようなので、いずれ使う機会もあるだろう。
2階に上がるとロビーがあった。
ここのギルドは、まあ予想していたが人が相当に多いようで、6ある受付全部に人がずらっと並んでいる。
1人がステータスカードを受け取って奥のエリアに入っていったかと思えば、次の奴は武器と一緒にアイテムを提出する。
俺は自分のところの過疎ったギルドしか知らないが、他所でも受付は全部一括して受けるような形になってるんだな。
アイテム売却用の窓口とステータスカード関連の手続きわけた方が良い気がしないでもないが、何か理由があるんだろう。
俺も一番人が少なかった列の後ろに並び、周りを見ながら順番が来るのを待つ。
数分待っているとやがて俺の順番が回ってきた。
「おはようございます。他所のギルドから武器を買いに来たんですけど、手続きってどんな感じですか?」
「おはようございます。武器の購入となると、ショップエリアへの立ち入りですね? 少々お待ちください」
いつもは坂井さんと藤澤さんの方から声をかけてくれるので、近づいた俺から話しかけたことに若干の違和感。
でも普通に答えてはくれたし、周りを見ても親しげに会話をしているところもあるので、よく言われる都会は冷たいとかそういうことも無さそうだ。
「こちら立ち入り許可証になります。今日一日利用出来ますので紛失しないようにしてください」
「ありがとうございます」
特にこれと言って会話もなく、ステータスカードを提示して許可証を受け取った。
館内マップによるとショップは3階部分にあるらしい。
ショップ自体は一般人でも入ることが出来るが、その中で冒険者専用エリアと一般のエリアが別れているのがこうしたショップの通常らしい。
というのも、武器なんかは安全を考えて一般人に販売できないが、フロンティア産の素材出できた衣服だったり薬草などの特に問題のないアイテムは一般人でも制限がかかっていないのだ。
だからギルド内のショップでも、一般人を対象とした部分があるというわけである。
「広いなー」
ショップ部分が広い。
もうとにかく広い。
いやむしろあっちが狭いのか。
いつも行ってるギルドのショップがコンビニよりも狭い個人商店ぐらいの広さだとしたら、こっちは大きくはないがスーパー程度の広さは余裕である。
棚も空きスペースはほとんどくな、色んなアイテム類がズラッと並んでいる。
様々なタイプの鎧や衣服類、シャツやズボンからグローブや靴下、パンツまで一通りのものがある。
他にはウエストポーチやリュックサックなどの備品も販売している。
ポーションの類なんかも、頑丈なショーケースに陳列された状態ではあるが販売されているようだ。
あれ一個数十万とかする希少品だって聞いたんだけどな。
まあマジックバッグよりはまだ安いか。あっちはキロ10万だからものによっちゃあ億とか行くらしいし。
それぐらいになってくると、定価販売よりもオークションを通した販売の方が値段がつくらしい。
ショップの店員さんに許可証を提示して、武器などを並べている方のエリアに入れてもらう。
武器類を見かけないと思ったが、武器はこっちのエリアに並んでいた。
まあ一般人には見せられないか。
一般のエリアの方も気になるが、取り敢えずこっちで武器を一通り見て回る。
「高いなー、やっぱ最低数十万がラインか……?」
1人で店内を見て回る。
途中で高そうな服を来た人がギルド職員らしき人から説明を受けているのを見かけた。
あれが多分、ランクの高い冒険者につくというコンシェルジュみたいなものだろう。
ショップ店員さんとは違う制服を着ているし。
ネット掲示板を見ていたときにちらっとだけ見た知識だが、ランクの高い冒険者はギルドにとっても国にとっても有用な存在なので、探索をしているだけで補助金がおりたり、ギルド職員による細かいサポートが受けられたりするらしい。
まあ今の俺には全く関係のない話である。
「そこまで行くともはやVIPみたいなもんだよな……」
実際VIPか。
凄腕の冒険者なら数千万は稼ぐし、トップクラスになるとドロップアイテム運にも左右されるが億単位になる。
流石に実業家や企業の社長ほどの爆発的な稼ぎはないが、高収入な職業として認知される程度には冒険者は稼ぐのだ。
俺も冒険に差し支えない程度には稼ぎたいものである。
「もうちょっと貯めてから来るべきだったかな……」
そんなことを考えながら歩いていると、ショップの一角に密かに探していたものを見つけた。
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