第2話

 「っ!」


誰かが驚いた声がする。


「蒼月様!」


というのも私の二つ名は蒼月の英という。

戦場の時だけ真っ白なローブを羽織り目が隠れるヴェールをつけている。

初戦が月が蒼く光るときであったことから蒼月の英と呼ばれはじめたのだが、まだもどかしく感じていた。


「おはようございます」

「おはようございます、体調は大丈夫で?」

「もう大丈夫です」


一般班員である彼が倒れたことを知っているということは全員に知れ渡っているということ。


「訓練を致します。打ち合いをしますので希望者は列に並んでください」


声の拡張のスキルを使い訓練場全体に聞こえるようにする。


「「「「「「「............」」」」」」」


無言、そしてーー


「「「「「「「さささっ!」」」」」」」


一斉に列になる。

訓練場の全ての班員が並び、その数はおおよそ200名。

以前、同じようなことをしたとき任務も依頼も休止となってギルドの班員全員、約400名を相手したことがある。

あの時は大変だった。

そう考えるとこの人数を相手にすることはまだ容易い。

久しぶりだからか皆の目がきらきらとしているのは気のせいではないだろう。


あはは......


乾いた笑みを浮かべつつ、先頭にいる彼を解析する。

一番遊撃班のリーダー、アーレン。


「お久しぶりですね」

「蒼月様、だいたい2ヶ月ぶりですね。では、私が一番最初ということで」


次の瞬間右に片手剣があった。

少し首をずらして回避。

流石、遊撃者。

でもそれだけ。


「んっ!」


剣を持つ手を蹴り咄嗟に庇いつつさらに攻撃を続けようとしているアーレンの背中に足を落とす。

そして、気絶した。


相手武器あり、相手体術のみであった。


アーレンは前回相手したときこちらに先手を打たれ瞬殺だったので今は成長したと言える。


「いい感じですね」


というのも聞こえてはいないが。


「んでは次は私ですね!」


床に転がったアーレンをそう言った女性が蹴って部屋の隅に転がす。

痛そうだけど気絶してるしいいか。


えっと彼女は......


「誰だっけ?」

「ひあ! 蒼月様に忘れられてる! アレクシエル、ショック!」


個性的......


そうして瞬殺。

ショックと言っていただけ隙だらけであった。

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戦華舞のスキルマスター あるか 梓妃 @arukaazuhi

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