第4章~勇気~
朝になりクレイブを誘き出す日がやってきました。
「いよいよだな」
エージがそう言いながらエルを見て言いました。
「おぅ!そういやエルは何でこの森に?」
「僕はこの世界に落ちて来て、この片羽を治す為に、想いの実る岬を目指して旅をしているんだ。他のみんな見たいに空を飛ぶために…。」
「想いの実る岬?あぁ、あの海の綺麗な岬に行くのか」
「海が見えるの?素敵だね。でも本当に飛べるか不安なんだ。」
「大丈夫さ、エルなら、な?ロコ。」
「あっ、うん、そうね。私も飛べると思うわ。」
「ありがとう、ロコ、エージ」
そしてエージが立ち上がり
「そろそろ行こう、昨日罠を仕掛けた場所に、いよいよだぜ。」
こうして三人は小屋を出て、罠を仕掛けた場所に向かいました。
「さぁエルさん、この網の真ん中に種を植えましょう。」
エルが種を植え、ロコが自分の持っている分の泉の水をかけると、みるみるうちに綺麗な花が咲きました。
「素敵な花ね。凄く温かくてキラキラしてる。ねぇ、エルさん。」
「うん、僕の大切な友達にもらったんだ!」
「さぁ、早く隠れようぜ、クレイブがくるぜ。」
三人は息を潜め、罠にくくりつけたロープを握ります。
しばらくすると、冷たい空気と共に黒い影が花の前にはい寄り、みるみる人の形になります。
「きたクレイブだ。」
三人は息を飲み込みます。
『むう、まだこんな物が森に残っていたとは忌々しい。すぐに枯らせてやるわ!』
クレイブが花に手を伸ばした瞬間、、
「今だ!!!」
エージのかけ声と共に三人は力いっぱいロープを引き下げました。
バサバサバサッ!!!!!!
土煙を上げ、勢いよく、網が持ち上がりクレイブをおおいます。
『ギャあぁあ!!なんだこれは!!森のガキどもの仕業だね!!』
三人が草影から飛び出しました。
「森の木や花たちの仇よ!さぁエージ、泉の水をクレイブに!!」
ロコが叫びます。
『おのれ小賢しいガキどもめ!!私の怖さを思いしらせてくれよう!!』
クレイブが杖を持ち上げ、呪文を唱え始めると、網がみるみる朽ちていきます。
『ガキの小細工なんか効かないよ!お前たちも枯れ果てるがいい!』
網の裂け目からクレイブの手がエージを弾き飛ばします。
「エージっ!!」
ロコが駆け寄り抱き抱えます。
「エージ、大丈夫!?ダメだわ、逃げましょう!エルさんも早く!」
『逃がさんぞガキどもがぁ!よく見ると天使がいるじゃないか、お前の入れ知恵だね!もっとも私の嫌いな生き物だよ!お前から消してくれるわぁ!』
クレイブがエルをにらみつけ迫ります。
「エル!!逃げろ!!」
「エルさん!!ダメだわ、間に合わないわ!」
クレイブの手がエルの間近にせまります。
エルは目をつぶり、とっさにクローバーを握りしめたその時!!
『ぎぁああ!なんだい!?こいつは!!』
突然、空から小さな鳥がクレイブに向かって体当たりをしました。
「あの時のハチドリさん!!!」
クレイブの周りを飛び回りエルを守ります。
「エル!おいらの水をクレイブに!!早く!」
エルはエージから泉の水を受け取り、クレイブに浴びせかけます。
「木や花たちの想いよ!!」
水を浴びせかけられたクレイブから煙が上がります。
『ぎぁああ!おのれぇ、おのれぇ、熱い、熱いぃぃ…』
クレイブはどろどろと溶け、煙を残して消えて行きました。
「やったぜ!エル!」
「エルさん、鳥さん!やったわ!」
二人がエルに駆け寄ります。
「やっつけたよ!ロコ、エージ!」
辺りは静まり返り、一輪の花が風にゆれていました。
三人とハチドリを見守るように…。
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