第4話
少女はわりとなんでも話してくれる感じだったが、いざ肝心なところになると口を開けなかったので、よほどの事情があるのは把握できた。前者はほぼ勝手に言ってるだけだが…例えば、
「いい加減にしろ。これだから子供は…」
「はぁ?子供じゃないし!大人よ!大人!」
「そこが子供なんだよ」
「どこがよ!」
そう言いながら少女は服を脱ぎ捨てる。
「子供扱いしたのを後悔させてやる!」
「お前、やめろ!」
「見よう!このナイスバディを!」
手で自分の目を覆う。最初から相手しなけりゃ良かった。面倒くさい。
「あれれー恥ずかしがっているの?かーわいい」
「はあ…。」
ため息。返事する気すら湧かない。質の悪いいたずらしやがって。
「服着ててから話しかけろ。それが大人のマナーってやつだ。」
「わかってるよそんなの」
少しの間。
「もういいよ~」
「いつからかくれんぼしてたんだ。」
目を開ける。
青。
水着?
「じゃじゃーん!」
「ビニールプールか…」
「そっちじゃない!こっち!ピッチピッチの!JKの!生肌!」
「興味ないわ。いつの間にこんなの持ってきたんだ?」
「朝に見つけた!」
ま、いい。こうなった以上、どうせやること決まっているし。水でも入れよう。
「ねーねースリーサイズ聞かなくてもいいの?正直に言ったら教えてあげなくもないよー」
「子供のスリーサイズに興味持つ大人なんていないよ。」
「は?言いやがったな!聞いて驚け!私のスリーサイズは…!」
頬を握る。物理的に止めなきゃ無限にしゃべり続ける気だな。
「ふへ!ふふへほふ!」
よし。効いているな。このまま固定できれば何よりだが…。
「は!な!せ!って言ってるんでしょうが!」
無理だった。体力馬鹿。物理はこいつに効かない。
…
「ふぅー極楽極楽!」
「おじさんかよ。」
「そしたらおじさんはJKね」
「頭でもぶつけようか。」
「それ効果ないよ?」
「効果あるのが他にあるかのような言い口だな。」
「あってほしい!ないけど」
こうやって、同居生活の初日は、可笑しい水着イベントで始まってしまったのだ。
「そういえばお前、何入れてるんだ?」
「は?何も入れてないし!」
「スーツケースにだ。」
「ああ、制服と、え…覚えてねえわ!」
「大したもの入れてないのにそのでかいもの持ってよく歩いてきたな。」
「でしょう!自慢のものです!ちなみにスリーサイズは…!」
「アイアンクロウが足りなかったようだな。」
「そしたらこっちはデスクローで勝負だ!」
「…」
「冗談!冗談だって!」
「…おじさんかよ!!」
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