第3話  公園の大事件。

 僕は、また公園で空想に耽っていた。もうシーソーには乗らない。シーソーは危険だと学習した。ジャングルジムやブランコは人気がある、僕1人で占領するわけにはいかない。結局、僕はベンチに座っていた。


 そこへ、


「ハロー!」


突然、髪の長い色黒な女の子に声をかけられた。年齢は、僕と同じくらいだろう。僕は、またシーソーで吹っ飛ばされないか? ドキッとした。ああ、完全にシーソーはトラウマになってしまっている。


「ハ、ハロー」

「プリーズ」


公園の端に咲いている菜の花の、小さな花束を貰った。


「……サンキュー」


女の子は、また公園の端へ走って行った。



「お母さん、僕、おもちゃの指輪がほしいんやけど」

「どないしたん?」

「今日、花を貰ったから、お返しがしたいねん」

「そうか、ほな、お返しせなアカンなぁ」


 僕は、おもちゃの指輪を1つゲットした。


 翌日、僕はおもちゃの指輪を持って行った。あの娘は、また公園の端の花が生えている辺りで友達と遊んでいた。僕は、“あの娘”に近付いた。


「エクスキューズミー」

「?」

「プリーズ」


 僕は指輪を手渡した。


「Oh!サンキュー」



 それ以上、何を話したらいいのかわからないので(外国語はわからないし)、僕はまたベンチで空想の世界に入った。とりあえず、貰った分、お返しはした。懐かしい。もう少し何か展開があればもっと書けたのだろうが、現実にはそんなドラマはなかなか無い。ただ、生まれて初めて女の子からプレゼントをもらったということで、忘れられないだけのことだ。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る