第2話 「怠惰」の獣
当たり前のことだけど家には帰れなくなった。
友人を頼るわけにもいかない。
というか独身の俺に古くからの友人のイチャイチャ空間は耐えがたい物がある。
あいつ以外の友人は今は寝てるだろうし…
ホテルぐらいしかないかぁ…
小さい手を親子のように握って最寄りのホテルまで歩くことにした。
こうやって小さい女の子と歩いてても現実だって実感が無い。
正直友人のイチャイチャだけでも寝込みそうなのに隕石で家が崩壊…現実味がない。
おまけに…?
手…明らかに手に違和感がある。
小さい…手…?!
子供!?
ってかあのさっきまで抱えていたあの可愛い小さい白「いモフモフした
…は?
何を言っ「ているんだこの子供は、でしょ?」
???
白いワンピースの似合う白い髪の子供だ。
簡単に言うと真っ白だ。
気持ち悪いまで先読みされてるだろう。
証拠にちょっとほっぺを膨らましている。
そうとしか思えない。
むしろここまで先読みされて他の感情とか湧くんだろうか。
「早く
唐突に上空から声が聞こえた。
そこには黒い獣がいた。
もちろん羽とか生えていない。
この夢はいつ覚めるのだろうか。
「ご主人、契約してくれない?」
柔らかい指が手を握って自らの頭に誘導してる。
まるで頭を撫でられる事を待つ子供みたいに。
もちろん黒い獣は喋りかけてきた。
「駄目だよ、絶対にね。」
イライラとした感情が伝わってくる威圧感とそれに似合わない笑顔だ。
そもそも契約って?
「契約はご主人と
そのまま手を頭の上に乗せると光り始めた。
上空で黒い獣はやれやれと首を振っている。
「□、□□□□□」
きっと人には聞き取れない言葉だろう。
言い終わると同時にその女の子には首元に刻印が刻まれていた。
少しの罪悪感。
何やら黒い獣は不思議がっている。
一つぽつりと黒い獣は
「何故死んでいない?」
と口にした。
不思議そうに首を傾げている。
分からない。
なんか色々と分からない。
すると女の子が口を開く。
「特別なんだよ、ご主人は」
大胆不敵に笑うその表情はどこか頼もしい。
「訳分かんない。」
上空の黒い獣は対象的な黒い女の子に変わっていた。
その子は黒い髪を風で揺らしながら苦虫をかみつぶしたような表情で呟いた。
「
かざしていた手は光り輝いて次の瞬間その手には白い槍が握られていた。
「ご主人、あれは気をつけて」
「特別な金属とかなのか?」
「あの槍は
″
当たったら色んな意味で終わるかも。」
「具体的には?」
「廃人になったり溶けたり(物理的)色々と、だね」
デンジャラスな代物だった。
「対抗策とかってあるの?」
聞いたときには既に彼女の右手には身の丈ほどもある禍禍しい剣が握られていた。
「魔剣ニーズヘッグ」
激しい闘いになると思った矢先、黒い女の子は溜息をついて軽蔑した眼差しで睨んだかとおもったらすぐに飛んでいった。
「ごしゅ~」
そう言いながら体を預けてきた白い子はピリついた空気から一転、ベタベタと甘え始めた。
道の真ん中でも構わずに。
「ほら、いくぞ」
背中にしがみつきやすいようにしゃがむ。
するとニマニマしながらおぶさってきた。
まだ夢の中にいるようで、そんな気がして
おんぶしてしばらくすると寝た。
泊まる予定のホテルに足を進めた。
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