第2話悪徳資産家

本当に茂之と結婚してくださるの?」


「はい。わたしでよければ。」


と、みなは答えた。


「一兆円、あなたの銀行口座に振り込んでおいたから。」


高部茂之。


資産家だが親族一同、不細工なのだ。


みなは、しもしずるの指示で家政婦として高部家に潜入した。


茂之は、不細工だが、心の優しい青年だった。


みなは、高部家を出ると良心が痛んだ。


「一兆円確かに受け取った。」


しもしずるが、みなを待っていた。


「あの、」


「バカ野郎!そんな顔をするな!これを聴け!」


としもしずるが、みなの耳にヘッドホンを強引に着けた。


【また、引っ掛かった。今度はどう自殺に見せかけて殺す?】


茂之の声だった。


悪徳資産家は、保険金殺人資産家だったのだ。


「一兆円ぐらい安い。何人殺されたか分からないくらいだ。」


ヘッドホンを外したみなは放心状態。


しもしずるは、みなを見て


「世間知らず。」


と吐き捨てるように呟いた。


その後、高部家は、しもしずるの密告により親族全員が逮捕された。

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