第22話 春曲げドン!!
人間がもし地球の自然環境を大切に守り続け、世界がお互いに協力し合って人種差別や戦争、犯罪のない平等で平和な社会を築き上げていたとしたら、人間の脳内細胞はドーパミンやセロトニン、オキシトシン、β-エンドルフィン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質を高分泌してさらに脳を活性化させ、人間の進化はもとより科学技術の進歩は著しく加速していたでしょう。
人間はもっと発展出来たはずの文明の進歩を自ら抑えてきてしまったのです。人間が生きていくうえで新しく生み出したものと、失ってきた(破壊してきた)ものを天秤に掛けたら果たしてどちらが重くなるのでしょう…最近、世界各地で猛威を振るっている異常気象の原因を人間は他人事のように何かのせいにこじつけようとしていますが、人間以外の誰のせいでもありません。太陽フレアが多発しているため地球磁場がその影響を受けているなどの意見があるようですが、それなら地球を周回している月はもちろん、地球よりはるかに太陽に近い水星や金星はもっと深刻で多大な被害を受けているのでしょうね。
一度破壊してしまった自然環境を完全に戻すのは数万年単位です。それなのに人間はそんなことお構いなしとばかりに戦争兵器による殺戮目的のため街や生活環境を破壊しまくり、環境に優しい電力確保などとうたったソーラー発電システム設置や多目的土地開発による必要以上の森林伐採を繰り返し、さらには発明しておいて処分に困った放射性廃棄物を平気で地中や海中に投棄する始末。これまでたくさんの恩恵に授かってきた自然環境に対して感謝どころか、これでもかとばかりにことごとく破壊や汚染を繰り返してやりたい放題行っています。大規模なソーラーシステムの増加は酸素の確保を減らし、その反射光・反射熱で周辺の気温や気流ばかりでなく、生態系に対しても何らかの影響を及ぼすことでしょう。
これまで生活に利用してきたものはすべて、この地球の大切な天然資源から生まれてきました。初めに優秀な技術指導者の存在があり、たくさんの物が作られました。人間の生活にとって重要な資源の確保とそれを平等に有効活用する知恵や技術を与えられたのです。しかし指導者去りし後の世、いつしかそれらの知識は方向性を変えてしまい、能力と支配欲の強い力ある者が弱い者たちを従えた負のヒエラルキー社会の形成へとつながっていきました。その時点から平等や平和の言葉に霞が掛かっていったのです。いまだに戦争や人種差別が消えないのは人間の思考…脳そのものに原因があるのでしょう。
人間の勝手で傷つけられ破壊され続けた地球の環境は、もはやまともな季節は消え去り、人間の手には負えないまでに悪化していて、さんざん破壊しておいて今さら都合よくエコを唱えたところで時すでに遅く、いよいよハルマゲドンを招くところまでやってきてしまったとしたら…恐らくはそれにいち早く気づく科学者や国家元首がおられることでしょう。もし人間が怜悧狡猾ではなく、差別のない平和な社会や大切な自然の環境保護に真剣に向き合う思考回路を携えていれば、向き合おうとしない人間の近未来に待っているような世界的異常気象や大規模地殻変動のような自然災害の脅威と危機の引き金を引かずに済んだのかも知れません。
もはや吹くべき場所を見失った新しい春の風は、人間の手でねじ曲げられた自然の中をまるで龍の如く大きくうねり、怒りを込めて地上に叩きつける。鳴りやまぬ悲鳴にも似た風の音色、地上を這い続ける重低音の響き、そして鼓膜を破る大爆発音を最後に世界は砕け散り終焉を迎えるのです。
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