第18話 THE 猫

 昔から人間に馴染みの深い猫。実は動物の中でも人間にとって“猫は特別の存在”だってご存知でしょうか。猫よりもほかの動物が好きな人もいます。“猫は化ける”とか、“猫は魔物”とか、“黒猫は縁起が悪い”とか、嫌いな人にとっては色々なことを言われてしまいます。

 また、昔から“犬は人につき、猫は家につく”といわれますが、その意味は人に対してのなつき方や信頼の度合いを言っているのではなく、犬は人について外で遊んだり散歩したりするのが大好きですが、猫の場合は一日の大半を寝て過ごします。つまり家の中で過ごすことが多いからで、決して飼い主に対して薄情な意味ではないのです。猫はもともとが狩猟動物です。日々の食料を獲らないと死活問題につながりますので昼間充分に睡眠を取り、体力を温存して狩猟に備えるという習慣が遺伝子に刷り込まれているのでしょう。そのためには周囲を気にせず安心して睡眠が取れる安全な場所の確保が必要になってきます。それこそが信頼している飼い主と暮らす家であり、お気に入りの場所となるからです。飼い主が引っ越せば、引っ越し先でまたお気に入りの場所をすぐに見つけるでしょう。

 猫の最大の特徴は聴力と視空間認知力と暗視力に長けている面です。物音立てずに静かに構え、暗闇に飛ぶ3mm程度の小さな羽虫の羽音をとらえて狙いを定め、至近距離に着地しようものならダッシュして瞬時に前足で押さえ込むという光景を目にしたことがあります。猫はその研ぎ澄まされた、先祖からの本能的感覚が遺伝子を通して蘇るのでしょうか。

 猫の目はあまり遠くの物ははっきりは見えないようですが、人間の目とは違い、幽霊を見ることが出来て、耳は神様の声も聞こえるそうです。周波数で表しますと19Hz~70KHz位でしょうか。虫も飛んでいないのに時々ジッと空間を見つめている時、玄関に向かって低い声でうなっている時、突然どこかに隠れてしまう時などは明らかに得体の知れないものを見ていたり、感じ取っていたりしている時です。

 餌を与えてもいないのに野良猫が集まってくる家があります。実は猫がたくさん集まるような場所には理由があります。それは古代から神々にも愛された猫を含むネコ科の動物がたくさん登場するように猫はとても“神聖な動物”であり、神聖(清浄)な相手(場所)には神聖なもの(猫)が寄って来るからです。猫は相手が自分を大切に扱ってくれる者かを瞬時に見分ける能力を備えています。一見ツンとしている猫もいますが、内心はそうでもないのです。優しい人が好かれるように、猫だって優しくしてくれる人や一緒に遊んでくれる人、心の綺麗な人は大好きなのです。

 猫は“神聖”だけでなく、“繁栄”をもたらしてくれる動物です。飼い猫であろうと、野良猫であろうと分け隔てなく優しく接してあげる心の広さや愛情が、果ては自分に跳ね返り、幸福を引き寄せるお手伝いをしてくれるのです。

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