第4話 天国と地獄

 気づかなかったマインドコントロール。“死んだら天国行きたいよなぁ…”という何気ないひと言。宗教に関係なく誰もが知っている、知らない者はいないと言っても過言ではない“天国”という単語。老若男女誰もが知っている単語。親から子へ、子から孫へ語り継がれてきた死んだら行きたい国ナンバーワン! 

 行ったことも無いのに「きっと天国から見守っているよ」とかどうしてそんな簡単に言えるの?どの辺から見守っているの?

 そもそも天国の定義は誰が決めたの? ほんとにあるのそんな国? どうやって確認したの? 万人に言わせ占めた、誰もが一度は口にしたことがあるこの夢の単語の魔力こそ皮肉にも悪魔的と言わざるを得ません。

 でもそんな(ってどんな)所、本当はどこにも無いのです…なんて言ったら言い出しっぺのマインドコントローラーに説教されてしまうのでしょうか? あっ、かなり昔から言われている単語だから言い出しっぺの方はもう「天国に召されて」しまってますね…って「無いなら行きようがないだろ!」って、はいごもっともです。

 そこで本題です。死後の魂の行き先は例外を除き、生前の行いに対して審判を受け、5つの世界のどれかに行くことになるようです。(自分はまだ行ったことがありませんので)まずは例外から…この世に強い未練と執着心を残して死んだ者。死後、現世に浮遊霊として残存していくが、時間の経過とともに古ければ古い魂ほど妖怪化・悪霊化していくのです。

 さて、5つの世界の一つ目は、死後も働きたいと思えば働くことが出来て、働きたくなければ働かずに済む自由な世界。ここに行ける者は、生前に自分以外に犠牲を惜しまず尽くすことが出来た屈託の無い清浄な魂の持ち主です。

 二つ目は、身体の自由を拘束されて何も与えられずに腹を空かし、目前に美味しいものをたくさん並べられるが手も口も届かず、永遠に渇きと苦しみにあえぐ世界。ここに行く者は生前に欲望の赴くままに生きていた者たちです。

 三つ目は、一日中薄暗い河原に放たれ、ボロを身にまとい、食もろくに与えられずに日が落てからの恐怖におののく子供たちの世界。ここに行く者は生前に子供を虐待して死に追いやった者たちで、その者自身が死後に子供にされてしまう。闇が深まるにつれ、生前自分が子供にしたことと同じ責め苦を鬼たち(実は子供を虐待する自分の姿が鬼であることに気づかない)に受けると思い込み、虐待されていた子供の気持ちを思い知ることになるが、永遠にその恐怖から逃れられない世界です。

 四つ目は、死んだ直接原因である行為を死後も無限に繰り返し続ける無限地獄。ここに行く者は自分の大切な命を粗末に扱った自殺者の魂で自殺行為の際の意識がはっきりしたまま再現されてその苦しみを永遠に繰り返すのです。

 五つ目は、光も上下左右の区別もない暗黒空間で目を開けているのか閉じているのかさえ分からない自分がひとり漂っている世界。ここに行く者は生前に他人や動物を傷つけたり、悪行をせず正直に生きてきた者や、徳を積んだ僧侶たちなどが行きます。

 気になるところですが、純真無垢な胎児や乳幼児は別扱いとなります。それと生前認知症であったとしても魂になった直後から正常に戻るそうです。ただし、五つの世界も例外も共通しているのは、時間経過と共に自分がどこの誰だったのか記憶が薄らいでいき、いずれは完全に消えるそうです。

 ちなみに人間の魂の重量の話題になると、どこかの実証実験(危篤患者に計り付きのベッド使用)の結果で、息を引き取った直後に体重が軽くなった分が“魂の抜けた分”だとして3g説と21g説が取り沙汰されています…が、0.25gという話も。

 

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