第11話 思春期の頃
14歳のときのわたしが考えた、荒唐無稽な計画。
「大学生になったら長期休暇がある。そこでお金を貯めておいて、旅行先で死のう」
死ぬなら今すぐにでも死ねるというのにわたしは期限を延長した。
本当に死ぬ気があったのか?
どこまで本気だったのか?
せめて最期は気に入った場所で。そう思ったのかもしれないしただの言い訳だったのかもしれない。
ただこの頃にはリストカットなども始まっていて精神的にはまさに極限状態だった。
自分を傷つけるのは怖くて手が震える。でも傷つけて血を流すと少しだけ安心する。毎日楽しいことなんてなかった。ここにいたくなかった。死にたいとか死にたくないとかよくわからないまま続けていた。
多分17歳になった頃までの3年くらいほぼ毎日続いていたと思う。
やめるきっかけも些細な(?)ことである日少し深く切ったらそこに血管があった。ああ、これ切ったら命に関わるのかな、と思ったらそれ以上切れなかった。こんなところでも負け犬だった。
傷痕は今もうっすら手首に残りなぜか薬指の第二間接より下がいつも痺れたような感覚が残った。どこかの神経を傷めてしまったのかもしれないけどよくわからない。
そして。
母親はいつもわたしが学校でいない時間帯に部屋に勝手に入りそこで隠し持っていた漫画を見つけると机の上に誇らしげに並べていた。
ただ不思議なことにわたしが特に隠してもいなかったリストカットの血で汚れたハンカチとかは最後まで見つけることが出来なかったらしい。
わたしはこの頃、親へのわずかに残っていた期待さえも完全に捨てた。
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