第4話 偏食と給食 幼少期のこと その3

ASDに多い偏食。わたしにも漏れなくあった。(どうせなら漏れたかった)


まずは肉。小さいとき噛み切れなくて味がなくなっても噛んでいたので気持ち悪く感じてしまうようになった。嫌いなのはあの肉の歯応えなのでハンバーグやソーセージなどの加工品は食べられる。

他にもなんか苦いのでほうれん草、味が微妙な牛乳、歯応えがなんかやわらかすぎる気がするバナナなど、列挙に暇がない。


そしてわたしが通っていた保育園は恐ろしいことに当時お残し禁止だった。

食べられない物を残していると先生がやって来て食べるように促される。正直それで食べられるくらいなら苦労はしない。

何度もえづきながら涙目で嫌いな物を口に入れていた。

不幸なことに牛乳は毎日給食に出てくる。

さらにほうれん草のおひたしまで出てきた日には最悪だ。どっちも残すなと言われ、 おひたしといいながらほぼ何の味もしないほうれん草を無理矢理口に入れることになる。

(お食事中の方、もしいたらここから先は読まないでくださいm(_ _)m)

やはり不味くてとてもわたしには食べられない。しかし先生はその勢いで牛乳まで飲ませようと口元にスタンバイさせてくる。思わずえづいてしまいほうれん草を目の前にあった牛乳の中へリバース。まさにカオス。

わたしはもう泣いていた。

さすがにそれを食べろとは言ってこなかったが新しいほうれん草と牛乳が用意されてまたそれを食べるように言われた。

もう分かると思うがわたしにとって給食は地獄の時間だった。もともと好きでもない保育園が嫌いになるきっかけでしかなかった。

今の幼児教育の現場で同じことが起こったらとっくの昔に事件になっていたかもしれない。でも当時はそれが常識だった。


今思うと嫌いな物を無理矢理食べさせることに何の意味があったのだろう。大人になっていくつかの嫌いな物は味などを工夫して食べられるようになったがほとんどの物は嫌いなままだしむしろ大人になって嫌いな物を食べさせてくる人はいなくなったので結局食べていない。それでも健康診断で引っ掛かることなどもなく意外と元気に生きている。


そしてわたしは食べることに何の興味も持てなくなった。テレビなどでよくグルメ特集などを見かけるが何が面白いのかいまだにさっぱり分からず始まるとチャンネルを変えてしまう。

わたし以外の多くの人は食べることが好きなのだと知ったのは本当につい数年前だ。楽しめないのはちょっと残念。

(まあわたしはそれでなくてもいろいろと残念なのだけれど笑)


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