第120話 ちゃぽん
これは、今年の新年早々に私が体験したお話です。
年が明けたばかりで、まだ正月気分が抜け切れてない頃の事でした。
私が、パワースポット巡りに没頭しているのを知っている方から、とある神社を紹介していただいたんです。
そこは関東地方の海岸近くにある神社で、龍神様が祀られており、また、美しい湧水が滾々と湧き出ている美しい泉があるとの事。
ネットで調べてみますと、あった! あった! ありました!
では、早速と言う事で、次の休日には車を走らせていました。
紹介して下さった方は日曜日に行ったそうなんですが、着いた時には駐車場がいっぱいだったそうです。たまたま、運良くすぐに目の前の場所が空いたので、何とか停めれたとの事。
それならと、私は平日休みを利用し、目的の地へと向かいました。
到着したのが十一時頃。
驚いた事に、駐車場はいっぱい。
神社の場以外にも駐車場があると言う事で車を進めますが、何処もいっぱいです。
それでも、かろうじて臨時駐車場に空きを見つけ、何とか車を停める事が出来ました。
鳥居をくぐりますと、厳粛な気が私を包み込みます
明らかに、空気が変わりました。
どうやら、私と波長の合う神社の様です。
神社との相性は、その規模や知名度とは関係無く、私の気とのマッチングの問題なので、超メジャーな観光スポットとしてでも有名なパワースポットでも、その敷地イコール結界に踏み込んだとて、何も感じない事が多々あります。
恐らく他の方には、数多の御利益を与えて下さる最強スポットなのでしょうけど。
まあ、こればかりは致し方の無い事です。
ですが、ここの神社は間違いなくベストマッチングです。
真っ直ぐと伸びる参道。
実に清々しい。
途中の末社を参拝し、そして主祭神の拝殿へと向かいます。
拝殿で日々生かして頂いている感謝と今年の決意を告げ、更に奥へと進みます。
すると、巨大な龍の顔の様な木――龍木が祀られていました。その風貌は、大自然が創造した重厚な存在感を醸しており、眼を引くものがあります。
そのすぐそばに、息を呑むような美しい泉がありました。「透き通るような」という形容詞は、この泉の為にあると言っても過言ではないでしょう。
滾々と湧き出る清らかな水は、厳粛ですこぶる清浄な気で周囲を満たしていました。
泉の中央に架かる小さな橋を進み、一際華やかな弁天様の御社に向かいました。
二礼二拍手の後、この世界に生かして頂いている感謝の気持ちとこの地にめぐり合わせて頂いた御礼を奉じ、手を合わせます。
ちゃぽん
すぐそばで、水音がしました。
魚でも跳ねたのだろうか。
私はそう思いながら、弁天様と龍神様に祈り続けました。
一礼し、泉に目を向けます。
と、私はある事に気付きました。
泉には魚はいないんです。
鳥が何か落とした?
いや、音がしたちょうど真上は、木々の枝葉も重なっておらず、また、野鳥が掴まれるようなしっかりした枝はなさそうです。
じゃあ、さっきのあの音は何だったのでしょうか。
因みに、霊感の強い方だとは思うのですが、泉の水が湧出している付近で龍神の顔が見えた方がいるそうです。
残念ながら、私には全く見えませんでした。
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