第108話 かもです。

 これは、つい最近私が体験したお話です。

 その日、何故か急にいつも参拝している神社の事が気になったんです。

 いつもと言っても、月初めと月半ばに参拝する程度なんですが。本当は一日と十五日にお参りするのが良いそうです。でも仕事の関係上、なかなか日が合わなくて、何日かずれての参拝が常です。

 その日は平日でしたが仕事はお休み。

 何も予定を入れていなかったのですが、急に「押し」の神社が頭に浮かびました。

 月も半ばですし、十五日には少々早いですが行ってしまおうと。

 手早く準備を済ませ、車を駆ります。

 平日とは言え、ラッシュ時は既に過ぎていますので、車はスムーズに進みます。

 神社の駐車場に到着。

 私が車を停めるのは、境内そばの神社ではなく、少し離れた所にある第二駐車場の方です。

 理由は、こちらの方が広くて止めやすいので。平日だと、車はほとんど止まっていませんので止めやすいんです。

 が、今日は何台か既に停まっています。

 私は車を停めると、神社に向かいました。

 第二駐車場は高台にあるので、緩やかな坂道をゆっくり下って行きます。

 鳥居のそばまで来ると、境内に結構参拝客がいるのが見えます。

 ひょっとしたら・・・。

 私は逸る気持ちを抑えながら鳥居をくぐると、手水舎で手と口を清め、拝殿に向かいました。

 やっぱりそうでした。

 今日は「巳の日」だったんです。

 ここの神社、弁財天様ととある女神様が主祭神なので、巳様は弁財天様の使いと言う事から、「巳の日」は特別な日――縁日な訳です。

恥かしいことに、「押しの神社」などと申しておきながら、暦を把握してなかったのですよ。

 拝殿にご挨拶した際、二人の女神様が何となく苦笑されている様に感じました。

 押してるのなら、これ位はちゃんと調べておくように――と。

 参拝後、社務所に寄って書置きの御朱印を授与していただいたのですが、実はこれ、今日だけじゃないんです。

 前にも二回程あった様な・・・。

 一時期、巳の日はあらかじめネットで調べてカレンダーに書き込んでいたんですが、仕事の日と重なるとなかなか行けなくて、しまいに書かなくなってしまったんです。

 休みの日なのにかかわらず、御参りしようとしない私に、神様が気付かせようとしたのでしょうか。

 此れも、ある意味では、神様に呼ばれていると言ってよいのかもしれません。

 

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