第104話 いる・・・。
これは、つい最近私が体験したお話です。
ある夜、就寝中にふと目が覚めました。
結構あるんですよね。これ。
気が付けば布団が無くなっていて、寒くて目を覚ますってパターンです。
実は私、子供の頃から寝相が悪く、動き回るせいなのか、敷布団のシーツをしょっちゅうぼろぼろにしてしまい、母に「いつも寝ながら運動会をしている」と言われたものです。
その日も、布団を蹴り飛ばして体が冷えたせいで目を覚ましたのかと思いましたが、そうではありませんでした。
体は、すっぽりと布団に包まっています。
地震が来る様子もありませんし・・・。
不躾な展開で申し訳ない。
私の住んでいる所は、小さな地震がよく起きるんですが、不思議な事に、何となく揺れる直前に分かる事があるんです。
特に、寝ている時に。
ふと目を覚ましてしばらくしたら揺れる事が多々ありまして。
偶然だとは思うのですが・・・。
でも、その時は地震じゃなかったんです。となれば・・・あれしかない。
私は眼を凝らして周囲を見渡しました。
灯りは点けずに寝ていますので、部屋は闇が闊歩しており、ガス漏れ警報機のランプの光だけが、かろうじて暗い空間に一石を投じています。
勿論、誰もいません。
ですが、凄い圧を感じるんです。
部屋の空気がいつもよりも濃密で、どおんと伸し掛かって来るような、不思議な圧迫感。
気配、と言っていいのでしょうか。
でも、恐らく人――霊ではない。
もっと違うものが、足元に立ち、私を見ている。
それも、複数の存在が。
何かを訴えるかのような、そんな重い感情のようなものが、私の意識にダイレクトに浸透して来る。
悪い存在ではないのは分かっています。
金縛にはなってませんので。
でも。
喜べないのは確かです。
実は、過去にも同様のことが何回かありました。
これを体験した翌日、思わぬアクシデントが起きたりしているんです。
今回も、恐らく。
ですが、感じる危機感が今までになく重いような気がしました。
翌日、慌ただしく仕事に追われていた最中に、妻から電話が入りました。
まずい事になったと。
体調不良を訴えていた彼女は、その日、病院に検査に行ったんですが、重い病気にかかっていた事が分かったんです。
私の目の前は、真っ暗になりました。
後日、大きな病院に行き、再度精密検査をするそうです。
その後、私は仕事が手につかず、頭の中が真っ白な状態のまま、一日を終えました。
昨日のあの気配は、間違いなくこの事を私に告げる為だったのでしょう。
あの気配の主は、きっと高次な存在なのだと思います。
そう信じて。
そう信じるしかない。
ならば。
私に出来る事は。
祈るしかない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます